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かつては、無資格で当たり前のように行われていた介護職員による喀痰吸引。ところが今は「介護職員による喀痰吸引等研修」を受講しなければ行えなくなりました。しかも、単に研修を修了するだけでなく、都道府県知事に「認定特定行為業務従事者」として届け出なければなりません。

これを守らなければ、最悪の場合罰則が課されることも。喀痰吸引は医療行為ですから、介護職員だけの判断で勝手に行うことはできないのです。

この記事では、

  • 介護職員等喀痰吸引等研修で学ぶ内容や受講する資格、期間や費用はどうなっているのか
  • 喀痰吸引等研修を受講すれば、誰にでも、どこでも吸引を行うことができるのか
  • 研修を受講せずに喀痰吸引を行った場合、罰則などの決まりがあるのか
  • 介護福祉士資格を取得している自分が、喀痰吸引等研修を受講することに至った理由

ということをお伝えしていきます。

介護職員等の喀痰吸引等研修とは

喀痰吸引は、痰が絡んでしまうのに自分で喀出できず、そのままだと誤嚥や窒息をしてしまう人に対し、吸引器を用いてチューブ等で痰を吸引する行為です。喀痰吸引は「医療行為(医行為)」です。医師法第17条には

「医師でなければ、医業をなしてはならない」

引用:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/02/s0203-2g.html

とあり、ここでいう「医業」の解釈が

「当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医行為」)を、反復継続する意思をもって行うことである」

引用:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/02/s0203-2g.html

となっています。喀痰吸引は、まさにこの行為にあたるのです。

看護職員等に「医師がその責任の基で指示した場合」にのみ、医師以外の者が医療行為を行うことが可能になります。喀痰吸引も、これに該当します。また昔から、家族なら無資格であっても喀痰吸引を行ってきた歴史もありますが、知識がない人が行うことは大変危険です。

そこで「医行為」を行うことを特別に許可してもらうために、必要な知識や技術を学ぶ研修が「介護職員等喀痰吸引等研修」なのです。この研修は、社会福祉士及び介護福祉士法の改正で定められたものなので、法改正後の喀痰吸引等研修を受講する必要があります。ですから、法改正前に介護福祉士やホームヘルパー1・2級を取得していたとしても、行うことはできないのです。

研修を受講するための資格・研修内容・受講期間・費用は?

喀痰吸引等研修を受講するためには、研修を実施する機関が定める受講要件を満たす必要がありますが、研修実施機関によって要件はバラバラです。例えば、介護の実務経験が3年以上という機関もあれば、1年の経験で良いという機関もあります。

同じように、受講期間や費用も研修機関によってバラバラです。座学と実技研修で5万円程度のところもあれば、10万円を超える機関もあります。喀痰吸引等研修は、座学と実技研修を修了した後に、病院や福祉施設で実際に吸引等の実技(実地研修という)を行う必要がありますが、受講費用の中に実地研修の費用を含んでいる機関と、そうではない機関があります。

研修内容は、厚生労働省から提示されているカリキュラムに沿って同じテキストで行わなければならないため、ほぼ同じです。しかし同じテキストを用いるとしても、講義の方法は実施機関にゆだねられていますので、若干の違いがみられます。

喀痰吸引等研修を受講すれば、誰にでも、どこででも吸引を行うことができる?

喀痰吸引等研修は、カリキュラムによって1号・2号・3号研修と区別されています。

1号研修とは

不特定多数の利用者に対し、口腔・鼻腔・気管カニューレからの吸引、および胃ろう・腸ろう・鼻腔からの経管栄養を行える

2号研修とは

不特定多数の利用者に対し、口腔・鼻腔からの吸引、および胃ろう・腸ろう・鼻腔からの経管栄養を行える

3号研修とは

特定の利用者に対し、口腔・鼻腔・気管カニューレからの吸引、および胃ろう・腸ろう・鼻腔からの経管栄養を行える

つまり訪問介護や福祉施設などで、対象者を定めずに誰にでも吸引を行いたい場合には最低でも2号研修、さらに気管カニューレの吸引も行いたい場合には1号研修を受講する必要があります。

比べて、登録された対象者にしか吸引を行わないとしたら3号研修でも十分です。1・2号研修は、講義・実技演習で50時間の受講が必要ですが、3号研修なら9時間で済み、しかも病院などに行く実地研修が必要ありません。

1・2・3号いずれの研修受講者も、実際の業務を行う前に都道府県に「認定特定行為業務従事者」として届け出て、認可を得ておく必要があります。

介護福祉士取得者の特例

介護福祉士を取得している人の場合、専門学校などで「50時間の医療的ケアを履修」している人であれば、基本研修が免除される場合があります。つまり、実地研修だけはしなくてはならない、ということです。

また、学校には通わずに実務だけで介護福祉士を取得したい場合に「介護職員実務者研修」を受講することが必須となっていますが、実務者研修を受講した人も基本研修は免除されます。しかしやはり、実地研修は行わなければなりません。

医療的ケアの履修や実務者研修を受講していないのなら、介護福祉士を取得していても、喀痰吸引等研修を受講する必要があるのです。

喀痰吸引等研修を受講せずにしてしまったら、どんな罰則があるの?

「社会福祉士及び介護福祉士法」には、喀痰吸引等の業務について次のように定められています。

喀痰吸引等の業務の登録を行わずに(または業務停止命令に背き)業務を行った場合、30万円以下の罰金

また喀痰吸引を業務として行うのであれば、介護職員個人だけではなく事業者も「喀痰吸引等事業者」に登録しなければならないのですが、これを怠った場合には20万円以下の罰金と定められています。

実際に喀痰吸引等研修を受講した経緯

喀痰吸引等研修は、平成24年4月から施行された制度です。しかし、実際の仕事として喀痰吸引を行う業務に従事しない場合には、この研修を受講することはあまりありません。規模が大きい法人は、喀痰吸引業務が必要となる施設へ異動することもあるため、順次職員を受講させることもあるようです。

わたしが受講したのも、就職している法人で、今後の日本で必要だとされている「24時間随時対応訪問介護事業所」を立ち上げる可能性が出てきたからです。喀痰吸引が必要な在宅利用者を支えるための訪問介護の場合、特定のスタッフしか吸引を行うことができないと、シフトが偏るとかニーズに対応できないなどが考えられます。

在宅でも施設でも“かゆいところに手が届く”それが喀痰吸引

介護職による喀痰吸引行為は、目の前の、痰が絡むのに自分で喀出することができない人の「苦しみ」を救うことができる大事な行為です。あくまでも、医師からの指示に基づいて、決められたルールにのっとって行う医療行為です。いくら“かゆいところに手が届く”喀痰吸引であっても、行って身体に害を及ぼしては元も子もありません。

実施に伴うリスクをしっかりと理解し、実際の手技を何度も繰り返し、介護職であっても(良い意味での)自信をもって利用者のための喀痰吸引が行えるようにする。これが「介護職員等喀痰吸引等研修」の目的なのです。

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