介護士による高齢者虐待が問題になっていますよね。利用者の行動や、何度言っても理解してもらえないストレスが原因で引きこされてしまうことが多いようです。しかし、利用者ばかりが暴言や暴力行為の標的になっているわけではありません。
実は介護の仕事をしている介護職員も、利用者から暴言や暴力などのひどい仕打ちを受けることがあるのです。今回は実際に暴言を受けたときに感じた、切ない気持ちになった話です。
大声で威嚇!ビクビクしながら起床の声掛け

介護付き有料老人ホームで働いていたときのことです。新しくしてきた入居者Aさん(男性)は、昔気質の人で自分が正しいと思ったことは決して曲げないようない人でした。あんまりわからないようなことを言い続けると、「うるさい!!」と大声で怒鳴るようなタイプの人なので、他の利用者も委縮してしまいます。
私もまだ介護業界での仕事に就いて日が浅かったので、怒鳴り声や暴言を聞く度に「怖いなぁ」と思っていたものです。特に怒りやすい時間帯としては起床を促す朝です。朝が苦手なAさんに声掛けを行うのはとても不安で、朝っぱらから怒鳴られるのではないかとビクビクしていました。
声を掛けても返事なし。布団をめくると?

いよいよAさんに朝の声掛けを行う時間になりました。恐る恐るAさんに「もうすぐ朝ごはんですよ~」と声を掛けるも反応はありません。他利用者の起床介助もあるので一度部屋を出て、ある程度業務が落ち着いたところで再度声を掛けるも反応はありませんでした。
もしかしたら体調でも悪いのかもしれないとAさんの布団をめくってみると、「さわるな!!」と突然飛び起きてわたしの腕を思いっきり掴んだのです。掴んできた力は私の想像をはるかに超える強さだったのでびっくりしました。
最後には「出ていけ!馬鹿たれが!」と、暴言を吐かれ部屋を出ていきました。突然のできごとに私もなにがなんだか理解できないまま、部屋から飛び出していたのです。
笑い飛ばすも心は泣いてる事もある

同じフロアを任されていた同僚には、かなり機嫌が悪いから無理に食堂に誘わなくてもいいだろうと話し、あとからお部屋に食事をもっていくことになりました。
「Aさんの怒鳴り声聞こえましたけど、大丈夫でした?」と同僚から声を掛けられましたが、私は「全然大丈夫!いつものことよ!」と笑顔で返したのです。ただ、実際は意外と傷ついていました。
なんで朝食の時間を伝えに行っただけなのに、なんで馬鹿呼ばわりされないといけないんだと、とても寂しい気持になったのを覚えています。今思えば私もいきなり布団をめくったのが原因だったのかもしれません。
まだ入居間もないので、不安な気持ちを抱いていたことも理解できないくらい私も経験が浅く、他に良い方法があったのでは?と、時々考える思い出です。