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介護職員はタメ口ではなく、利用者や利用者家族が不快に感じない、丁寧な言葉遣いで仕事に取り組んでください。介護職員が利用者に対してタメ口を使うのは、伝わりやすさと親しみを意識してのことと思いますが、タメ口だから伝わりやすいということはなく、また、親しさと馴れ馴れしさは違います。利用者と言葉を交わす中で重要なのは、相手の気持ちを考え尊重する気持ちです。

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介護職員がタメ口を使うべきではない理由

タメ口を使うべきではない理由
タメ口を使うべきではない理由

タメ口の馴れ馴れしさと親しみやすさは異なるため、利用者に対して使うべき言葉ではありません。介護職員の中にはタメ口で話すことを精神的な距離が縮まると思っている人がいますが、思い込みととらえられる恐れがあります。言葉は敬語であっても場面ごとに使いわけることができれば、親しみやすさを感じることができます。

あくまでも仕事である

介護職員と利用者との関係は仕事が基礎になるため、仕事にふさわしい言葉遣いで取り組む必要があります。一方で、認知症の利用者に長い文章や難しい言い回しで声かけを行っても理解しにくいのは事実です。だからといって利用者を「ちゃん付け」で呼ぶ、砕けた口調で話すことは親しさとは異なります。認知症の利用者の理解に合わせて「解りやすく短い文章で伝える」、「一度に複数の内容を言わない」などその人の状況に対して工夫が求められます。

利用者家族からも悪印象

どんなによい介護をしても、利用者に対する声かけがタメ口では利用者家族の印象は悪くなります。利用者家族は施設やヘルパーを信頼して、利用者の介護を任せています。面会に来たらいきなりタメ口で話している場面を目にすると信頼を失う恐れがあります。介護を行うにあたって介護職員と利用者、利用者家族間での信頼関係はとても重要です。言葉遣いを通じて、利用者家族が安心して利用者を任せられるような介護職員を目指しましょう。

親しみやすさ=タメ口ではない

親しみやすさとタメ口はイコールではなく、利用者のことを考え、思いやった言葉で接することです。親しみやすさは本来、言葉に込めるものではなく、相手がいかに親しいと感じられるかに尽きます。敬語であっても親しみを感じることは可能であり、タメ口だから親しみやすいというのは間違いです。また口調によって親しみやすさが左右されることもありません。

介護職員が身につけるべき言葉遣い

介護職員として相手に理解しやすい言葉遣いを身につけるのは大切なことです。例えば、複雑な言い回しが理解しにくくなっている利用者には、「一文を短くする」「簡単な単語を使う」などの別途対応が必要となります。介護職員としてどの利用者に対しても共通する言葉遣いについて考えていきましょう。

利用者には「さん付け」をする

名前を「呼び捨て」「ちゃん付け」「君付け」で呼ぶ介護職員が稀にいますが、利用者の男女に関係なく、「さん付け」で呼びましょう。利用者は介護職員より年上であり、仕事である前に年上の人に対して礼儀正しく接することは常識です。自分に置き換えて考えると、年下の職員に名前を呼び捨てやちゃん付け、君付けで呼ばれた場合、よい気分にはならないでしょう。利用者も同じです。身体が動かない、認知症があるなどは関係なく、1人の人として考えて敬う気持ちが大切になります。

命令口調を使わない

命令口調は介護職員としてふさわしい言葉ではありません。親しみやすさとは程遠く、上から目線で話されてよい気分になる人はおらず、人を不快にさせます。また命令口調は利用者の尊厳を傷つけ、精神的に不安定になる、攻撃的になる原因になり得るため、注意しましょう。

です・ますは最低限のライン

認知症の利用者である前に年上の人に対して、ですます調を崩さず、最低限の礼節を重んじることは大切です。利用者によって複雑な言い回しや単語を理解できない場合があります。理解が難しい利用者に理解してもらうために、平易な表現や簡単な単語を使ってコミュニケーションを取ることが求められます。ですます調を使っていかに解りやすい言葉で説明できるかを介護職員として身につけましょう。

介護で大切なコミュニケーション術

介護業界におけるコミュニケーションのポイント
介護業界におけるコミュニケーションのポイント

コミュニケーション術の難しさを感じる人も多いですが、コミュニケーションの基本は相手を思いやる気持ちです。信頼関係を築き、相互に理解し合うことがコミュニケーションの目的であり、そのためには相手を観察し、望んでいることを把握する必要があります。

利用者の尊厳を守る

プライドや尊厳を傷つける人に親しみは感じられないため、利用者の尊厳を守ることが基本となります。利用者は老化や病気、ケガなどで介護を必要としていても人生の先輩です。介護職員が上から目線の態度や言葉で接することはよいことではないため、言動には注意しましょう。

あからさまな言葉を使わない

トイレや入浴の介助、オムツ交換などの際に、直接的な単語を出す、あからさまな表現を使うことは利用者の尊厳を傷つける原因になります。誰も好きで排泄や入浴の介助を受けているわけではありません。

例えば、利用者がトイレに行きたいと訴えたときに「じゃあ、立ってトイレに行きましょうか」と他の人がいる場面で言葉にすると、利用者は羞恥から尊厳を傷つけられます。このような場面では、トイレという単語は使わず、「それではご一緒しますね」とご本人にのみに伝わる言葉での説明が適切といえます。

やってあげていると思わない

稀に介護をやってあげていると思っている介護職員がいますが、サービスを提供する職員というだけでやってあげているわけではありません。やってあげているという考えは本人でも自覚がないままに利用者を下に見てしまう原因になります。利用者はサービスを利用する人であり、介護職員はサービスを提供する人という関係に上下関係がないことを理解しましょう。

利用者の不安を受け止める

利用者は今まで自分でできていたことが1人ではできなくなる、環境が変化して不安に感じることが多いため、介護職員としてできることはできるだけ不安を受け止めるです。冷たくあしらう、嘘をつくという行為は、よい信頼関係を築くことはできません。不安に感じる気持ちを否定せず、共感する姿勢が重要です。

否定しない

利用者の不安な気持ちを否定することは、精神不安や不穏の原因になるため、言動に注意しましょう。また、否定の言葉に傷つき、激高してしまう場合があります。利用者の不安をその場で理解できない場合であっても、まずは利用者の気持ちを受け入れ、共感を示すことで安心されます。気持ちに寄り添える介護職員を目指しましょう。

声を荒げない

介護職員として利用者と接する上での基本姿勢は、声を荒げず、心に余裕を持った対応を心がけることが大切です。自分に馴染みのない人や環境に不安を感じている利用者を相手に声を荒げることはさらなる状況悪化に繋がります。誰でも自分に攻撃的な人に対してよい印象を持つことはできません。基本姿勢を大切に信頼関係を築けるように努めていきましょう。

挨拶や感謝の言葉を多く使う

挨拶はコミュニケーションの基本であり、挨拶をされて嫌な気分になる人はいないため、相手の言葉を待つのではなく、率先して介護職員側から働きかけましょう。朝、会ったら「おはようございます」、昼間は「こんにちは」、就寝時には「おやすみなさい」の挨拶は欠かさないように心がけます。

挨拶と併せて大切な言葉は感謝の言葉です。感謝の言葉は、コミュニケーションの潤滑油ともいえます。「ありがとうございます」「助かりました」など、利用者に何かしてもらったら感謝を示しましょう。挨拶や感謝の言葉は、お互いに交わすことでよい気分になります。まずは介護職員から積極的に口に出すことが大切です。

介護職員はタメ口ではなく適切な言葉遣いを心がける

タメ口は親しみやすさを表すものではないため、適切な言葉遣いとコミュニケーションで利用者との心の距離を縮めることが基本になります。利用者は介護が必要な人である以前に、私たちと同じ人間です。もし自分が同じ立場であればどのように感じるかを考えましょう。

また、介護職員と介助者との間に限らず、介護職員同士でも同じことがいえます。年上の職員に対して親しみを込めて愛称で呼んでいる人もいますが、本当にその言葉が適切か否かを考えて行動しましょう。

介護職員の場合、年齢に関係なく、やりたいと思った時に始められるのが介護職の魅力であるため、年を重ねてから仕事に就く人も多いです。年下の職員が先輩になることも多々あります。

仕事は年齢に関係なく、先輩として後輩を指導することは大切ですが、普段の接し方は後輩であっても人生の先輩です。仕事と同じような関係はふさわしいとはいえません。仕事での指導と普段の接し方は節度を持って接することが求められます。

利用者は人生の先輩であり、年上の人に対してタメ口で話をしている光景は誰が見ても気分のよいものではありません。利用者を敬い、発する言葉は相手にも伝わります。介護職員として適切な言葉遣いを身につけ、利用者と接していきましょう。

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