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介護のセクハラは、利用者本人だけでなく利用者家族から受けるセクハラも深刻です。家族からのセクハラはサービス中断にも繋がるケースがあり、問題が複雑化するのを恐れて表面化しないことが問題になっています。また中には男性介護職員がセクハラ被害者となることもあり、ケースが少ないがゆえに対処に困りがちです。加害者が誰であれ、一人で悩まず上司や同僚に相談し、家族にも毅然とした態度を取ることが大切です。

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介護のセクハラは利用者家族にも及ぶ

女性介護従事者のセクハラ被害について

女性介護従事者のセクハラ被害について

介護のセクハラ問題は、利用者本人だけではなく利用者家族からのセクハラも深刻な問題となっています。介護のセクハラは利用者に焦点が当てられがちですが、利用者だけでなく家族からのセクハラも深刻化しており、介護サービス種別によってもセクハラの特徴は異なっています。

利用者が起こすセクハラには、認知症が関係している場合も多い場合が多く、病気のせいであると理解することで割り切れる部分もあります。ところが、家族からのセクハラの場合には問題が複雑になりやすく、家族との関係の悪化によりサービスが中断される場合もあります。

利用者からのセクハラの内容としては

・サービス提供時に手を握ってきたり、抱きしめたり、不必要に身体に触れたりする

・性的発言を繰り返し言われたり、胸などを覗こうとしたりする

・意図的にアダルトビデオを流したりヌー ドの写真が見られるように置いてあったりする

・食事やデートへ執拗に誘われたり、性的な関係を強要されたりする

などと、何らかのハラスメントを受けたことのある介護職員は7割程度おり、4割程度(うち女性3割・男性1割)がセクハラに該当する行為を受けています。

訪問系では密室空間でのセクハラで精神的ストレスが増大

訪問系サービスは利用者宅の密室空間となるためセクハラを受けた時の恐怖心も大きく、精神的ストレスが大きくなることがあります。

利用者の家族には「今日もかわいいね、また来てくれたね」といった場違いな言葉や「今度は外で会おうよ」とデートに誘ってくるなど、介護保険制度による公的サービスであることを理解していない勘違いしている家族もいます。

中には妻の介護サービスのため、台所に立っているヘルパーに対し夫が自分の股間を擦り寄せてきたり、キスを迫ったり、舐め回したコップに飲み物を注ぎ差し出してくることがあります。ですが、卑劣なセクハラ被害にあう職員も多いものの職場内で対策等を図って貰えない事もあり精神的ストレスはさらに増大してしまうこともあります。

参考:介護現場に広がる「悪質セクハラ」

参考:訪問介護での介護者からのセクハラについて

自分の個人情報に関することは話さない

利用者の家族に対し、過度な馴れ馴れしさや、必要以上に自分の個人情報に関することや身の上話をすることは、好意があると相手に勘違いさせることがあるため控えましょう。

利用者や家族等と特定の職員との距離が近くなり過ぎないよう、担当者を定期的に変更したり利用者を複数で訪問したり、状況によっては管理者が同行することや同性の職員を配置するなどし適度な関係性を図るようにします。

参照:「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」について【介護保険最新情報Vol. 718】(厚生労働省)

利用者や家族からのセクハラの中には訪問時に同居の息子がドアの鍵を閉め、チェーンを掛け外に出れないようにされる場合があります。また、高齢だと思っていても床上での介助の際に覆いかぶさってきたり、ベッドへ押し倒されそうになったり、突然、衣類を捲りあげてきたりと前触れもない行動をとる場合もあります。そのため、非常用ブザーなどを持参し、周囲に知らせる事や衣類が簡単にめくれないように服を重ね着することや、いざという時に逃げられるよう窓やドアの鍵を開けておくなどの対策が必要な場合があります。

施設系では待ち伏せや尾行などストーカー行為に及ぶことも

施設系サービスでは待ち伏せや尾行などのストーカー行為の被害にあうこともあります。

訪問系と違い、たくさんの従業員がいる施設内で利用者や家族と二人っきりになる危険はないものの、退勤時間を見計らって施設の外で待ち伏せをしていたり帰宅の道のりを尾行されたりして、施設外ですぐに同僚や上司に助けを呼ぶこともできず、対処に困ることもあります。

また、被害に合わないよう注意をしてもその場限りである事も多く、シフトや玄関の出入り口を変更するなどの対策を図っても施設の面会時間を過ぎても施設内に滞在するといった、程度を過ぎる違法行為については法に基づき毅然と対処することが重要です。

施設外で二人っきりにならないよう職場の協力を得る

施設外では尾行やストーカーの被害にあわないよう、できるだけ単独行動はさけるよう職場の協力も必要です。

尾行やストーカー行為の背景には、施設内で特に親しく話したことがないのに一方的な好意から行為に及んでいることも多く、女性職員も予防策をどう取っていいか困ることもあります。

もし、待ち伏せをされていたら職場へ引き戻して上司に報告し家族に注意してもらう、複数人で帰る、面会時間や不必要に施設内に滞在しないことを上司から注意してもらうなど、直接関わらず周囲に協力を得ることが大切です。

介護のセクハラ被害は男性介護職員にも

男性介護従事者のセクハラ被害について

男性介護従事者のセクハラ被害について

介護業界では男性介護士の職員数は女性介護士に比べ圧倒的に少ないため、男性介護職員へのセクハラ行為があった際には分散されにくく、セクハラの標的になりやすくなります。

また、セクハラという言葉を聞くと男性から女性へのイメージが多いものの、男性介護士も女性利用者にズボンを下ろされたり性的な言動をうけることもあります。徐々に逆セクハラは世間的にも問題視はされてきてはいますが、男性へのセクハラは女性より少ないことや、女性よりもセクハラ行為に対する免疫がなく、対応に戸惑うことや女性が多い職場でもあり上司にも相談もしにくい事もあります。

介助は事務的かつ最小限にすることで予防する

介助時は性別を意識しすぎず、事務的かつ手際よく割り切ったケアをする事が大切です。

自分でできることは自分でやってもらうことで、過度に利用者に触れることを避ける事ができます。また、接触するときは少し力強く介助を行うことで「あなたには抵抗できる」というイメージを与えることが必要です。

日常的なやり取りの中でも、関係性を意図するような余韻を残さず、専門職として排泄や入浴の介助は健康と快適さを守るための重要なケアと意識することで被害を予防することもできます。

利用者家族や女性利用者が起こすセクハラは表面化しにくい

利用者家族や女性利用者からのセクハラは問題が表面化しにくいことがあります。

背景に利用者家族からのセクハラを問題化してしまうと「サービスを中断されてしまうのではないか」、「おかしな言いがかりを事務所にされるのではないか」と会社への損失やクレームなどの不利益を被ることへの不安から自己解決しようとしたり、自分が我慢すれば済むのではと表に出ないケースが多いことがあります。

女性利用者からのセクハラに対しても介護業界は女性従業員の割合が多い業種であり、男性職員が相談しやすい環境が整っていない場合が多く、「男のくせにみっともない」と軽視されることもあり女性利用者からのセクハラ被害を男性職員が一人で抱え込んでしまう場合があります

介護の現場でセクハラ被害に遭ったら

介護現場でのセクハラ被害は予知もしていない行動を取られることもあり、驚いて戸惑ってしまうこともありますが、セクハラ被害を繰り返したりエスカレートさせないためにも早期に素早い行動と対策をとる必要があります。

とにかく一人で悩まない

セクハラ被害を受けた場合、一人で悩まずすぐに上司や同僚に相談することが大切です。

利用者・家族等からのハラスメントを職場が把握する方法として、約8~9割が職員からの報告をうけることで把握している状況となっています。

被害への対応を自分で抱え込んでしまう結果、精神的に病んでしまうことや離職につながってしまうこともあるため、自分で解決したり、仕事の一部として見過ごすのではなく上司に相談し問題を表面化することが必要です。事実確認や家族との話し合いのほか、今後の再発防止策についても検討することで他の介護職員や関わりのある他サービスの職員のためにも情報を共有することは、これ以上のセクハラを未然に防ぐことにも繋がります。

「参照:介護現場におけるハラスメントに関する調査研究 報告書

毅然とした態度を取る

利用者や家族からセクハラを受けた場合、毅然とした態度で臨むことが大切です。

介護保険制度の中での契約によりサービスを提供しているため、利用者や家族の言いなりになることが介護の仕事ではないため、相手が仕事以上のことを要求してきても、怒らせたらどうしよう、クレームが事務所に行ったらどうしようなど余計なことは考えず、冷静に毅然とした態度で臨むことが必要です。初期の段階で毅然とした態度を見せることで、相手が自分の思うように支配出来ないと思いセクハラがエスカレートしていくのを防ぐことができます。

介護サービスを提供するプロとしての自覚を持つことが大切

介護はお客様である利用者や家族により近い距離またはプイベートな空間でサービスを提供する業種であるからこそ、セクハラによる被害も受けやすいため、介護職員ひとりひとりの心構えと仕事に対するプロ意識が必要です。

また、世代間によって価値観の違いやこんなことがセクハラになるとは思っていない利用者や家族もいるため常に緊張感をもって利用者や家族と接することが大切です。

いつもと違う雰囲気の職員の変化にも気付くことにより、セクハラの早期発見を図る事ができます。一人で悩まず解決に向けた体制や対策を図ることで大切な仲間を守る事もできるので、プロとしての自覚を持ち自身が被害者にもならず加害者もつくらないようにしましょう。

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