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介護職を始めてすぐ辞めること自体に問題はなく、退職は可能です。職場ごとで退職に関する就業規則が異なるので、早めに上司に相談することが先決です。また退職理由を上司が納得するよう言い換えたり、無断欠勤からの退職は避けるなど、早く辞めるにはポイントがあります。転職する際も、自分のスキルと求人先の職務内容を照らし合わせたり、求人先の離職率をチェックしたりすることも、早期退職を防ぐ上で大切な情報収集です。

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介護職に就いてすぐ辞めても大丈夫

自分に合わないと思った職場は働いてすぐであっても辞めることは可能です。人には合う合わない、受け入れることが難しい価値観があります。モチベーションを高めることができないまま働き続けることは苦痛であり、同じ職場で働く人にとっても悪影響を及ぼします。また会社側もやる気のない社員に無駄な人件費を費やす必要もなく、双方によってプラスになります。

介護職に就いてすぐ辞める際のポイント

4つのポイントの説明
4つのポイントの説明

働き始めてすぐに辞める場合、気をつけたい4つのポイントがあります。働き始めたばかりで退職を申し出ることはためらいも大きいでしょう。会社側に迷惑をかけてしまうという負い目を感じることが多いです。

一方で厚生労働省における平成30年度「産業別入職率・離職率」によると、離職者数は医療、福祉が第3位1,135.7千人となっています。離職率が高く、働く人の出入りが多いことが統計から伺えます。そのため、退職するにあたって4つのポイントを自分の中で明確にすることで、会社側に不快を感じさせず退職することが可能になります。

辞めたい意思をはっきり伝える

仕事を続けることが難しいようであれば辞めたいことをはっきり伝えましょう。辞めたい人が多いと、引き留められる、退職日を先延ばしにさせられる恐れがあります。いつまでに辞めたいのかの意思をはっきりさせましょう。

辞める理由は会社側ではなく主語を自分にして伝える

辞める際の伝え方の工夫の説明
辞める際の伝え方の工夫の説明

退職理由は自分を主語にして相手に失礼のないように伝えましょう。何事にも正直に話すことは大切ですが、ものごとにはそのまま伝えると失礼になってしまうことがあります。相手に不快を与えない言い回しが求められます。その際の言い換えとして、主語を自分にすることが大切です。

例えば、業務が時間内にいつも終わらずサービス残業が当たり前になっていることが退職理由の場合を考えます。正直に「サービス残業が多く、身体的な負担が大きいから辞めたい」と伝えると上司の印象はよくありません。この場合、「自分には知識や技術が足りず、業務についていけないから辞めたい」というように自分を主語にして劣っているから決められた業務ができないことが退職理由であると言い換えましょう。

その他、施設の理念や方針に合わなかった場合は、「施設の方針が自分の福祉に対する思いと異なっていたため、退職したい」というように会社側に非がある言い方を避けます。あくまで自分の思い描いていた介護と異なっていたと伝えることで早期退職でも上司にスムーズに受け入れられます。

介護業界内で転職をしたいのであれば無断欠勤等は控える

お互いにわだかまりを残さないためには無断欠勤は控えましょう。介護の現場では、退職意思がなかなか伝えられず、無断欠勤が続いて退職扱い、または体調不良を理由に欠勤が続き退職という例がよくあります。

就職した以上、退職の場合は入職時と同様に事務手続きがあります。人手不足の現場が多い中、欠勤が続き退職の場合、手続きに行くこと自体が気まずいでしょう。加えて自宅と職場が近いと、近所で偶然職場の人と出くわすことも多いです。また同じ介護業界で転職をした場合、業界内で横のつながりがあるため、悪い噂を流される可能性があります。

試用期間中の退職は早めに上司に相談する

試用期間中であっても雇用されていることに変わりはないため、退職希望はすぐに直属の上司へ相談しましょう。労働基準法では、退職予定日の2週間前に退職を申し出ることと定められています。会社によって就業規則は異なるため、引継ぎ期間を加味して独自の期間を設定しているところがあります。退職希望は、躊躇せずすぐに上司に相談することで円満に退職する方法が見つかります。

介護職に就いてすぐ辞める主な理由

数日以内に辞めてしまう代表的な理由は2つあります。介護業界は短期間で退職するケースが多く、数日や場合によっては1日で辞めてしまうことは珍しいことではありません。

介護への理想と現実のギャップ

介護未経験で入社する人に多いのが、業務の多さや複雑さを目の当たりして1日の終わりに続けていく自信を喪失するパターンです。介護は24時間続いており、待ってはくれません。食事休憩中であっても便失禁の利用者がいれば介助を行います。認知症は日動変動が激しい利用者もいるため、突然、暴力行為に及ぶ、食べ物でないものを口にする、外で出ようとするなどキリがありません。

介護職は、利用者への介助の他、洗濯や環境整備、事務作業などさまざまな仕事があります。利用者の役に立ちたいという理想に対して人手が足りない、忙しい介護現場の現実が退職を後押ししています。

また、介護を志して資格を取得した人であっても介護実習との違いに戸惑い、失敗が重なり、退職に繋がるケースがあります。介護実習を受け、資格を取得していることで1人前として働けると希望を持って仕事に就くが教科書通りにうまくいく介護ばかりではありません。

例えば、認知症利用者に対して相手に寄り添ってゆっくり話を聞いていたのに突然スイッチが入ったように怒り出して手がつけられなくなるケースがあります。認知症を学ぶ上で「寄り添う」「傾聴」は落ち着く要素の1つとして学びます。ただし、その利用者が寄り添ってほしいと望んでいるときは落ち着きますが、まったく希望していない介助であれば怒り出すのは自然なことです。

お腹も空いていないのに食事を介助されても食べたくないのと同じです。話ができるのであれば「いりません」と断るでしょう。言葉で伝えられない場合は口を開けない人がほとんどです。認知症イコール傾聴ばかりではありません。その利用者が何を求めているのか、訴えようとしているのかを考えて行動するのが私たち介護者の役目となります。

新人扱いされない

介護職経験者だからといって細かい指示もなく、ケアの仕方が違うと責められることで職場に見切りをつけて辞めてしまう人も多いです。介護職の経験はあっても職場によってやり方は異なります。教えてもらえず、注意だけ受けることでメンタル的に疲労してしまいます。

また介護未経験者に初日から無理な介助をさせる、人手不足のためにいきなり1人で業務を任されるなど新人である未経験者への十分な配慮が足りないことで、数日以内ですぐに辞めてしまうケースが多いです。

例えば、排泄、食事、入浴など介助を行うとそれぞれ記録をつけます。複数人で介助にあたっているので、情報を共有するためです。記録の行い方は職場によって異なります。細かい指示がないまま記録をすることだけを伝えると、本当に必要な記録が抜けてしまい、利用者に負担がかかることがあります。細かい指示があれば、介護の経験問わず、介助を行った職員が適切な記録をつけることができるでしょう。必要な指示を行わず、できないことだけ責められるとモチベーションも下がり、退職に至るケースがあります。

辞めた後に介護業界内で転職する際に注意したいこと

介護業界内に再就職する際に注意する点
介護業界内に再就職する際に注意する点

すぐに辞めてしまった後に同じ介護業界で転職をする際、早期退職になってしまったことを前向きにとらえて新しい職場に望みましょう。同じ過ちを犯さないように求人先の情報収集を怠らない必要があります。

1.履歴書にすぐに辞めた職場を職歴として記載するかどうか

短期間であっても仕事していたことには変わりはないため、履歴書に記載するのが常識です。理由としては、数日以内で辞めていても社会保険や雇用保険への加入手続きが済んでいた場合、前職での保険への加入期間は記録として残ります。転職時に隠していても入社後に会社側に知られることになります。

履歴書に記載するかは社会保険や雇用保険に加入していたか否かが判断材料の1つになります。保険に加入しておらず、履歴書に記載しない場合であっても面接時に口頭で伝えましょう。会社側に自分以外から伝わるのは印象が悪くるなるので注意が必要です。加えて、短期間で辞めた退職理由を聞かれたときは答えられるようにしておくとよいでしょう。

2.働く条件に見合った職場かどうか

自分の介護知識や技術が活かせる職場を探すために働く条件を考えましょう。体力的な不安がある、小さな子どもがいるため夜勤は難しいなど人によって条件が異なります。また同じ介護職であっても職場によって求められる条件が異なります。自分の条件と職場の求める働き方が合うことで長く仕事に従事することが可能になります。

職場

求められる働き方

特別養護老人ホーム ・入所施設のため、早出、日勤、遅出、夜勤の変則勤務

・不定休

・重度の要介護者が多い

・食事や排泄、入浴などすべての介助が必要

デイサービス ・日勤帯の勤務が主流

・土日祝日は職場によって異なる

・比較的要介護度の低い利用者が多い

・利用者の状態によっては見守りを行う程度

サービス付き高齢者向け住宅 ・入居施設のため、早出、日勤、遅出、夜勤の変則勤務

・不定休

・要介護度の低い利用者から高い利用者まで入居

・見守りから全介助まで幅広い介護が必要

訪問介護 ・夜間対応型訪問介護サービスの場合は夜勤業務あり

・職場の営業時間によって出勤時間が異なる

・身体介護以外に生活援助中心の介助がある

・職員の年齢層が幅広い

3.求人先の過去の採用者数と退職者数はどのくらいか

厚生労働省による「介護事業所・生活関連情報」検索システムによって求人先を調べることが可能です。介護サービス情報公開システムのため、過去の採用数や退職者数がわかります。過去の情報からその事業所の従業員の定着率や離職率を知ることは、次の転職を成功させる手立ての1つとなります。また厚生労働省による「雇用動向調査の結果」では、離職率や定着率を計算することが可能です。離職率とは、「どれくらいの人が離職したのか」であり、定着率は「どれくらいの人が残っているか」を意味します。

【離職率の算出方法】
離職率=離職者数/常用労働者×100
例)50人の常用労働者数に対して離職者数5人の場合
5(離職者数)/50(常用労働者)×100=10%(離職率)

【定着率の算出方法】
定着率=常用労働者数×継続している常用労働者数
例)10人採用されて1年後は5人残っていた場合
10(常用労働者数)×5(継続している常用労働者数)=50%(定着率)

4.求人先に介護労働者雇用管理責任者が選任されているか

介護労働者雇用管理責任者の選定の有無で事業所の離職率に差があります。面接時に選定の有無を質問する、転職エージェントを利用する場合は担当エージェントに調べてもらうなど、職場を選ぶ判断材料にしましょう。

早期退職を後悔するよりも経験から学び次に活かすことが大切

早々に辞める結果になったことを後悔する前に経験を次に活かすことが大切です。人には向き不向きがあります。退職した事実は変わらないため、いつまでも嘆く、他人のせいにするのではなく、自分の考え方の甘さや認識不足が招いた結果として反省しましょう。この経験を次に活かして前向きに取り組んでいくことが自分の将来に繋がります

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