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介護業界で働いていると、高齢者の仕草や行動、会話等から「あれ?もしかしたら認知症では?」と感じる事がありますよね。職業病と言ってしまえばそうかもしれませんが、失礼と思われてしまう可能性もあるので、家族に「もしかしたら認知症かもしれないよ」なんて事はなかなか言えません。

認知症の人と出会った事が無い人からすれば、認知症の知識や症状をあまり見た事が無いので、「うちの親に限ってそんなはずはない」なんて失礼にとられてしまう事があるからです。初期の症状ではなかなか分かりにくい事も多いですし、家族がなかなか現実を受け入れられない事もあります。

参考ちょっと教えて!予防したい認知症の前兆とは?

しかし実際認知症と診断され、家族が介護をする事になれば大きなストレスを抱えてしまう可能性も十分あるのです。今回は認知症を発症してしまった親や祖父母など、家族間介護でストレスを抱え込まない対策についてお伝えしていきます。

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認知症の家族から、よくある相談って?

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認知症の家族から、ケアマネジャーに多く寄せられる相談内容をみていきましょう。

高齢者夫婦での生活

高齢者夫婦2人で生活している家庭は多く、夫・妻のどちらかが認知症を発症してしまった場合はそのまま介護する側・受ける側として夫婦での生活を続ける家庭もあります。

認知症の症状がどの程度なのかで介護側の負担も変わってきますが、排せつ介助や後始末。その他入浴や食事等、生活をする上でのすべての事を見ていかなければならないので、身体的にも精神的にも負担が掛かります。

さらには毎日の事になるので、自分の時間も無くなってしまうでしょう。そうなれば疲労やストレスがどんどん大きくなり、最終的には倒れてしまう事があるのです。倒れてから初めてケアマネジャーに相談する、意外と少なくない事例の一つです。

親の介護

次によくある相談が、親子で生活していて子供が親の介護を行っているケースです。

最初は「親の面倒くらい自分が見てやらないと」という愛情や親子の絆を大事にして、毎日の介護を行います。しかし、だんだん親の認知症が進むにつれて、子供の生活も親中心の生活になってしまいます。

テレビのニュース等でも、「介護退職」が話題になりましたが、親の介護が忙しくなってしまい長年勤めた会社を退職してしまう事もあるのです。「親の介護の為になんて立派な子供なんだ!」と、思うでしょうか?

退職をしたら今まで生活を支えた収入が無くなってしまいます。収入がなくなったらどうなるでしょう?住んでいる家賃の支払いや、食べる物を買う事すら出来なくなり、介護どころではなくなるでしょう。もちろん退職をしても生活する為の貯えや、別の収入がある場合は問題ないでしょうが、最終的に生活が出来なくなってしまい、相談が入るケースもあるのです。

介護から虐待につながった

最後は配偶者や子どもが介護をしていたが、認知症が重度の為に何を言っても、

  • 繰り返し同じ行動・言動を続ける
  • 食事を出しても食べない
  • 暴力行為をしてくる

上記のような行為が繰り返し見られ、耐え切れず認知症の家族を殴る・縛る・無理やり食べさせる等といった虐待行為が日常化してしまう事があるのです。

「明らかにおかしい」と、近所の人や介護をしている人の兄弟、親せきなどが心配をして、ケアマネジャーに相談が入るといったケースもあります。家族や親族の為に善意で行っていた介護が虐待に変わっていた。なんてとても悲しい事にならないよう、ストレスを溜めないようにしなければなりません。

認知症介護で家族のストレスを減らすには?

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介護職員が認知症の人を介護するのとは違い、家族間での介護は非常に大きなストレスを抱えてしまう事があります。どうしても家族としての私情が入りますから、「なんで理解できないのか」「優しい母がどうして」等と怒りや悲しみといった感情が生まれてしまうからです。

感情に左右されてしまい、どんどんストレスが溜まっていく状況がいずれ虐待に繋がってしまうかもしれません。虐待を事前に防止する為にも、ストレスを溜めない介護方法をお伝えします。

介護保険サービスの利用は早めに開始する

まずは介護の事はプロの介護士にある程度任せましょう。親や親せきの様子が少しでも変だなと思った時は、相談のタイミングです。

相談をしたからといって全て介護士に介護を任せるわけではありませんし、施設に入らなければならないわけでもありません。しっかりと家族の要望や本人の思いも受け入れながら、自宅で生活を送れるようプランを立ててくれるでしょう。

一人で抱え込まない

「自分が何とかしないと」と抱え込まないで下さい。親せき・兄弟・配偶者等の親族みんなで協力・介護をしながら、介護サービスを利用する事を考えましょう。

自分の時間を作る

介護をしている為に自分の生活を犠牲にする事はありません。介護サービスを利用している間を趣味の時間にしてみましょう。また、ストレス発散の為に旅行などに行く為に家を空ける時には、短期間泊まりで介護をしてくれるサービスもあります。

どんな時でもまずはケアマネジャーに相談する事を忘れないで下さい。

まとめ

自分を犠牲にせず、専門家に相談する事

今回は家族介護でよくある事例や、ストレスを抱えない為の方法についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

家族介護を行う上で重要なのは、

  • 介護保険サービスを利用する
  • 一人で抱え込まない
  • 自分の生活を犠牲にしない
  • 認知症の知識を身に付ける

以上の4つになります。

とにかく行動や言動がおかしいと感じたら、気軽にケアマネジャーに相談する事が一番です。もちろん家族で介護をする事は素晴らしい事ですが、介護を専門としている業種の人を交えて話し合えば、きっと自分の知らない方法を教えてくれるでしょう。「身内に認知症の人がいるのが恥ずかしくて誰にも言えない」なんて事は絶対に思わないで下さい。

認知症は病気です。認知症になりたくてなった人は一人もいないのです。今後高齢者がますます増えていく日本。決して他人事ではありません。今まさに家族介護を行っている人の負担やストレスが軽減できる事を願っています。

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