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介護職員さん、フィジカルイグザミネーションと聞いて、もう悩む必要はありません!看護分野でよく耳にする言葉ですが、介護現場でも当たり前のように行われています。

聞きなれない言葉ですが、意味を知ると「なんだ、いつもやっていることだ!」とうなずけます。意味と実際行われていることを再確認して、今日からあなたも「できる」カッコイイ介護職員になりましょう。

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フィジカルイグザミネーションって何?

支えあう

介護現場におけるフィジカルイグザミネーションとは、利用者さんを視る、触る、聴くなどその人を観察しながら、またその人となりや置かれている状況を把握して介護に活かしていくことです。

例えば、いつもは自分で食事を全量食べている利用者さんが3日前から急に食事を食べようとしなくなったときを想定し、順序立てて考えてみましょう。

第1段階 視覚・聴覚的な観察

利用者さんの身体に異常がないか調べます。話ができる人であれば、どこか調子が悪いのか聞くでしょう。また触って「喉が腫れていないか」、「お腹は張っていないか」など身体から何か情報を発信していないか観察します。数日間の病状も関係するかもしれませんね。風邪を引いていたや便秘が続いているなどによって食事が食べられないときもあります。身体から食事が食べられないサインが出ていないか観察しましょう。

第2段階 精神面の観察

利用者さんの嗜好や精神的なこと、家族の面会状況などを調べます。甘いものが好きな人もいれば苦手な人もいるでしょう。認知症などから周りの状況によって左右されていないか、また食事前に家族の面会があって何か食べたりしていないかの確認も場合によっては必要になります。

何気なく行われているフィジカルイグザミネーション

いつもの介護場面で「食事を食べようとしなくなった利用者さん」に対して自分たちのできる限りのことを行い、原因を追究し、どのような介護を求めているのか考えていますよね。その一連の過程のことをフィジカルイグザミネーションといいます。

確認手順とそれぞれの評価

作る前に自慢する人

答えのないものをどう確認するのかと悩む人もいるかもしれませんが、介護現場で利用者さんのことを一番近くで接して「普段の状態を知っている」のは介護職員です。確認手順は簡単です。利用者さんに「普段の状態と異なることはないか」を観察することなんです。では、どうやって確認して、評価していくのかを考えていきましょう。

<主観的な情報>

直接会話の中から普段と異なることはないか、身体の異変を訴えていないかに耳を傾けます。「歩くことが大変になってきた」などできないことが増えてきたと訴えがあった場合は、無理を続ければ大きな事故にもつながりかねません。歩行補助具や移動手段を再度検討して安全に暮らしていけるように考えます。また「頭が痛い」「心臓が苦しい」など直接の訴えが続く場合は、普段と異なるため、主治医へ繋いだほうが良い場合もあります。

<客観的な情報>

直接介護をしている中から普段と異なることはないか、身体からのサインに耳を傾けます。

  • 「視ること」:顔色の他、身体全体、排泄物など
  • 「触ること」:直接介護を通じて身体や皮膚、熱の状態など
  • 「聴くこと」:呼吸音やお腹の音など

以上のことは一例ですが、直接の介護を通じて異常がないかを観察します。

例えば、排泄介助の際は排泄物の色や匂い、排泄量などが重要です。排尿の色が濁っていたり、いつもより尿臭が強かったり、排尿量が極端に少ないなどは尿路感染や腎盂腎炎などの病気を疑います。医療的な治療が早急に必要になるため、看護師へ伝え、必要な治療が受けられるようにつなげます。

一番近くにいる現場の介護・看護職員が一番最初に利用者の異常が発見できます。利用者が安心して暮らしていくために大切な観察になります。

観察の達人になるために、アンテナをはること

高みから見物するプロ

フィジカルイグザミネーションは主観的な情報と客観的な情報をもとに利用者を観察して介護に活かしていくことです。言葉に表すと難しいと感じてしまうかもしれませんが、介護の原点です。毎日の関わりの中で利用者の情報は蓄積されます。介護現場で必要なことは、上手にオムツ交換ができることでも移乗が早くできることでもありません。記録を書くことも大切ではありますが一番ではありません。

利用者の通常を知り、非言語的コミュニケーションも大切に

一番大切なことは、かかわる利用者の「普段の様子を知ること」「観察すること」です。介護現場にはさまざま状況から介護が必要になった人が大勢います。介護が必要になった人すべてが思っていることを言葉にして伝えられるわけではありません。認知症のため、問題行動として異常が表れる場合、寝たきりのため、身体の異常から体調不良を訴えてる人もいるでしょう。

観察は簡単なようで人によって感じ方も異なるため、難しいことも多いです。介護現場の経験が長いからといって、必ずしも観察が鋭いわけでもありません。介護を行う職員も人間ですから感情に左右される部分もあります。そのため、常にアンテナを張って自分自身、観察の目を養う努力が必要です。介護現場で働く職員としては、コミュニケーションで得られる言葉だけでなく、非言語的コミュニケーションから得られる言葉も大切にできるようになりたいですね。

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