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歳を重ねるごとに身体の機能が衰えることは仕方がないことです。介護現場では、加齢や病気などにより飲み込む力が低下した人でも最期まで口から食べられるように様々な工夫をしています。

例えば、食事を細かく刻む、軟らかく煮るなども工夫の一つです。その他、水分などでむせてしまう人のために「とろみ剤」を使用する方法があります。

ここでは、介護食に多く使われている「とろみ剤」について詳しく説明していきます。とろみ剤の機能を理解して安全でおいしく食べられる食事の提供を心がけましょう。

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とろみ剤とは?

一般的な調理した料理にとろみをつけたい場合、何を使いますか?

ほとんどの人が水溶き片栗粉を使用して必要なとろみをつけるでしょう。しかし片栗粉を使う場合、加熱して沸騰している中に水溶き片栗粉を入れてとろみをつけます。また食事が冷めると水溶き片栗粉の効果が薄れ、とろみが少しずつ緩くなります。

粘性が保てず、すぐに緩くなってしまうと、水分などでむせやすい高齢者に負担がかかってしまいます。またとろみをつけるごとに加熱が必要となると、手間がかかります。そのため、介護現場では、水分などにとろみをつける場合、専用のとろみ剤を使用します。

専用のとろみ剤は飲み物などの種類によってとろみがつくまでの時間は異なりますが、適量を混ぜるだけでとろみをつけることができます。

とろみ剤が必要な理由

年齢を重ねるごとに噛む力や飲み込む力が衰えたり、病気の後遺症としてマヒがあるなどの場合、食べ物や水分がのどを通りにくくなり、むせや誤って気管に入ったりすることを誤嚥と言います。誤嚥は、肺炎の併発や食べ物がのどにつまり窒息の恐れもあり、大変危険です。以上のことを防止するために、とろみ剤が必要になります。

とろみ剤の効果

とろみ剤の効果として以下の2つがあげられます。

液状の食材や水分がのどへ入るスピードを緩める

液状の食材や水分は口へ入れると本人が思っている以上に早くのどを通過してしまいます。一方で噛む力や飲み込む力など嚥下能力が低下した高齢者の場合、勢いよく通過することにより、むせてしまいます。そのため、液状の食材や水分へとろみ剤を使用することにより、のどを通過する時間がゆっくりとなる効果があげられます。

食べ物が口の中でまとまりやすく、飲み込みやすい

通常、口の中に入れた食べ物を私たちは咀嚼し、飲み込みます。しかし唾液の分泌が少なくなったり、舌の機能が低下してくると、食べ物を口の中でまとめることができず、むせてしまったりする原因になります。むせなく食べてもらうために、水分などはとろみをつけることにより、安全に飲み込むことができます。

とろみ剤が使われている介護食

平成26年11月に農林水産省より今まで「介護食」と総称されていた食品の名称を「スマイルケア食」にすると発表されました。

「スマイルケア食」は、従来、飲み込む力が低下した人の介護食に加えて、低栄養の予防につながる食品など豊かな食生活を目的としており、公募により決定した名称です。

スマイルケア食・ユニバーサルデザインフードの選び方

引用:介護食品 スマイルケア食・ユニバーサルデザインフードの選び方

農林水産省では、以上のように食品の硬さや対象者の噛む力や飲み込む力などによって、スマイルケア食を7つに分類し、マークを示しています。スマイルケア食⓪~②、□の2~3は、とろみ剤を使用して食べやすさの工夫がしてある食事です。

とろみ剤を上手に使う4つポイント

  1. とろみ剤は、使用量によってとろみのつき方が違う。決められた分量を守る。
  2. すばやくかき混ぜることが基本。とろみ剤がダマになってしまう。
  3. とろみ剤は冷たいものよりは温かいものに加えて混ぜた方が溶けやすい。
  4. とろみ剤は、数秒間、混ぜ続ける必要がある。追加で入れるとダマになりやすいので注意。

介護者によってとろみのつき具合が異なることはよい介護とは言えません。とろみ剤の分量を測り、誰が作っても同じとろみがつくようにすることも大切です。

現場でよく使われているとろみ剤

実際に福祉現場でよく使われているとろみ剤を紹介していきましょう。

ネオハイトロミールⅢ (株)フードケア

クリア系とろみ剤です。とろみがつくまでの時間が早く、少量でしっかりとろみがつきます。

ネオハイトロミールⅢ

引用:ネオハイトロミールⅢ

スルーキングI (株)キッセイ薬品工業

クリア系とろみ剤です。溶けやすさ、ベタツキのないとろみがつきます。

スルーキングi

引用:スルーキングi

ソフティアS (株)ニュートリー

クリア系とろみ剤です。液体の種類を選ばず、すばやくとろみがつきます。

ソフティアS

引用:ソフティアS

スベラカーゼ (株)フードケア

特殊ゲル化剤です。クリア系とろみ剤と異なり、ミキサー粥や食品のべたつきを改善し、ソフトゼリー状の食事を温かく提供できます。

スベラカーゼ

引用:スベラカーゼ

おいしく食事を食べるために

加齢にともない、噛む力や飲み込む力が低下することは仕方がありません。

そのため、介護食知識として「とろみ剤の使い方」は学ぶ必要があります。

とろみ剤は単に粉を入れるだけではありません。とろみ剤の分量によってもとろみのつき方が異なります。利用者の嚥下状態を把握し、どの程度のとろみ具合が必要なのかを見極める技術も介護職として求められます。

食事の基本は安全においしく食べられることに尽きます。一人ひとりに合わせた食事を考えていく上でとろみ剤が必要な人へ適正に利用していきたいですね。

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