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介護職に勤めていてやってられないなと感じたら、今の職場で働き続けられるかを見直したり、退職を選択する場合には転職までの見通しを立てたりする必要があります。やってられないと感じた時に、まずは自分にとって辞めるか続けるかの両方から見えるメリットを吟味していくことが必要不可欠です。メリットから見えてくる将来的な見通しによって、よりよい働き方を選択していくことが大切です。

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介護職をやってられないと感じたらメリットを比較する

介護職をやってられないと思ったとき、続けるべきか否かを選択するために両方のメリットを比較しましょう。メリットを見比べることによってこれからの見通しを立てることが可能となります。その場の感情で決めてしまうと、こんなはずではなかったという事態に陥る恐れがあります。介護職を続けた場合のメリットと介護職を辞めた場合のメリットをあげてみましょう。両方をよく考えることでどちらが自分に合っているかを冷静に判断することができます。

介護職を続ける場合のメリット

同じ職場で介護職を辞めずに続けた場合のメリットは

・キャリアアップ

・給与アップ

・将来の糧になる

の3点があげられます。

続けた分だけキャリアアップになる

介護職は、辞めずに続けていくことでキャリアがつきます。同じ1つの施設で業務を続けることでキャリアが積め、自身の評価につながります。多くの施設で導入されている介護のキャリアパス制度では、経験年数ごとに望ましい資格が位置づけられています。経験と併せて資格を修得していくことでキャリアアップが可能となります。

役職につけば給与が上がる

経験年数を重ね、資格を修得していくことで役職に就くと、さらなる給与アップにつながります。未経験で介護の仕事に就き、実務者研修修了、国家資格である介護福祉士取得、経験をさらに積んで介護支援専門員を取得し、役職に就いている人は大勢います。また訪問介護事業所のサービス担当責任者、介護施設での介護リーダーなどを任されることにより役職手当が加算されます。役職を目指すならキャリアに見合った資格の修得を目指しましょう。

将来の家族の老後に役立つ

家族の介護が必要になっても、介護に対する知識を持っていることで慌てることなく対応ができます。病気がきっかけになって身体介護が必要になる、加齢とともに身体機能が衰えて自分でできていたことができなくなる、認知症の発症など、介護が必要になる経緯は人によって異なります。いつ自分の家族が介護を必要とするかは誰にもわかりません。介護の知識があることで冷静に受け止め、何が必要かを考えることができます。

介護職を辞める場合のメリット

現在の介護職を辞めて、新たな業界に挑戦するメリットは2つあります。

労働環境の改善が期待できる

現在働いてる職場で不満があった部分は、別の施設で働くことによって解消できる可能性があります。同じ失敗を繰り返さないためには、以前の職場で不満に思ったことがない職場を選ぶことです。転職先を探す際に注意することで同じような悩みを抱えず、有意義な働き方が実現できます。

注意が必要なことは転職前の職場を悪く言わないことです。不満に思っていたことはきちんと伝えて改善の必要はありますが、不満だと断定することはよくありません。

例えば、「サービス残業が多かった」と言うのではなく、「業務時間内に終わらない業務がたくさんあった」というように主語を自分にして言い回しを変えて前施設の業務批判は避けます。「人手が不足していた」と言うと不満になってしまいます。「自分なりに頑張ってはいるが、利用者の人数が多く、求められている介護が十分提供できない」など自分の実力では十分な対応が難しかったと伝えるとよいでしょう。

違う仕事を経験できる

介護職を辞めて別の仕事に就くことは可能です。未経験であってもやりたいことに挑戦できます。自分には介護の仕事が合わなかったと思って興味のあることを始めましょう。

実際に働いていた同僚が施設で提供している介護職にジレンマを感じ、介護職を辞めて栄養士を目指した人がいます。同僚は美味しくなさそうな食事を介助するのは嫌だという気持ちが介護の仕事以外へ進む原点になったそうです。

施設で提供される介護職は形状がドロドロしている、色彩が悪い、見た目があまり楽しめないなど改善点がいろいろあります。施設独自で創意工夫をしていますが、一度に多くの食事を作るため、すべての解決には至らないのが現状です。

現在、同僚は食品メーカーで介護食の開発に携わっています。常温でも美味しく食べられる、見た目から食欲をそそられる介護食を目指して頑張っています。介護だけが仕事ではありません。自分のやりたいことが見つかればそれに向かって進むことは可能です。

介護職を辞めるメリット
介護職を辞めるメリット

介護職がやってられないと感じる瞬間はどんな時か

介護労働センターによる平成30年度「介護労働実態調査」にて前職の退職理由上位は、職場の人間関係の問題や結婚・妊娠・出産があげられています。そのほか、職場の就業不満が蓄積された結果、退職を選択する人も多いです。

職場の人間関係が悪い

介護労働調査」で明らかになっているように、職場の人間関係の悪化は退職理由や退職希望理由の第1位です。介護の仕事は1人ではできません。職員同士が協力して利用者の生活を支えています。人間関係が悪いと複数人でやらなければならないことがやれない、その場限りの介護になってしまい次に介護をするときに困ります。

そのほか、コミュニケーションがないまま自分だけで行うことはリスクを伴います。情報共有をしないまま誰かがやっているだろう、利用者を見守りしているだろうでは大きな事故に繋がる恐れがあります。次の人が介助に行くだろうと思ってそのまま寝かせていたが、利用者が自分で起き上がって転倒し、骨折したという事例は、典型的なコミュニケーション不足が要因となる事故です。

ほかにも職員同士の声かけがないために

・排便があったにも関わらず下剤を服用させてしまう

・お互いに相手が服薬をしていたと思い込んだ結果、服薬を忘れてしまう

ギスギスした人間関係によって利用者へ負担がかかることが多くみられます。

利用者の生活を支えるためには、コミュニケーションは欠かせません。お互い、協力し合って気持ちよく介護職を続けていくために職場の人間関係は重要です。

結婚や出産が理由で続けられない

女性が多い職場のため、結婚や出産が理由で続けられず退職をしたいと考える人が多いです。結婚の場合、新居から職場が遠くなり、通うことが困難なときがあります。結婚後は続けられても出産になるとまた状況が異なります。

例えば、介護施設は、早出、日勤、遅出、夜勤など変則勤務になります。出産時に取得できる休暇は、産前産後休暇、育児休暇があります。その後、職場復帰にあたって保育園や託児所を利用する人が多いです。

しかし地域によって認可保育園が少なく入りにくい、職場近くに保育園がないなどスムーズに職場復帰ができないこともあります。また24時間営業している保育園は数が少なく、夜勤の場合に子どもをどこに預けるのかが問題となります。協力してもらえる家族がいるか否かによって違いがあります。育児と仕事の両立が難しいと感じ、休暇前と同様の勤務を続けることができず、退職するケースがあります。

一方で福祉業界は女性の多い職場であり、多くの女性が活躍しています。事業所によっては、入所施設での勤務は難しいが、通所施設へ異動することにより妊娠・出産後も働いている人もいます。結婚や出産イコール働き続けることが困難となる前に上司へ相談することをおすすめします。

就業先の理念に違和感がある

職場の理念や目標が自分の描いていた理想と異なり、仕事を続けていくことが難しくなり、退職に至るケースがあります。職場の理念や目標に違和感を感じる場合、ストレスや不満となり、働き続けることが困難になります。仕事のモチベーションが下がる中、仕事を続けていくことは精神的な苦痛を伴います。結果、退職を考えてしまう人が多いです。

理念や方針に違和感を持たないようにするには、就職前によく調べる必要があります。就労するにあたって事前面接時に施設内の見学、多くの施設はインターネットで情報公開を行っています。こんなはずではなかったと思う前に就職の際は事前に調べて納得のいく事業所を探すことが大切です。

収入が少ない

働いている職場でもらっている給与が低く、収入面に将来性が見込めず、退職を考える人がいます。

国税庁による平成30年度分「民間給与実態調査」によると、全業種の平均給与は約440万円となっています。一方で医療・福祉分野の平均給与は約392万円とため、全業種で比べると、平均給与よりやや低いとされています。介護職は身体が資本となる仕事です。業務と給料が割に合わずやっていられないと感じる人がおり、退職原因の1つとなります。

しかし、介護職の収入は介護職員処遇改善加算によって待遇の見直しがされています。令和元年10月からは、「介護職員等特定処遇改善加算」が創設されました。従来から行われていた介護職員処遇改善加算は、介護職員全体に対して処遇改善を行うものになります。新しく創設された介護職員等特定処遇改善加算は、技能や経験のある介護職員の処遇改善を目的としています。

介護職員等特定処遇改善加算の中で技能や経験のある介護職員は、勤続10年以上の介護福祉士が基本とされていますが、他法人での勤務期間を勤続年数に加えるなど事業所の裁量が認められています。以前に比べると、処遇面では改善されていますが、全業種の平均給与に比べるとやや劣っているのが現状です。

【参考】厚生労働省「通知・事務連絡

体力の限界

介護職は力仕事ではありませんが、体力仕事です。専門的な知識や技術を必要としますが、人の生活を支えるために体力勝負のところがあります。とくに入所施設であれば、夜勤を含めた変則勤務になります。休みはありますが、カレンダーどおりにはいかず、土日祝日関係なく仕事があります。

若い20代、30代のうちはよいですが、年々歳を重ねていくことでいずれ体力の限界がくることもあります。身体が健康でなければ働き続けることができないため、体調を崩すまえに辞めたいと思う人は多いようです。

やってられないと感じたら考えてほしい選択肢

介護職をやっていられないと感じたら、一度立ち止まって考えてほしい選択肢があります。介護職として働いていくか否か、介護の仕事を辞めて別の仕事に就くのかなど、じっくり考える時間が必要です。

今の場所で長く続けられるかどうか

退職せずにそのまま働くことを選択した場合、現在の職場で長く続けられるか否かを考える必要があります。不満があっても続けたいときは、改善するための努力が大切です。

業務改善ができるかを相談する

不満を解決するために、業務の見直しが可能か否かを上司に相談することです。自分だけで不満と思っていても解決には繋がりません。なぜ不満なのか、嫌だと思っているところを積極的に相談してみましょう。相談することで職場の雰囲気が変わる可能性があります。ただし、漠然と業務量が多い、就労時間が長い、○○さんとは一緒に仕事をしたくないなど、仕事に対して文句を言う場ではない点に注意が必要です。

進めている業務の中でどのように工夫しても利用者に負担がかかってしまている、考え方の相違から○○さんと仕事がうまくできないというように自分なりに解決の道は探しているが解決に至っていない点について相談しましょう。

人間関係の場合、性格もそれぞれ異なるため、合う合わないこともあります。どうしても難しい場合は、職場内の配置転換や異動が可能なこともあります。特に人間関係への不満は配置転換によって配慮してもらえる場合もあり、まずは上司に伝えることが大切です。

資格取得を検討する

資格取得をすることでキャリアアップを目指し、給与や待遇の改善が期待できます。多くの事業所では、介護のキャリアパス制度が導入されています。介護のキャリアパス制度では、経験年数に応じて必要な知識や技術のほか、望ましい資格なども段階的に示されています。

例えば、働いて1年以内に初任者研修修了、2~3年以内に実務者研修修了、3~5年以内に国家資格である介護福祉士を取得することによってキャリアアップが明確になっています。また国家資格である介護福祉士や介護支援専門員は資格取得によって役職がつく可能性もあります。

そのほか、介護支援専門員は介護施設によっては必ず配置が義務づけられているため、優遇されるところが多いです。介護のキャリアパス制度では、自身が経験に応じて知識や技術を深めることによって評価が明確化されています。介護職として長く働き続けていくためには実務経験を積んで計画的に資格取得を目指しましょう。

辞めた時に次の見通しが立つかどうか

退職することを選択した場合、退職後の見通しが立つか否かを考える必要があります。闇雲に辞めてしまっては何も長続きしません。退所後に何がしたいのかのビジョンを持つことが大切です。

条件がよい職場を探してみる

転職をすることで、今働いている職場よりもっとよい待遇が受けられる職場を探しましょう。将来の見通しを立てるためには、自分の条件に合う職場を見つけることが改善のポイントになります。

自分で探すことが難しいときは、インターネットの転職求人サイトを利用しましょう。求人サイトへ登録すると、専任のコーディネーターが相談に乗ってくれます。またハローワーク以外の独自の求人が多数あり、自分の条件に合った求人を相談しながら探すことが可能です。その他、条件交渉や福利厚生の確認など自分では問い合わせしにくいものであってもコーディネーターが上手に対応してくれます。求人情報以外に転職サイトによっては、履歴書の書き方、面接の受け方など、採用面接時に実力が発揮できるような支援を独自に行っています。

働きながら自分で探すことは想像以上に大変です。また自分の置かれている現在の環境が劣悪な場合、冷静な判断ができず、今の現状が抜け出せるなら何でもよいとなってしまいがちです。コーディネーターは相談に乗りつつ、必要なときにアドバイスをしてくれます。条件がよい職場を探す際に転職サイトの利用は有効です。

介護職以外の異業種に挑戦したいか

異業種に挑戦することによって介護職から離れることで不満が改善される場合があります。一度辞めたらもう二度と戻れないわけではありません。介護職に対して不満はさまざまです。その仕事に就いているからこそ近すぎてわからないことも多いです。

多くの人が抱える不満は、給与が安い、不規則な勤務で体調不良になった、職場の人間関係が悪く精神的につらい、運営方針が自分の意見が合わないなどさまざまです。不満の要因になっているところから離れて別の仕事に就くと新たな気持ちで働くことができます。反対に離れてみて介護職のよいところを実感する人もいます。異業種に挑戦して自分を見つめ直すとよいでしょう。

介護職として働いていくか否かの選択
介護職として働いていくか否かの選択

介護職がやってられないと感じたらシミュレーションを立てる

介護職を続けるのか、辞めるのかのどちらを選択するとどのような結果が考えられるのか自分でシュミレーションを立ててみましょう。その場の感情での選択は危険です。こんなはずではなかったとさらに悩みが増えることが予想されます。

介護職を続けていくためには何が必要なのか、また辞めることを選択した場合は今後、何をしていくのかをまずは考えることです。また仕事だけが人生ではありません。男女ともに結婚、女性の場合は妊娠や出産が分岐点になることがあります。将来の見通しがないと、プライベートを考えることもできないでしょう。

生活基盤が安定することで仕事に向き合え、充実した日々を送ることができます。自分が嫌だ、逃げ出したいと感じることを改善するためには、仕事についてじっくり考える時間を持ちましょう

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