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介護職員が抱えているストレスを解消するためには、ストレスとなっている原因を知り、個々に対応することが必要です。また、ストレスマネジメントを行うことでストレス状況を把握でき、早期に解消することができます。

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介護職のストレス要因に5つのポイント

介護の仕事は人と密接に関わることが多く、大きなストレスがかかるといわれています。介護に携わる者としては、仕事にやりがいはあるが苦しい時もあるというのが正直な気持ちでしょう。個人によって多少異なる部分はありますが、介護職のストレスとなる要因は、以下の5つがあげられます。

  • 人間関係
  • 仕事量
  • 身体的負担
  • 経営方針や理念と意見の違い
  • 利用者の状況

日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学リポジトリ「介護専門職のストレスの現状と課題 : 特別養護老人ホーム介護職員のストレス要因体験頻度の分析から 」

著 高橋美岐子 藤沢縁子 佐藤沙織 佐藤怜

職場の人間関係

人間関係に関するストレスは介護職に限らず、多くの人が抱えている問題の一つです。介護は1人できません。職員同士が協力して行う業務も多く、チームワークが大切です。一方で、一緒に働く仲間と言っても苦手な人もいるでしょう。施設という限られた空間の中、誰とでも仲良く協力してやっていかなければならない状況からストレスが発生しています。

職場内の困った人として、失敗ばかりで自分のやり方を変えようとしない人、話を聞かない人が上位にあげられます。解決方法は、まずは批判にならないよう気をつけながら一緒に仕事をして困っていることを伝えましょう。それでも改善がみられないときは、上司へ相談し、上司から話をしてもらうのも一つの手段です。

しかし、根本的に性格などが合わない人の場合、何かできるわけではありません。仕事として割り切ることも大切です。その他の解決方法としては、人のことばかりを気にせず、休日に趣味を楽しむことやカラオケで大きい声を出すなど自分なりにストレス発散方法を考えましょう。

人手不足による仕事量の増加

介護職は「きつい」「汚い」「危険」「給与が安い」などのイメージが強く、人手不足がなかなか解消できない現状があります。そのため、ギリギリの人員配置で施設運営しており、1人に対する仕事量は増加しています。人手不足を解消するために日々の業務の見直し、福祉用具の充実、介護ロボットの導入などがあげられます。

特に介護ロボットは、2015年から利用料の9割を介護保険で補助するなど導入に向けて取り組みがされています。見守りなどの介護ロボットの他、移乗や移動を補助するもの、職員が道具を身に着けて介護業務を行うことにより重さなどを軽減するなど、機能はさまざまです。

介護職は仕事量の増加により職業病として腰痛が問題になっています。高齢者は急増し、働き手は不足する中で、介護ロボットは働きやすい職場環境を作る上でも大きな役割を担っていると言えるでしょう。

身体的負担が大きい事

介護職は勤務体系や施設の特徴によって働き方が大きく異なり、変化によって身体的負担が大きくなります。

勤務体系

入所施設で働く介護職の場合、昼夜問わず介護の必要な人が入所しているため、夜勤を行い、24時間の生活を支えています。勤務は、施設によって時間は多少異なりますが、夜勤以外に早番、日勤、遅番などがあり、多くの介護職は変則勤務となります。連日勤務が続くと疲れが身体に残ってしまい、体調不良を訴える人も少なくありません。身体的な負担はとても大きいです。

施設の特徴によって異なる

介護保険施設は入所施設以外に、通所介護事業所、訪問介護などいろいろあります。入所施設は現在、申し込みの段階で中程度以上の介護が必要な要介護3以上の利用者しか申し込みができません。そのため、入所施設は、介助量は多くなります。

一方で通所介護事業所は自宅で生活しているため、比較的軽度な利用者と言われています。しかし軽度な利用者の方が多い分、できることを取り上げないように待つ、手先の細かいレクリエーションを行うなど、働き方の特徴が異なります。また訪問介護では、自宅で介護を提供します。個人宅によって状況が異なり、段差の多い部屋での介助や一方向からの介助など身体に負担のかかるような介助も多いです。

無理な姿勢や重介護による腰痛

職業病と言われるほど、介護を行う上で前かがみ姿勢、自分で動けない人への介助が多く、身体的に負担のかかる仕事ばかりです。そのため、各事業所では安全衛生委員会を設置し、福祉用具の導入や介護技術の向上を考え、身体的負担の軽減に努めています。

自分に合わない経営方針

平成30年度介護労働安定センター「介護労働実態調査」によると、退職する要因の上位に介護施設の経営方針や理念と自分の考え方が合わないことがあげられます。上位理由にあがるほど、ストレスを感じることとしてとらえる介護職は多いです。

その他としては、給与の安さがあげられます。処遇改善加算など介護職の賃金を少しでも手厚くしたいと、処遇改善加算は処遇改善交付金として国から支払われことがきっかけとなり、現在の形に至っています。

しかし平成30年度分国税庁「民間給与実態統計調査」によると業種平均は440万円に対して、医療・福祉分野は397万円と少ないのが特徴であり、不満の大きな理由となっています。

利用者の認知症

認知症からくる行動であることはわかっていても言動にイライラし、ストレスを感じてしまうことがあります。認知症の利用者と向き合うためには認知症への対応方法を考える必要があります。具体的な対応方法は以下のことがあげられます。

訴えに耳を傾ける

被害妄想、幻覚、できないことをできると言うなど認知症の症状は利用者にとって異なるため、否定をせず、訴えをまず聞きましょう。私たちでは解決できない問題であれば、訴えを聞きながらどのような社会資源を活用していけるのかを考えます。一方で、利用者の多くは話を聞くだけで落ち着く人も大勢います。

間違ったことを言っても否定しない

認知症利用者は自分の世界に生きており、自分の意見が正しいと思っているため、否定をされると怒る人が多いです。訴えに対して反復する技法を使いながら肯定も否定も行いません。訴えは必ずしも正しいとは言えませんが、否定されたことはいつまでも記憶に残ります。否定せず、反復をして確認しながら利用者に寄り添いましょう。

問題と言われる行動を指摘するのではなく原因を追求する

認知症による行動であると面と向かって本人に言うのではなく、なぜそのことにこだわって訴えが続くのかを考えてアプローチしましょう。私たちはすぐに問題行動ととらえてしまいがちですが、利用者には利用者なりの行動を取る理由があります。

例えば、食べ物を隠してしまうことは嫌いだから残すばかりではありません。昔、食べ物に苦労をしたため、なくならないように保存している可能性があります。また子どもが好きで、子どもの幻覚が見えることが多いのかもしれません。

理由は説明できなくてもその利用者なりの考えがあり、その行動を起こしているため、行動を指摘する前に本人の性格や様子から原因を考えましょう。

ストレスの原因

ストレスの解消方法はストレスマネジメントを行うこと

職場の人間関係や利用者などさまざま要因が重なり、ストレスの原因となっています。解消するためには、スキルを活用する、家族の場合はゆっくり話しを聞くなど技法を活用してストレスをコントロールすることが大切です。

ストレス状況を把握すること

2015年12月より一定規模の事業者は、全従業員へストレスチェックをすることが義務化されました。そのため、全従業員へストレスチェック制度について説明し、実際にストレスチェックを行っています。これはストレスチェックを行うことで自分のストレス状況が評価できる、またストレス悪化の前段階に気づくことで予防の効果が期待されています。

早期の受診でうつ病が予防できる

介護職の中にはストレスに気づかないまま仕事を続け、ストレスを抱える、考えすぎるあまりにうつ病を発症する人が増えています。真面目な人、責任感が強い人などが自分でも気がつかないうちに精神的なストレスが大きくなり、うつ病になるパターンが多いようです。

急に体調不良になる、倦怠感が続くなどいつもと体調が異なるようなときは早めに専門医を受診しましょう。うつ病は早めの治療でよくなります。治療と平行して仕事への取り組み方も考える必要があります。

介護はチームケアが基本で一人でできるものではありません。精神的にストレスを感じているのであれば、職場の仲間を頼り、相談して気持ちのバランスを整えましょう。

ストレスマネジメントを行うことが大切

精神的なストレスは目に見えず、「私は大丈夫」と思っていても精神的に負荷がかかっている場合があります。ストレスチェックを行い、自分のストレス状況を把握することが第一歩です。加えて、自分のストレスを軽減・解消するためにどのようなことをすればよいのかを考えましょう。

食べることが大好きな人であれば、おいしいものを食べることでもよいです。その他、カラオケで大きな声で歌う、趣味を楽しむ、家族とゆっくり過ごすなど人それぞれ自分のストレスを軽減・解消する方法を知っているはずです。

精神的なストレスは自分を追い詰め、正しい判断ができない可能性があります。自分が自分であるために自分自身を見つめ、介護職として自分のやりたいこと、職場、仕事への取り組み方について考えていくことが大切です。

 働きやすい職場環境選びがあなたを輝かせる

あなたはなぜ介護の仕事を続けているのでしょうか?

日頃から考えることが多すぎていつの間にか忘れてしまっている介護の現場で働く理由。母が祖母の介護を大変そうにしているのを見て介護職を志した人や、障害者の方が当たり前の日常を送れない現実を知って、当時の自分では何も力になれないもどかしさから介護の仕事を志した人もいるでしょう。

現在、あなたが介護の仕事を行っているのは、「人の力になりたい!」と強く思ったからではないのでしょうか?

3K(きつい、汚い、危険)と言われていることを知った上で働き続けているあなたは高齢化社会である日本の誇りです。

介護業界の主役は現場で働くあなた自身です。

あなたをキッカケに、「介護の仕事って楽しいんだよ」「介護ってかっこいいんだよ」と思ってもらえる仲間が増えることを祈っています。

まずはあなた自身が輝ける場所に行きましょう。

世の中は、熱い想いを持って介護の仕事に取り組むあなたのような人材を求めています。

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