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介護職員が抱える人間関係の悩みを解決するためには悩みとなっている原因を知り、その原因に対して適切なアプローチすることで悩みが解消されます。言葉は人間関係の構築に必要なコミュニケーションツールです。ですが、環境や立場、その時の精神状態によって悩みの原因となることがあります。

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介護職における人間関係の悩みの原因

人間関係の悩みはどんな職場にもつきものですが、それは介護職においても例外ではありません。介護職は特に、ケアに実際に携わるスタッフだけではなく、看護師やケアマネージャー、医師といった、さまざまな専門分野の人々が協力し合う必要があります。また、利用者やその家族の意見もくみ取らなくてはいけません。利用者の生活の質の向上を目的とした、チームアプローチが非常に重要といえます。

チームワークが大切なので、人間関係での問題がパフォーマンスを下げることにもつながりかねません。スタッフ、利用者双方が気持ちよく毎日を過ごすためにも、人間関係の悩みの原因を分析してみましょう。

職員間のジェネレーションギャップ

悩みの原因の一つは、職員間のジェネレーションギャップです。以前に実施された介護労働実態調査によると、介護労働者の年齢構成は、30代、40代が中心的な役割を果たしているものの、20代から60代以上に至るまで、幅広い年齢層の人々が介護職に携わっていることが明らかになっています。特に、65歳以上の職員は、全介護労働者の 1 割を占めており、年齢の高い職員も多く在籍している現状がみられます。

介護労働者の年齢割合

介護労働者の年齢割合

(引用:平成 30 年度 「介護労働実態調査」ー公益財団法人 介護労働安定センター

年齢によって育ってきた時代や背景が違うので、考え方や仕事への姿勢が異なるのは当然といえます。例えば、厳しく叱られながら、激動の競争世界を生き残ってきた世代もあれば、個性の尊重を重視し、褒められて育ってきた世代もいます。また、電話やFAXを連絡手段としていた世代と、メールやソーシャルメディアで連絡を取り合う世代とでは、報告や連絡の方法に、お互いに違和感を感じることがあるかもしれません。時代や家庭環境に形作られた価値観の違いゆえに、相手の気持ちや考え方を理解することが難しく、人間関係のもつれや悩みへとつながることがあります。

利用者との相性の悪さ

スタッフ間だけではなく、利用者との相性の悪さも悩みの原因となります。介護職の場合、利用者との人間関係にも気を配る必要が生じます。しかし、人間は十人十色、一人一人性格や、育ってきた環境、考え方の違いがあります。そのため、相性が合わない利用者がいたとしても、それは当然のことと言えます。

自分と相性が合わなくても、他のスタッフとは相性抜群、といったケースも珍しいことではありません。ある利用者との関係がたとえうまくいかないとしても、介護はチームワーク。落ち込んだりせずに、他のスタッフと協力して、足りないところや苦手な分野を補い合うなら、チーム全体としてよりよいケアを行うことができ、利用者との人間関係に悩むことが少なくなるかもしれません。

医療と介護の考え方の違い

看護師と介護福祉士が情報を共有する

看護師と介護福祉士が情報を共有する

同じスタッフでも、看護師と介護福祉士とでは利用者に対するアプローチ方法が異なります。看護師は治療重視の医療現場における経験から、医療面を重視します。また、介護士は施設における利用者の生活全体を重視します。それぞれの専門分野の違いゆえに、利用者にとって何が大切かという点について意見の違いが生じる可能性があります。その意見の衝突が、人間関係の悩みに発展することさえあるかもしれません。

しかし、衝突が生じるのも、お互いが真摯に仕事に向き合っている証拠。互いの考え方を理解するように努め、意見や要望を率直に伝えることは大切です。また、それぞれの専門分野から学び合う姿勢を取るなら、質の高いケアと業務の効率化につながります。意見の衝突が生じた際は、一度原点に立ち返り、利用者中心の視点になるようお互いに考えと気持ちを調整してみましょう。

利用者家族との関係

利用者家族との関係も、悩みの一つとなりかねません。適切なケアを行うためには、利用者家族とできる限り良い関係を保つことが必要です。しかし、不安や心配を抱える家族と良好な人間関係を構築するのは、時に難しく、接し方に苦労する場合も少なくありません。家庭によって家族関係や経済状況などの事情が異なるため、こちらの思うように事が運ばないことも珍しくありません。

また、苦情が生じた際の対応の仕方によっては、それまでのよい印象が、お互いにがらりと変わってしまうこともあり得ます。せっかく築いた信頼関係が一瞬にして崩れてしまうと、スタッフにとっても大きなストレスになります。

人間関係の悩みへのアプローチ方法

人間関係に関する悩みの原因や理由を整理できたら、次はその悩みへのアプローチ方法を考えましょう。悩んだ時にどんな考え方ができるか、そして具体的にどんなアクションを起こせるか。そのような点を前もって知っておくことは大切です。人間関係の悩みの改善方法を知るなら、抱えているストレスを少しでも軽くできます。また、将来同じような問題に直面しても、前向きな気持ちで対処できます。

また、中間管理職の立場にいる人にとって、このアプローチ方法を知っておくことは重要です。なぜなら、人間関係の悩みはスタッフの離職の大きな理由となるからです。より良い職場環境を整えるためにも、人間関係の改善方法を知っておくことは管理者にとって必須と言えます。

情報共有しコミュニケーションの改善

スタッフ間でコミュニケーションを取ることで、情報共有にも繋がる

スタッフ間でコミュニケーションを取ることで、情報共有にも繋がる

スタッフ間で情報共有することにより、よりよいコミュニケーションが取れ、人間関係の改善につながります。

介護職にとって情報共有は、欠かせない日常業務の一つです。介護スタッフは、専門的な観点から利用者の普段の生活を観察し、より良い生活のために何が必要なのかを考えなくてはなりません。そして、そこから得られた気づきや情報を、看護師やケアマネージャーといった他業種の専門職へ伝える必要があります。また、利用者の状況は日々変化しているので、情報共有をこまめに行うことも大切です。

なかには、他の人と話すのが性格的に少し苦手という人がいるかもしれません。しかし、日頃の連絡や報告をするだけでも、かなりの会話量になります。そうした日々の業務連絡によって、コミュニケーション力を少しずつ向上させることができるかもしれません。そうするなら、スタッフ間の風通しもよくなり、気づいた点や意見も言いやすくなるため、さらに良いケアへとつながっていきます。

逆に必要な情報を伝える努力を怠ると、閉鎖的な空気が生まれます。情報共有がなされていないなら、スタッフ間だけではなく、利用者からの不平、不満が増え、問題や事故が発生しやすくなり、険悪な雰囲気になりかねません。

介護はチームケアです。一人で行っても限界があります。しかし、チームで取り組めば、一人では気づかなかった利用者のさまざまな面が見えてきます。その中で気づいた点を、的確にスタッフや他の専門職へフィードバックするなら、利用者の生活の質の向上にも役立ちます。一つ一つ情報共有に努め、それぞれがコミュニケーション力を鍛えていくなら、人間関係も改善され、気持ちよく働くことができるでしょう。

Good&Newで新しい側面を見つける

Good&Newを通し、前向きな雰囲気を保つ

Good&Newを通し、前向きな雰囲気を保つ

人間関係や職場環境の改善方法として、Good&New(グッドアンドニュー)という手法があります。Good&Newとは、組織やチームの活性化のために、アメリカの教育学者ピーター・クライン氏が考案した手法です。

やり方はいたって簡単。チーム内で24時間以内にあった良かったこと、新しいことを1分程度で発表します。発表を聞いていた残りのメンバーは、その発言に対して拍手を送るのです。日ごろ見落としがちな良いこと、新しいことを意識的に探すトレーニングになり、職場の雰囲気がポジティブなものになるため、多くのオフィスをはじめ、介護の現場でもこの手法は取り入れられています。

職場の雰囲気は、人間関係にも大きな影響を与えます。ネガティブな発言や物事のとらえ方が、その場の雰囲気や話の流れを険悪なものにしてしまったということは、誰もが経験しているのではないでしょうか。一人一人が前向きな物事のとらえ方をする、というのはチームワークに欠かせない要素とも言えるのです。この点で、Good&Newの手法は非常に効果的です。

私たちは、普段身の回りで起こっている出来事を特に意識せず、見過ごしてしまうかもしれません。そのため、最初は、Good&Newの手法に戸惑いを感じたとしても無理はありません。しかし、この取り組みを続けていくなら、たとえ小さなことでも、良いことや楽しいこと、新しいことが実際に起こっていることに気付くようになります。そして、自分の意識や考え方を前向きに保つトレーニングになります。また、自分の発言に対して周囲の人が拍手を送ってくれるという点も、周りに受け入れてもらえたという気持ちにつながり、お互いへの信頼関係を構築するのに役立ちます。

大勢の人の前で発表するのが気後れするのであれば、少人数のグループからスタートするのもよいでしょう。この取り組みが会話のきっかけとなり、コミュニケーションの改善にも役立ちます。また、苦手だなと感じる相手の新しい側面、意外な一面を見つけることができ、以前よりも親しみを感じるようになるかもしれません。チーム内の雰囲気をポジティブに変え、信頼関係を築くのに役立つGood&Newの手法、挑戦してみる価値はあるかもしれません。

参考:WAM NET 連載コラム 職場のコミュケーション力 第24回

リラックスするランチタイムに交流する

ランチの時には、場が固くなりがちな職場とは違い、リラックスした雰囲気でコミュニケーションを取ることができます。特に介護職の現場では、女性がかなりの割合を占めており、家族のために早めに帰宅するスタッフが多いという現状もあります。そのため、ランチタイムはお互いに会話を楽しめる貴重な機会となります。また、休憩の限られた時間内での会話は、相手の考えや本音が出てくる、濃い内容になることも珍しくありません。

ランチタイムは雑談力、コミュニケーション力を鍛える絶好のチャンス。普段から会話を楽しむ習慣を身につけておくなら、実際の業務における相談や、報告もしやすくなるという相乗効果が期待できます。中間管理職の立場にいる人も、スタッフと一緒にランチを取るなら、職員の悩みや問題に気づき、早めに対策を講じることができるかもしれません。日々のランチタイムを、人間関係改善につながるチャンスとして、ぜひ活用してみましょう。

一過性ではなく継続的に取り組む

人間関係の悩みに関する問題は一過性のものではないので、解決には継続的な取り組みが求められます。人間関係をスムーズに保つためには、ただ仲良くするだけではなく、相手のことを理解することが含まれます。理解して初めて、たとえ相手の言動に違和感や疑問を感じたとしても、「そういう考え方もあるんだ」「悪気で言ったわけではないだろう」と自分を納得させることができます。相手のことを理解するというのは、一朝一夕にできるものではなく、時間をかけた継続した努力が必要なのです。

また、問題が水面下で起こり、気づいた時には手遅れということもあり得ます。そうした事態を避けるために、特に中間管理職の立場にいる人は、スタッフへの聞き取りを定期的に行い、問題の原因を見極め、具体的な対策を取ることが大切です。そうするなら、より良い職場環境をつくりあげることができるでしょう。

悩みの原因を知り、迅速なアプローチが大切

悩みの原因がわかればそれに応じた迅速なアプローチが可能となります。もし早急な対策を取らないなら、スタッフの離職、利用者やその家族からの不満といった、大きな問題に発展しかねません。介護の仕事は大好きなのに、人間関係がつらくて仕事を辞めてしまうスタッフは、残念ながらかなりの人数にのぼります。介護職はチームワークが鍵ともいえる仕事。質の高いケアを行うためにも、良好な人間関係は欠かせません。円滑な人間関係を築き、職場の明るい雰囲気を作るためにも、中間管理職を含めたスタッフ一人一人が努力し、事態が大きくなる前にすばやくアプローチしましょう。

 

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