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高齢者の体調は突然変わることがありますよね。高熱や意識障害などで体調不良になり、介護士が救急車を呼んで対応することもあります。体調不良の利用者を発見したときは、冷静な対応をすることが求められるので、介護士は慌てず落ち着いて対応しなければなりません。

高熱や体調不良に繋がる原因はたくさんありますが、口腔内もその一つです。「口の中が原因で体調不良?」と考える人もいるでしょう。意外にも口腔内は、体調不良に繋がる直接的原因を持っているのです。

ただし、毎日の口腔ケアを行えば予防ができるので、自力で口腔ケアができない利用者には介護士の介助が必要になります。今回は高齢者の口腔ケアの重要性と、予防方法についてお伝えしていきます。

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肺炎は非常に危険!最悪亡くなるケースも

危ない

口腔ケアで一番大切なのは、「誤嚥性肺炎」を防ぐことです。高齢者が誤嚥性肺炎になってしまうと重篤な状況になることが多く、最悪の場合亡くなってしまう危険もあるのです。

高齢者の死因別の死亡率は以下の通りです。

1位 悪性新生物(がん)
2位 心疾患
3位 肺炎

となっており、肺炎で亡くなった人は年間10万人を超えているのです。また、肺炎で亡くなるほとんどが65歳以上となっているので、高齢者にとって肺炎は命の危険に繋がる病気です。肺炎の中でも誤嚥性肺炎は、食べ物や水分補給をした際に誤って器官に入り、炎症を起こして肺炎となる病気のことをいいます。

若い人たちと比べて高齢になると、嚥下能力の低下で上手く呑み込むことができず、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。普段からしっかり口腔ケアの目的を理解して、予防に努めていかなければなりません。しかし口腔ケアの目的とは、いったいどんなものがあるのでしょうか?

口腔ケアの目的は?唾液や味覚を取り戻そう!

元気をとりもどす

口腔ケアの目的は利用者によって違いますが、よく耳にするものは以下の通りです。

誤嚥性肺炎予防

高齢者にとって命の危険に繋がる誤嚥性肺炎を予防することが、口腔ケアの最大の目的になるでしょう。予防方法は口腔内を清潔に保つことになりますので、介護士は利用者に歯磨きやうがいを促すように努めます。また、義歯を使用している利用者は必ず外してから磨きましょう。

義歯をつけたままですと、義歯と歯茎の間に残差物が残ってしまい口腔内の清潔が保てないので注意しましょう。

さらに嚥下能力が低下している利用者には、食事の形態を変えて一口大や刻み、ペーストなどで対応すると食べやすく、器官に入るリスクを減少させることができます。水分の場合はトロミをつけてあげるとよいでしょう。

唾液分泌を促す

実は唾液には口腔内を掃除してくれる作用があり、口腔内を清潔にするためにとても重要な役割を持っています。加齢により唾液は減少してしまうのですが、唾液分泌を促進させる方法は以下の通りです。

口腔体操

口の体操を行うことで、口腔内の唾液が分泌されやすくなります。食事前に行うとより効果的と言えるでしょう。口を大きく開けてたり閉じたりを繰り返す運動や、ベロを出したり引っ込めたりする運動を介護士が声を掛けながら、一緒に行うと良いでしょう。運動を行うだけで唾液が分泌されますが、定期的に行い筋力を鍛えることで唾液が分泌しやすくなります。毎日昼食前に行うなど、1日のスケジュールに入れてしまうと良いかもしれませんね。

水分補給

水分補給も唾液分泌の促進に繋がります。口が渇くときはがまんしないで水分補給を行いましょう。ただし、コーヒーや緑茶などカフェインが含まれているものは利尿作用により、逆に口が渇いてしまうことがあるのでなるべくカフェインの含まれていない飲み物を選ぶようにしましょう。

唾液腺のマッサージ

口の中にある唾液腺をマッサージして、唾液を刺激する方法もあります。耳下腺や舌下腺をやさしく指で回したり押したりしながらマッサージをすると、唾液の分泌量が少しずつ増えていきます。介護施設であれば定期的に機能訓練の時間に取り入れれば、一度に多くの利用者の口腔内改善に繋がるので是非参考にしてみて下さい。

味覚改善で食事を楽しみにする

口腔内が汚れている状態で食事を食べても、味がわからなくなっていることがあります。「おいしいものを食べる」と言うのは高齢者にとってもうれしいことですし、何より生きていく上での楽しみの一つにもなっています。

口腔ケアを続けていくと、味覚が戻り食事をあまり食べようとしなかった利用者が、積極的に食べるようになることもあります。介護士はしっかり口腔ケアを促し、食べる楽しみを取り戻してあげましょう!

口腔内の清潔が、健康寿命を延ばす

血圧測定器

口腔内の清潔を保つことは体調管理に繋がります。さらに原因がわからないまま体調不良になっている利用者がいたときは、口腔内の不衛生が原因で誤嚥性肺炎を起こしているかもしれません。

また、肺炎を起こすと最悪亡くなることもありますので、日頃から予防を必ず行いましょう。口腔内の掃除をしてくれる唾液の分泌促進を心がけて、介護士から働きかけるのも大切です。唾液分泌の促進方法は口腔体操や水分補給、マッサージがとても大切です。

日頃からの予防が健康寿命を延ばすことになりますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

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