介護の仕事に欠かせないトランスファーって知っていますか?
一般的にトランスファーは、移転や転移、乗り換えや乗り継ぎのことです。
介護で使われるトランスファーは移動全般を指します。介護現場では、トランスファーを「トランス」と短縮していたり「移乗」ということが多く、この場合移動全般ではなく「移乗介助」に特化して使われていることがほとんどです。
この記事では、
- トランファーと呼ばれる範囲とは
- トランスファー介助のポイント
をわたしの経験から気をつけたいポイントをお伝えします。
トランスファーの理解を深めて仕事に役立てられるだけでなく、腰痛の予防にもなりますよ!
目次
トランスファーは移乗だけじゃない。前後も見直して
トランスファーは、ベッド〜車椅子、車椅子〜トイレ、シャワーチェア〜浴槽などの物から物への移乗の場面だけを考えがちです。しかし、その前後の起き上がり、立ち上がり、歩いて移動などの介助もトランスファーなんです。
よく「トランスファーが下手で腰が痛くなる」と悩みを抱えている人がいます。そういった場合、物から物への移乗介助にばかり注目しがちですが、その前後にあるベッドからの起き上がり介助や歩行介助の方法まで見直すといいでしょう。
利用者の移乗介助だけではなく、その前後にある動きも含めた移動介助がトランスファーだと認識することが技術アップのに必要です。
ポイントを知るだけでトランスファーが上達する!?
トランスファーは経験を積んでコツを覚えていくものです。しかし、なかなうまくいかないと頭を抱えている人が多いのも事実です。
ここではトランスファーのポイントを簡単に説明していきます。
1.一方的ではダメ!コミュニケーションが動きを作る
介護は人と人が関わる仕事なので、コミュニケーションが欠かせません。これはトランスファーの時も同じです。
「立ちますよ」「いちにのさん!」と一方的に言うのではなく「足を引いてもらえますか?」「手すりを持って頭を下げてもらえますか?」と会話をしながら介助をすることで、利用者さんが自らを力を使ってくれます。その動きに合わせると、最低限の介助で済むようになります。
利用者と息を合わせて、自然と力を引き出す動きを作るためにも、コミュニケーションを積極的にとっていきましょう。
2.「この人に任せて大丈夫」安心感で、スムーズな介助になる
介助が必要な人は、筋力が低下していたり麻痺があって不安定な状態の人が多く、転んでしまうことに対しての不安を持っています。そこで重要なのは、動くことに対しての安心感です。
「立てるかな…」「後ろに転ばないかな…」「前に落ちないかな…」と、立つ時や座る時に不安を感じて手すりや職員に必要以上の力を込めてしがみつく人もいます。それによって介助の量が多くなり利用者さんにも職員にとっても負担が増えてしまいます。
不安を取り除いた安心感がもてる介助ができると、利用者さんの残存機能をとやる気を最大限に引き出すことができます。技術力向上のためにも、試行錯誤しながら介助を行いましょう。
3.トランスファーの上達のカギ「立つ・座る動き」
ベッドから起きる時や寝る時、トイレに行く時、お風呂に入る時など、立つ・座る動きが占めています。まずはこの動きを作れているか利用者の動きを見てみましょう。
立つ時は体を軽く押すように
立つ時の動きは、
- 足を引いて足の裏をしっかりと床につける
- 頭が下がって前かがみになる
- お尻が上がる
- 頭が上がって立ち上がる
立ち上がる時は体が進もうとする方向に軽く押してあげます。この時、持ち上げてしまったり、強く押しすぎたりしてバランスを崩さないようにしてください。
頭がさがる時は下に、前かがみになる時は前に、立ち上がる時は上になるようにしましょう。軽く押すことで「後ろに倒れない安心感」と「残存機能の補助」ができるようになります。
座る時は体を軽く引く
座る時の動きは、
- 頭がさがる(お辞儀のような体制)
- 膝が曲がりお尻が下がる
- 座ったら頭が上がる
- 座り直していい位置におさまる
座る時は体が進む方向と逆に軽く引いてあげます。座る時の不安は突然後ろに倒れることです。そのため、なかなか座ることができなかったり、手すりや職員を強く持ってしまったりするのです。この不安を取り除くために、進む方向と逆に体を軽く引くことでゆっくりと座ることができるようになります。
頭がさがる時は下がりすぎないように、お尻を下ろす時はゆっくり降ろせるように、上半身が勢いよく上がらないように。軽く引いてあげることで「突然座り込んでしまう不安感を軽減する」ことと「残存機能の補助」ができるようになります。
今まで意識できてなかった事に意識を置いて!
トランスファーの介助とは、自分が普段からしている立ち方や歩き方を作り出すことがポイントです。
- 現場では「トランス」や「移乗」と短縮して使われる
- 移乗介助だけでなく、その前後の移動の動きも含める
- 人の動きのポイント頭において、利用者の動きを作り出せる
- 一つ一つの動きをコミュニケーションで伝えて残存機能を活用する
- 利用者に安心感を感じてもらうと、残存機能がさらに引き出せる
ポイントを押さえることで、利用者にも介助者にも優しい介助ができるようになってくださいね。