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立ち上がり介助をする時には、注意しないと利用者さんの膝がカクンと曲がってしまい(膝折れといいます)、転倒する危険があります。特に半身麻痺や下半身麻痺の場合、膝折れする可能性は非常に高くなります。介護を始めたばかりの人にとっては、大変な介助かもしれません。

膝折れせずに安全に、しかも利用者さんが楽に、さらに自分も楽に立ち上がり介助を行うには、3つのポイントを押さえる必要があります。

この記事では膝折れが危険な理由と、安全な立ち上がり介助に役立つ3つのポイントをお伝えします。

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なぜ膝折れが危険なのか

膝カックン

地域によって呼び方は違うかもしれませんが“ひざカックン”という遊びがあります。立っている人の後ろから静かに近づいて、相手の膝の裏を自分の膝で押して「カックン」とさせる動きです。

健康な人でさえ、突然されると膝が崩れ落ちるような体勢になってしまいます。まして、半身麻痺や下半身麻痺の人の場合、膝が崩れればそのまま床に膝やお尻が押してしまい、骨折する危険があるのです。

立ち上がり介助の手順

介護場面で利用者さんの立ち上がりを介助する場面は多々ありますが、ベッドで端座位(ベッドの淵に腰かけて座っている)でいる方の立ち上がり介助をする時の手順は次のとおりです。

  1. ベッドに浅く腰かけていただく(ズリ落ちないように気をつけて!)
  2. 両足の底がしっかりと床につくようにベッドの高さを調節する
  3. 靴を履いていただく(腰かける前でも可)
  4. 介助者は、姿勢を安定させるため足を肩幅ほど開き、自分の膝を曲げて重心を低くする。
  5. 利用者さんの背中や腰に手を回し、利用者さんにも介助者の背中や首の後ろに手をまわしていただく。
  6. 十分な前かがみ姿勢をとりながら立ち上がれるよう「おじぎしながら立ち上がりましょう」と声を掛け、おじぎができるように自分が後ろに一歩下がりながら立ち上がる。
  7. 立ち上がった利用者さんの体を両手でしっかり支える。

手順を理解し、要所要所でポイントを押さえることが安全な立ち上がり介助を行う秘訣になります。

安全な立ち上がり介助のポイント

膝折れせずに、安全な立ち上がり介助を行うには、次のポイントを押さえる必要があります。

  1. ダンスのように密着させて!
  2. 立ち上がる時はお相撲さん!
  3. 欧米でもベッドでは脱ぐのに、下足のまま!?

なんのこと!?と思った人、ぜひ続きを読んでくださいね!

ポイント1:ダンスのように密着させる

齢者がひら折れせずに立つ方法1齢者がひら折れせずに立つ方法2齢者がひら折れせずに立つ方法3齢者がひら折れせずに立つ方法4

引用:立ち上がり介助/高齢者がひら折れせずに立つ方法|オアシスナビ×ハートページ

立ち上がり介助の時に膝折れしないためには、相手の膝を自分ではさむとか、膝が折れて前に出ないように相手の膝の前に自分の太ももを当てるなど、とにかく近い距離での介助を行う必要があります。

写真のように相手との距離を縮めます。

ポイント2:立ち上がる時はお相撲さん

お相撲さんの姿勢を思い出してください。シコを踏む時、立ち上がる時、勝ってお金を受け取る時など、すべてにおいて脚幅を開き、重心が低い状態です。

膝折れや転倒を防ぎ安全な立ち上がり介助を行うためには、脚幅を開き重心を低くし、安定性をあげる必要があります。

介護初心者にも分かりやすい移乗・移動介助の基本

引用:無理なく安全に!介護初心者にも分かりやすい移乗・移動介助の基本|レオパレス21グループの介護サービス あずみ苑

お相撲さんが椅子に座っている姿をテレビなどで観たことがあるでしょうか。ドカッと深くまで腰かけるというよりも、すぐに立ち上がれるような位置で浅く座っています。もちろん、お相撲さんの場合には体格や体重という面から浅く腰かけるのですが、立ち上がり介助においても浅く腰かけ直すのは楽に立ち上がるための大切な要素です。

立位移乗の介助を考える

引用:大切な力を引き出す!立位移乗の介助を考える|komachi介護ご用聞きネット

さらに相撲の立ち上がりのように前かがみになる必要があります。介助の時に声を掛けるポイントとすれば「おじぎをするように立ち上がりましょう。」となるのです。

  • 十分に脚幅を開くこと
  • 椅子やベッドに浅く腰かけること
  • おじぎをするように、前かがみの姿勢を経て立ち上がること

この3つの要点を押さえるためには、お相撲さんになるのが手っ取り早いのです。

ポイント3:欧米でもベッドでは脱ぐのに、下足のまま!?

安寿立ち上がり補助マット 据置用 足下すべり止めマット

引用:安寿立ち上がり補助マット 据置用 足下すべり止めマット|快適空間スクリオ

立ち上がってもらおうとしたら、利用者さんの足がすべってしまってうまく立ち上がれない!ということがあります。立ち上がるためには、床についている足にしっかりと体重をかけて立ち上がってもらう必要がありますので、靴下の場合はすべってしまいます。

どんな工夫を加えても、靴下がすべりやすいことには変わりありません。2人で介助するのであれば、前後で支えることができるのですべっても対応できますが、1人の場合は困難です。

一つの解決策としてベッド上で横になるまで、あるいは立ち上がる前にベッド上で靴を履いていただくことが揚げられます。つまりベッドや布団の上で靴を脱ぎ履きする、というわけです。

もちろん、利用者さんの許可をいただく必要がありますし、靴が直接リネンに当たらないようにレジャーシートやシーツなど敷物を敷くことができます。

この方法は賛否両論あります。そうはいっても靴を上げるのは良くない、というのなら、靴下でもすべりにくいマットを敷くことができます。

安寿立ち上がり補助マット 据置用 足下すべり止めマット2

引用:安寿立ち上がり補助マット 据置用 足下すべり止めマット|快適空間スクリオ

安全な立ち上がり介助を行うために

介護の仕事を行うのなら、立ち上がりの介助は絶対に必要です。利用者さんの病気、身体的な状況や後遺症、ベッド周りやトイレ周辺などの生活環境などは人それぞれです。この記事に揚げた3つのポイントを意識しながら行うことを習慣づければ、自然と、安全な立ち上がり介助の方法が身に着くことでしょう。

らくらく介護 本人の動きに合わせて

引用:らくらく介護 本人の動きに合わせて|きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

イラスト上段のように、ある程度下肢に筋力が残っていて麻痺や拘縮がない人であれば、両手をつかんで立ち上がり介助を行うことができます。そうではない場合には、両脇に手を入れて介助することになります。

立ち上がる(ベッドから・介助あり)

引用:立ち上がる(ベッドから・介助あり)|訪問看護ステーションナースアテンダント

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