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介護現場では当たり前のように熱や血圧を計ることが多いですよね。異常な数値が出た場合にどんな異常や病気が隠れているのかを予測できていますか?高齢者は自分で体の不調を訴えられない人もいます。それに気付いてあげられるのは一番身近にいる介護士なんです!

日勤帯であれば看護師に報告して対応に移りますが、特に夜勤帯は看護師がいない施設が多く、介護士だけで判断を迫られることがあります。普段何気に測っている数値の意味を知ることで、利用者さんの異常をいち早く発見できその後の適切な対応に繋がっていきます。

利用者さんのためになるのはもちろんのこと、プロの介護士として自信を持って働くためには必要不可欠な知識だと言えます。そこで今回はバイタルサインの種類と、その数値に潜んでいる病気や体の異常についてお伝えしていきます。

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基本的なバイタルサインは4つ

  1. 体温
  2. 血圧
  3. 脈拍
  4. 呼吸

バイタルサインは生命兆候とも呼ばれ、動物が生きていく上で一番基本的で重要な情報です。自覚症状がなくても客観的に体の状態を知ることのできる情報なのです。

1.高齢者の体温は低い

健康な人の体温は一般的には36℃前後ですが、高齢者の体温はそれよりも1℃近く低いと言われています。個人によっても差があるため、普段の平均体温を把握しておく必要があります。例えば36℃後半の熱は普通に考えれば平熱ですが、普段が35℃台の人なら熱発している可能性があります。また暑さや寒さに対する感覚が鈍くなっていて、体温の調整がうまくできなくなることも高齢者の特徴です。

体温異常で疑われるのは?

熱中症

体外にうまく熱を逃がすことができないため、体に熱が溜まってしまいます。こまめに水分を摂りエアコンなどで室温を調整しましょう。

老人性低体温症

寒い時は体の表面や手足の血管を収縮させて熱が体外に逃げないようにする機能がありますが、高齢者はこの機能が弱く血管から熱がどんどん逃げてしまいます。実際冬場の寒い時に高齢者の手を触ると温かいと感じるのはこのためです。深部体温が35℃以下になると激しい震えや意識障害が起こり、最終的には死に至ります。

病気にかかっても熱が上がりにくい

風邪やインフルエンザ・肺炎などに感染していても高熱にならないことがあり、発見が遅れてしまいます。少しの熱でも大したことがないと判断せずに看護師や医師に相談しましょう。

2.年齢とともに血圧は高くなる

高齢になると血管の弾力が無くなるため、血管にかかる圧力をうまく逃がすことができずに血圧が高くなります。若い人はゴムチューブで、高齢者はガラス管に例えられることもあります。また血圧の調整機能が衰えてくるので、急な姿勢の変化についていけず血圧が下がってしまうことがあるので注意しましょう。

高血圧

成人の血圧の正常範囲は最高血圧が140mmHg以下、最低血圧が90mmHg以下ですが、高齢者は加齢により血管の弾力性が低下し血液の流れが悪くなるため、最高血圧が高くなる傾向があります。そのため70代の最高血圧の目標値は150mmHg以下、80代では160mmHg以下となっています。

高血圧の状態が続くと血管にダメージを与えて動脈硬化が進んでいきます。特に心臓や脳の血管が詰まったり破れたりすることで心筋梗塞や脳卒中を引き起こすため注意が必要です。

低血圧

低血圧については現在明確な数値は示されていませんが、病院によっては最高血圧が100mmHg未満の状態を低血圧としている所もあります。

低血圧には大きく分けると4つの原因があります。

本態性低血圧

体質によるものや特に原因となる疾患が無い低血圧で、常にめまいや立ちくらみがあります。

症候性低血圧

原因となる疾患によって引き起こされる低血圧で、その疾患の治療が必要になります。

起立性低血圧

高齢者に多い低血圧で、寝ている状態から上半身をを急に起こしたり、座っている状態から急に立ち上がったりすると立ちくらみや失神を起こします。また長時間立ち続けることでも起こります。
起き上がるときは時間をかけてゆっくり行いましょう。

食後低血圧

こちらも高齢者に多い低血圧です。食物の消化のためには腸に血液が大量に必要ですが、高齢者は他の血管を収縮させたり心拍を増やしたりして血圧が下がらないようにする機能がうまく働かないため、結果的に脳への血流が少なくなりふらつきや失神を起こします。このような人は食後すぐに横になって休むと低血圧を防ぐことができます。

3.年齢とともに脈拍数は減ってくる

一般に安静時の1分間の脈が100回以上を頻脈、60回未満を徐脈と言います。高齢になるほど脈拍数は減ってくる傾向にあり、男性よりも女性の方が多いです。

頻脈になる原因は、貧血・脱水・熱発・心疾患・ストレスなどがあります。徐脈になる原因は、甲状腺機能低下症・脳圧亢進・黄疸・アダムスストークス症候群などがあります。昔スポーツで鍛えたような人は脈拍数が基準値よりも少ないことがあるので、単純に60回を切ったからと言ってすぐに病気と考えずに状況を見ながら判断しましょう。

4.呼吸は回数とリズムをみる

成人の安静時の呼吸数は1分間で15~20回ですが、精神状態や体位によっても変わります。吸気(吸う)1:呼気(吐く)1.5:休止1が標準的なリズムと言われています。息をする音で確認しにくければ、胸の上下の動きを見ると分かりやすくなります。呼吸数が正常範囲よりも多くなったり少なくなったりするときや、リズムに変化が見られるようなときは、脳や心臓・肺などに異変がある可能性が考えられます。他のバイタルサインと合わせて判断し、看護師や医師に報告しましょう。

この他にも意識状態や血中酸素濃度(spo2)などもバイタルサインとして扱われることもあります。ひとつひとつのバイタルサインを個別に見るのではなく、いくつかのサインを合わせて総合的に判断することが異常の早期発見につながります。

高齢者特有のバイタルサインを見逃さないために

  • 高齢者の体温は1℃近く低く、年齢とともに体温調整機能が衰えてくる
  • 感染があっても熱が上がりにくい
  • 高血圧は心筋梗塞や脳卒中の原因になる
  • 起立性低血圧と食事後低血圧は防げる
  • 脈拍数は年齢とともに減ってくる
  • 1分間に100回以上は頻脈、60回以下は徐脈
  • 呼吸は回数とリズムをよく観察する

普段記録しているバイタルサインはとても重要な体からのメッセージです。体の不調をうまく表現できない高齢者の異変を発見する大切な手がかりになります。看護師や医師へスムーズに伝えるためにもしっかりと理解しておきましょう。

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