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寝たままでオムツを交換する時には、できるだけ要介護者の体を動かしやすいように体位を整えておくと、もたつくことが無くなり時間短縮になります。オムツ交換を嫌がる利用者もいるので、利用者の尊厳を損なわないような介護と声かけが求められます。お互いの負担を少なくするためにも、事前に使用する道具を揃えておき、できるだけ短い時間で交換を終えられるようにします。

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スムーズに介護するためのオムツ交換のコツ

オムツ交換は介護者の介護に対する抵抗が大きく、利用者への身体的負担と精神的負担への配慮も必要になります。オムツ交換の基本的な手順やコツを掴むことでお互いの精神的負担が軽減できます。

事前に道具を準備しておく

オムツ交換の際、交換途中で必要物品を取りに行くことがないよう事前に道具を準備します。利用者のそばを離れてしまうとシーツ汚染や弄便行為などによる介助の手間が増えてしまい、場合によっては転落などの事故につながる危険性があります。また、使用済みのオムツなども速やかに処分できる準備も必要です。

利用者の視界の外、自分の手の届く範囲に

排泄用品は利用者の尊厳を損なわないよう、利用者の足元に準備し直接利用者の視界に入らないようにします。準備品は手の届く範囲に交換順に配置し必要品を整えてから行います。

利用者の体位を整える

ベッド上でオムツ交換を行う際には、何度か体位を変える必要があるため、利用者の両腕は胸の前で手を組むように声掛けし、利用者の体位を変えやすいようします。事前にベッドの高さを調整したり介助者側のサイドレールを外したりなどの介助を行い、腰痛予防や介助スペースを確保します。

胸の前で手組む形に

体位交換のポイントとして胸の前で腕を組みます。腕を組み膝を立てることで手足を伸ばしている状態よりもベッドと接する部分が小さくなります。また、腕を組むことで肩部に介助者の手が回り、引き寄せることが可能なので、利用者の膝部を倒すだけで体位を変えることができます。

オムツ交換の際の体勢
オムツ交換の際の体勢

ベッドの高さを調節する

介護者の負担を軽減するために、オムツ交換がしやすい高さにベッドを調節します。「面倒である」「時間がない」などの理由でベッドの高さ調整やベッド柵を外さず作業すると、オムツ交換に時間がかかるだけでなく、介護者の腰や背中を痛めることもあります。ベッドは腰を曲げない高さに調整することが大切です。

「参照:上田喜敏, 藤澤正一郎 – 人間工学|1C4-1 おむつ交換時のベッド高の違いによる作業負担について

交換前には声かけを行う

交換前にはこれからオムツ交換を行う事や介助の手順について、介助者に声かけを行います。

オムツ交換が必要な利用者は身体的介護が必要な人が多く、認識のない排泄介助はとても不快で不安な介助となるため、利用者が不安にならずオムツ交換に協力してもらえるような声かけを行います。

羞恥を煽らない単語を選ぶ

オムツ交換の声掛けには羞恥心を煽らない単語を選び声掛けします

【羞恥心を煽る単語の例】
・オムツ
・排泄
・トイレ
・汚い
・くさい

上記のような直接的な言葉や表現は利用者の羞恥を煽りやすく、尊厳を損なう場合があります。「下着を変えましょう」「お湯できれいに流しますね」などの声掛けを行い、交換後には利用者の協力に対する感謝の気持ちを伝えます。

オムツ交換上達のポイント

オムツ交換の上達は、基本的な介助方法のほか、利用者の身体状況や排泄スタイルに応じたオムツの選定が鍵になります。

先輩介護士のやり方から学ぶ

自分のオムツ交換の介助方法と先輩介護士の介助方法の違いについて確認することが大切です。

自己流のオムツ交換方法で回数だけをこなしても上達は難しいが、勤務先の先輩介護士にオムツ交換のコツを聞いたり、先輩介護士のオムツ交換のやり方を実際に見たりすることで自分のやり方との違いが分かる場合があります。

使用するオムツについて知る

オムツや尿取りパッドの種類の説明
オムツや尿取りパッドの種類の説明

尿量や身体機能や体形、介護者の介護力などによってオムツの使用内容も異なるため、使用するオムツについて知ることが大切です。

オムツの種類にはリハビリパンツやテープ式オムツの他、尿取りパットなど、さまざまな種類があり、尿量や生活状況によって適したオムツも異なります。適さないオムツを使用することは、漏れや排泄の自立を妨げる場合もあり、どんな特徴があるのかを把握することが大切です。

利用者について知る

オムツ交換をするうえで利用者の身体状況を把握します。利用者によっては麻痺や拘縮などの身体的特徴も多いことや、夜間のオムツ交換で覚醒してしまい昼夜逆転につながるケースもあるため、その人に合った対応をすることでオムツ交換がスムーズになります。

一人一人に合った方法がある

オムツ交換で大切なポイントとして、一人一人の身体状態や動作能力に応じた対応方法を知っておくことが必要です。認知症によりオムツ交換を嫌がる利用者や脳梗塞や、足が上がりにくい利用者などさまざまで、その人に合ったオムツ交換の方法が分かることで交換がスムーズになります。

オムツ交換のコツを押さえて上達しようとする姿勢が重要

オムツ交換はスキントラブルのチェックや排尿状況の観察、排便状態のサイクルなどの把握を担う大切な行為となります。

排泄行為はデリケートな問題でもあり利用者の自尊心や尊厳を維持するうえでも交換の手順をただ熟すのではなく、コツを押さえてスムーズに行えるようにします。排泄機能低下の要因を理解することと、適したオムツの種類を選択することは排泄の自立支援に繋がります。利用者が自信を取り戻すきっかけにも繋がりますので、日々勉強し実践することが重要です。

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