高齢者は転んだだけで骨折してしまうことはよくありますよね。筋力低下や骨がもろくなってしまい、ちょっとした衝撃でも骨折に繋がってしまうのです。高齢者にとって骨折は致命的で、ADLが一気に落ちてしまうので介護職員はしっかりケアを行わなければなりません。
転倒して入院となり、認知症まで患ってしまう高齢者も少なくないのです。特に骨粗鬆症の人は高齢というだけで骨折しやすいのに、さらに骨折のリスクが高いわけです。
しかし骨粗鬆症とは、一体どんな病気なのでしょうか?また、骨粗鬆症にならないようにするための予防法はあるのでしょうか?今回は骨粗鬆症について、詳しくお伝えしていきます。
目次
高齢者が増えるにつれて、骨粗鬆症患者も増加

骨粗鬆症とは、加齢が原因で骨がもろくスカスカになってしまう現象をいいます。骨がもろくなってしまえばちょっとした転倒や衝撃により、骨折してしまうリスクが高くなるのです。骨がスカスカになるという表現は、骨の中にはカルシウムなどが詰まっているのですが、年齢を重ねカルシウムなどが減ってしまうことで骨の中がスカスカになってしまうのです。高齢化が進むにつれて骨粗鬆症の人口は増えており、現在では1300万人を超えるとも言われているのです。では、骨粗鬆症になるとなに体に異変がでたり、症状が現れたりするのでしょうか?
骨粗鬆症の症状とは?
骨粗鬆症の症状は以下の通りです。
- 腰痛
- 背中の痛み
- 腰や背中が曲がる
- 背が縮む
といった症状が見られるようになります。
骨の密度がスカスカになってしまうだけでは、痛みや色々な症状は現れません。スカスカになった骨の一部が潰れてしまうため、少しずつ痛みが出てくるようになるのです。背中や腰の痛みがでたり、腰が曲がってきたりした場合は骨粗鬆症かもしれませんので、早めの病院受診をお勧めします。
骨粗鬆症と診断されたら?慌てず3つの改善法に取り組もう!
骨粗鬆症の治療方法は以下の通りです。
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
骨粗鬆症には3つの治療方法があり、しっかり行うことで骨粗鬆症の状態が改善されるのです。では、1つずつ詳しくお伝えしていきます。
食事療法
食事療法はバランスのとれた食事を摂ることはもちろんですが、特に骨粗鬆症に必要な栄養素は以下の通りです。
- カルシウム
- ビタミンD
- ビタミンK
となっています。
やはり骨といえばカルシウムですよね。
高齢者の人は1日700㎎を目安に摂取するように心がけましょう。また、骨粗鬆症の人にはあまり好ましくない食品などもあるので合わせて覚えておきましょう。
好ましくない食品は、
- リンを多く含む食品
- 食塩
- カフェイン
- アルコール
となっていて、骨粗鬆症の人は喫煙も控えた方が良いとされています。
食事療法を行い骨の強化に取り組みましょう!
運動療法
骨に負荷をかけることで鍛えられるので、運動療法を行うことも大事な治療法の一つです。
骨粗鬆症の人によい運動療法はジョギングやウオーキング、片足立ちやスクワットも有効ですので、ぜひ参考にしてみて下さい。
ただし、しっかりとした準備運動や、体に無理のない程度で行うようにしなければ逆効果になってしまうこともあるので注意しましょう。張りきりすぎて運動で体を痛めてしまったら元も子もありませんので、最初は軽めの運動から始めていき、慣れて来てから運動量を増やしていきましょう。
薬物療法
最後は薬物療法となっていて、内服治療や注射を定期的に打つなどの治療法になります。
骨密度を増やす・骨密度を強力にする・骨の質を改善させる・骨代謝の改善などの効果がある薬を服用することになります。
骨粗鬆症になりたくない!普段からできる予防策とは?

骨粗鬆症の症状や治療法についてお伝えしてきましたが、骨粗鬆症にならないよう普段からできる予防法も気になりますよね。高齢者になっても骨折などせず健康的に生活していきましょう!
バランスの良い食事とカルシウムの摂取を心がける
食事療法と同じで普段から食事に気を使えば、きっと骨を丈夫に保つことができるでしょう。また、アルコールや喫煙も骨粗鬆症になる原因ですので、控えることお勧めしています。乳製品や大豆、小魚などを積極的に取り入れてみましょう!
お散歩を生活習慣にする
1日1回自宅を出て、近所を散歩をする習慣を身につけてみましょう。
外に出て歩くことで下肢筋力アップに繋がりますし、太陽の光を浴びるのも骨粗鬆症の予防に繋がります。毎日30分くらいウォーキングで構いませんので、「骨粗鬆症予防」と意識をしながら歩くことを始めて見ましょう!
予防健診を受ける
病院では骨粗鬆症の健診を行っているところもあるので、定期的に健診を受けておくことも予防対策の一つです。まずは地域の保健所などに問い合わせてみましょう。健診方法はとても簡単で、生活習慣や食事についてなどの問診や、骨量の検査を行うだけです。特に女性は40代くらいから気にして骨密度を測定しておくことが推奨されていますので、若いうちからしっかり検査をしておきましょう。
デイサービスを利用して、日頃から運動療法を行う人も
介護サービスを受けている高齢者にも、骨粗鬆症で悩んでいる人は多いのです。
少しでも改善できるようリハビリや機能訓練を日頃から取り入れて、体の健康づくりを頑張っています。
特にデイサービスに通い、職員にアドバイスを受けながら体を動かしている高齢者は多いですね。デイサービスにも種類がいくつかあるのですが、運動特化型のデイサービスなんかですと運動器具や測定器なども充実していて、より骨粗鬆症の予防になるでしょう。
では、デイサービスではどんな運動器具を使用しているのでしょうか?
ランニングマシン
ランニングマシンを使い、下肢筋力を向上させます。
利用者は高齢のため、走るというより「歩く」スピードで設定することが多く、慣れている人は時間を増やしたり、傾斜をつけたりしています。
エルゴサイザー
膝に負担を掛けないように有酸素運動が行えるマシンになります。
有酸素運動を行うことで血流を改善させ、筋力強化の効果があるので骨粗鬆症の予防にもなります。
昇降訓練台
昇降訓練台を使い、上り下りの動作を繰り返し行います。
なるべく手すりなどをがある場所に昇降訓練台を設置し、つまづいたり転倒したりが無いように心がけましょう。
下肢筋力の強化に繋がります。
「健康のため」のはずがまさか車椅子に!?デイサービスでのリスクとは?

他にも器具を使わずに集団で行う体操やリハビリなどもあります。高齢者になっても元気で過ごせる「健康寿命」を延ばすため、しっかり運動をして体の筋肉量や骨密度の維持向上に努めましょう。
ただし、デイサービスは移動の多いサービスになるので転倒や転落のリスクも十分あることも頭に入れておかなければなりません。デイサービスを利用したら怪我をして、車椅子での生活になってしまったなんてことがあっては本末転倒ですよね。介護職員は施設内でしっかり研修会を開き、リスクマネジメントを考えることがとても大切なことになります。
では、デイサービスで起こりうる事故のケースをお伝えします。
送迎車からの転落
デイサービスの送迎車と言えば9人乗りや10人乗りといった大きなワゴン車を思い浮かべますよね。特に特殊車両として車いすを数台乗せることができるのでとても便利です。
しかし大きい車から「降りる」ときは、しっかり介護職員がサポートをしなければなりません。足を踏み外したりつまづいたりしてしまえば、地面に転落してしまう危険性があるからです。
特に骨粗鬆症などを患っていれば、軽い衝撃で骨折してしまう可能性がありますので、十分注意して対応しましょう。目的地に着いたらまず利用者に、順番に介護職員が誘導することを伝え自分で降りようとしないよう促してあげましょう。介護職員が一番最初に降りて、準備が出来てから順番に一人ずつ下ろしてあげることが大切です。
浴室での転倒
デイサービスでは運動や体操の他、入浴したり食事を食べたりすることもできます。入浴は浴室や脱衣室での転倒リスクが高いことを、介護職員は認識しておかなければなりません。必ず浴室担当の職員と、脱衣室担当の職員をつけて見守りや介助を行いながら対応しましょう。
特に浴室内は足元が濡れているので滑りやすいですし、石鹸などを使用すればさらに転倒リスクは増えてしまいます。利用者の人数が多ければ多い程転倒リスクも増えますので、時間を気にして無理な人数の介助は絶対に辞めましょう。
また脱衣室では利用者と介護職員、看護職員と大人数で狭い空間にいることになりますので、ぶつかったり足を引っかけたりすることがないように「導線」をしっかり確保しておきましょう。もし骨粗鬆症の高齢者が裸で転倒したらと思うとゾッとしますよね。利用者もとてもつらい思いをしてしまうので、安全に見守りすることを常に心がけましょう。
車内での置き去り
命の危険にも繋がるのが車内への置き去り行為になります。特に暑い夏場なんか、エンジンを切った状態で1時間、2時間と利用者が車内にいたらどうなるでしょうか?
最悪命を落とすことも十分考えられるので、絶対にあってはなりません。
自力で降りようとして転倒による骨折や、骨粗鬆症の人だと扉を無理に開けようとしただけで腕を骨折してしまう可能性もあります。必ず全員車から降りた後に車内確認と、デイサービスに来た利用者の人数確認を行うようにしましょう。
いかがでしたか?
今回は骨粗鬆症についてや予防策、デイサービスでの予防方法や危険対策についてお伝えしました。
骨粗鬆症になってしまったら
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
上記三つを取り入れ、悪化させないように努めていきましょう。
また、普段からの予防としてバランスのとれた食事や、適度な運動を心がけて下さい。
なかなか一人で運動するのも億劫と感じたら、デイサービスを利用して他者と楽しく運動を行うのも一つの方法です。
デイサービスは運動指導をしてくれますし、運動特化型のデイサービスもありますよ。
また、デイサービスの介護職員は楽しく運動できるよう、普段からデイサービスで起こりうる事故について対策やマニュアルをしっかり頭に入れておかなければなりません。
デイサービスは移動が多いので、以下のような危険が考えられます。
- 車内からの転落
- 浴室での転倒
- 車内での置き去り
日頃から研修の機会を取り入れ、事故がないように対応していきましょう。
骨粗鬆症はちょっとした衝撃で骨折してしまい、普段の生活を奪ってしまう危険な病気です。医師や介護士、運動担当スタッフなどのアドバイスを受けながら、骨折しない体づくりを目指しましょう!