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高齢者虐待がテレビで報道されるようになりましたよね。介護保険サービスを利用する高齢者が増えているのも原因の一つではありますが、家族や親族が居室にカメラを設置した結果、虐待の事実が発覚するようなケースも増えているのです。

介護施設では虐待防止に努め色々な研修会に参加して知識を深めたり、施設内の環境改善に努めたりと予防策を考えています。問題になっている虐待ですが、実は高齢者だけではなく「介護職員」も暴力などの虐待にあってしまうことがあるのです。今回は実際にあった、高齢者から介護職員への暴力の話です。

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利用者だって好みがある!嫌いな介護職員への対応

こぼす

サービス付き高齢者向け住宅で働いていたときのことです。Aさんは下半身まひの状態で、車いすへの移乗介助が必要な利用者でした。なるべく寝たきりの生活にならないよう、日中帯は決まった時間で離床を促すのですが、私が対応するとなかなか起きようとしてくれません。

Aさんは職員に対しての好き嫌いがあったため、好きな職員が対応してくれるとニコニコしながら起きるのですが、私の場合だと嫌がるのです。私自身まだ就職して間もない頃でしたので、信頼関係もまだまだだったのでしょう。

行動してもダメだった。そしてついには暴力を振るわれる

私はAさんに認められようと色々と試してみたのですが、うまくいきませんでした。ある日Aさんの離床介助に入ったのですが、今日もなかなかうまくいきません。先輩職員からは「はやくAさん起こしてこっち手伝って!」と言われてしまい私は慌てて上半身を支えながら介助に入ろうとしました。「Aさーん、じゃあ起きましょう」と声を掛けてゆっくり起こそうとしたときでした。

Aさんの手が私の両腕を掴み、力いっぱいつねってきたのです!

私は「痛い痛い!」と声を出し、Aさんを臥床状態に戻して両手を振り払い「痛いじゃないですか!」と訴えたのです。

嘘でしょ?職員と利用者の信頼関係が大事

私の声を聞きつけ、先程「早く手伝って」と言ってきた先輩が来たので状況を報告しました。先輩は私の話を聞いた後、Aさんに向かって「Aさんごめんなさいね。びっくりしたのよね。」と話をするのです!私はビックリしてしまい声も出ません。Aさんは笑顔でうなずいていて、私はとても悲しい気持ちになりました。利用者だからって職員に暴力をふるっていいわけない!と心の中で何度も叫んでいたことを今でも覚えています。

今の指導に生きている、信頼関係ができてから対応してもらう

確かに今思えば信頼関係が出来ていない職員が介助に入れば不安になるでしょう。また、不安そうに介助をしようとする姿を見ていると、「対応してほしくない!」という気持ちが利用者の本音だと思います。

私は今回のような経験で、後輩が介助に入る際はある程度の信頼関係が出来るまで一人で対応してもらわないよう指導するようになりました。今では成長させてもらった、懐かしい体験です。

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