高齢者の歩行介助って意外と対応するのが怖かったりしますよね。しっかり対応していたつもりでも、突然高齢者の膝折れが見られて転倒してしまう事もあります。
特に自宅や施設ではなく、外出している場合は普段より注意を払って対応しなければなりません。
砂利道やぬかるんだ道、段差などは高齢者にとってつまずきやすい条件が多く重なります。
外出の時はなるべく障害がある場所は通らず、疲れが出てきた時には車いすなどを用意しておく事が適切な対応と言えますね。
ただし、施設や自宅だからと油断していてはいけません。施設や自宅にも注意しなければならない場所やポイントは存在しているのです。
今回は注意しなければならない施設や自宅の場所の一つとなる、階段での歩行介助についてお伝えします。
杖を利用していて、麻痺がある人の場合
まずは杖を利用して普段歩行している高齢者の階段歩行になります。
杖歩行をしている人は何らかの理由で杖を持っていない手や体、足などが不自由な場合が多いです。
今回は半身麻痺の場合での杖歩行の階段介助でお伝えしていきます。
- 階段を上る時
まずは階段を上る時になりますが、一番注意しなければならない事は上っている最中にバランスを崩して後ろに落ちてしまう事が無いように努める事です。
転落しないよう介助するには、職員はどう対応するべきでしょう?もちろん「高齢者の後ろ側」に立って介助をします。
さらに左が麻痺ですので、患側である左後ろで介助を行うようにして下さい。
まずは健側で持っている杖を最初の1段目の階段につき、健側の足で1段上がります。
最後に麻痺側である患側の左足を1段上がらせるようにします。
杖→健側→患側
の順番を繰り返し行い、階段を上がっていくようにしましょう。

理学療法士が教える階段昇降(杖編)
https://www.youtube.com/watch?v=QXZ_zfxVlM0
上記の画像のように、杖→健側ときて、

理学療法士が教える階段昇降(杖編)
https://www.youtube.com/watch?v=QXZ_zfxVlM0
最後に患側となっています。
介護職員は高齢者を焦らせる事なく、本人のペースで行えるように対応しましょう。
- 階段を降りる時
次は階段を降りる時になります。降りる時は前に転落する事が一番の大事故に繋がる内容ですので、一段下の位置にいるようにして下さい。
階段を降りる場合もまずは一段下に杖を突く所から始めましょう。しっかりと握り、杖を安定させてから今度は患側から下ろすようにします。
患側をしっかり降ろす事が出来たら、最後に健側をゆっくり下ろしましょう。

理学療法士が教える階段昇降(杖編)
https://www.youtube.com/watch?v=QXZ_zfxVlM0
上記のようにまずは杖を下ろし、安定したら患側を下ろす。

理学療法士が教える階段昇降(杖編)
https://www.youtube.com/watch?v=QXZ_zfxVlM0
最後に健側を下ろします。
麻痺を持つ高齢者の階段歩行の介助については、以上になります。
介護職員はしっかりと高齢者のペースに合わせて介護をして下さい。
杖を使わない場合
麻痺のある高齢者の人でも、階段の歩行介助として杖を使わずに行う対応方法もあります。
杖を使わず介護する方法としては、設置されている手すりを持って上り下りをするのです。
手すりを利用して上るとき
まずは上る時になりますが、方法や手順としては杖の時とほとんど変わりません。
- 手すりにつかまる
- 手すりにしっかりつかまったら健側の足から上るようにする
- 1段上がった健側に重心をしっかりかけて、患側を同じように1段あげる
上記の手順で行う事になります。
自分の力を使ってしっかり上っている高齢者に対して、介護職員は患側の後ろから支えてあげましょう。

【自宅で介護#4】階段の上り下り
https://www.youtube.com/watch?v=7TADOG58LME
手すりを使用して下りる時
手すりを使って下りる場合も、杖を使用して下りる方法とほとんど同じです。
- 健側がで手すりにつかまる
- 患側の足から下りていく
- 最後に健側を下ろす
となっています。
介護職員は膝折れ等で階段から転落しないように一段下で対応するようにします。
さらには麻痺側の手を握り、もう一方の手で脇に手を入れて支えながら下りるようにして下さい。

【自宅で介護#4】階段の上り下り
https://www.youtube.com/watch?v=7TADOG58LME
上記のように対応すれば、万が一患側の足が段差にうまく着地できずに膝折れをしても、脇を支えているのでそのまま転倒してしまう事はありません。
また、介護職員は上りも下りも必ず声を掛けながら対応するようにしましょう。
杖を使っていない方や麻痺が無い人も、一段一段両足を揃えながら上り下りした方が、転倒のリスクが低くなるので無理をさせないよう声掛けを行ってください。
「前のめりになっているので一回姿勢を整えましょうか」「無理せずゆっくりで大丈夫ですよ」「支えているので安心して下さいね」等と高齢者の一歩一歩の状態を常に確認しながら、しっかりと階段歩行が完了できるよう心がけて下さい。
まとめ
事故に繋がらない為に
今回は階段の上り下りについての介助方法についてお伝えしてきましたがいかがでしたでしょうか?
階段には危険が多く潜んでいます。
段差に引っかかりつまずいたり、階段を踏み外して転落したりしないよう常に介護者は注意を促さなければなりません。
基本的な介護方法をしっかり守って対応する事覚えておきましょう。
階段での介助で大事な事は
・上る時は杖→健側→患側
・下る時は杖→患側→健側
・手すりを用いて階段利用する時も、健側・患側の順番は同じ
・職員は患側での介助を行う
となっています。
階段を利用する高齢者を介助する場合は、手順を間違えば大きな事故に繋がってしまう可能性が高いので、是非参考にしてみて下さい。