共生型サービスとは高齢者と障害者(児)が一つの事業所でサービスを受けられるようになる仕組みです。
共生型サービスという言葉を耳にしたことはありませんか?
2018年に誕生した新しいサービスであるため、詳しくは知らないけれど聞いたことはあるという人もいるのではないでしょうか。
しかし、これだけでは具体的なイメージが湧きにくいでしょう。共生型サービスとはどのような仕組みなのか、分かりやすくお伝えします。
目次
介護と障害をかけ合わせた新しい仕組み

共生型サービスとは2018年の介護保険制度改正から始まった新しいサービスです。
簡単に説明すると、一つの事業所において高齢者と障害者がサービスを受けることのできる仕組みです。介護保険サービスと障害福祉サービスをかけ合わせるイメージです。
これまでも高齢者と障害者が同じフロアで過ごす施設もありました。しかし、地域によって差があり、また報酬面でも利益が少ないことから、この仕組みを取り入れる施設は少なかったのが現実です。
これまでなかなか普及しませんでしたが、今回の改正により普及が進むことが考えられます。
共生型サービスができた背景

現在の仕組みでは、障害福祉サービスを利用している人は介護保険の被保険者、つまり65歳以上になると介護保険サービスに移行することになっています。
「今まで通りサービスを受けたい」と思っても、これまでの慣れ親しんだサービスは利用できなくなり、新しく違うサービスを受けなければなりませんでした。
障害を持つ利用者にとっては特にストレスとなる出来事です。「65歳の壁」と呼ばれることもありました。
これを解消するために生まれたのが共生型サービスです。
共生型サービスの誕生により、65歳以上になっても制度に捉われることなく、これまでと変わらないサービスを受けられるようになりました。
共生型サービスのメリット

継続したサービスで切れ目のない生活
利用者にとって一番のメリットは65歳以上になっても今までと変わらないサービスを受けられるようになったことです。
今までは障害福祉サービスを利用していた人が65歳以上になると、強制的に介護保険サービスに移行しなければなりませんでした。
例えば、本人にとって障害に詳しく、慣れ親しんだヘルパーや通いなれたデイサービスがあったとします。
65歳以上になると、高齢者には詳しいが障害にはあまり関わったことのない、介護に特化したヘルパーやデイサービス等へ変えなければならないという状況でした。
「新しい人は私のことをわかってくれるかしら?」「この人は障害に関する知識があるの?」と本人にとっては不安やストレスとなる要因です。
共生型サービスでは、環境が変わることなく継続してサービスを受けられるようになり、利用者は切れ目のない生活を送ることができるようになりました。
高齢者が子供の面倒を見てくれることで負担軽減
高齢者と障害者が同じ空間にいることでお互いが気にかけ関わりを持つ空間が生まれます。
障害児と高齢者が一緒にいると、高齢者が子供をみて笑顔になったり、遊び相手になったりすることができます。
自然と笑顔の生まれる空間が作られます。
また、子供をあやすのが得意な高齢者もたくさんいることでしょう。そのような人にとっては子供の相手をすることが、日々の生活の中での自分の役割だと感じられるようになるかもしれません。
職員の立場からすると、高齢者の見守りと、障害者(児)の見守りを行うのはとても大変なことのような気がしますが、実際には高齢者が障害者(児)の様子を見てくれていたり、遊び相手をしてくれていたりします。
何かあった時には「危ないことしとるよー」と教えてくれることもあります。そのため、高齢者が障害児と関わることで職員の負担軽減にも繋がります。
共生型サービスこれからの課題

利用者にとってはメリットの大きい制度ですが、職員にとっては不安を抱く人もいるでしょう。介護と障害では接し方も介助の仕方も違ってきます。
これまで介護を専門にしてきた職員は障害についての知識を新たに学ぶ必要があります。その逆も同様です。介護から障害の分野へ踏み込むと戸惑う人も多いのが現実です。
また、高齢者と障害児が同じ空間にいることになる場合、それぞれのリスクマネジメントも欠かせません。
高齢者と子供両方の視点を持ち、双方の動きに注意しなければなりません。
子供が走り回って高齢者と衝突し、転倒する、障害を持った利用者の発声に高齢者が不穏になるなど様々な状況が考えられます。
バタバタと忙しくしていることの多い介護現場ですが、よりハードな現場になることも考えられるでしょう。
これからの共生型サービスに期待

2018年の法改正で誕生したサービスですが、まだ探り探りの状況であると言えます。
これから課題も生まれてくることでしょう。しかし、介護、障害両方の分野で革命的な仕組みであることに違いはありません。
特に障害福祉サービスを利用している利用者にとっては切れ目のない生活を送ることのできるため、ぜひ利用していただきたい制度です。
まだまだこれから普及していくであろう仕組みですので、共生型サービスのこれからに注目です。
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