Pocket
LINEで送る

夜勤帯で働いていると、思わずヒヤッとすることもありますよね。どうしても日勤帯と比べて介護職員の人数も少ないですし、1人の介護職員に対して何十人の利用者を対応しなければならないのでとても大変です。「徘徊がひどくて寝てくれない」「失禁が多量で衣類まで汚染してしまう」などといった一人の利用者にアクシデントやトラブルが起こってしまうと、時間通りに業務が進まず焦ってしまうことがあるのです。

特に夜勤で精神的にもつらいのが、ナースコールが鳴り続けてしまう状況になった時です。

コールがあれば放っておけないので、対応をするわけですが、何度も鳴り続けてしまったりいくつかの部屋からコールが同時にあったりすると焦ってしまうものです。「ナースコールの対応で夜勤の仕事が嫌になった」なんて人も少なくありませんし、介護の仕事を続けていくかどうか迷ってしまう人までいるのです。

皆さんはナースコールがラッシュである時はどのような対応をしているでしょうか?今回は介護施設でナースコールラッシュ時の対応についてお伝えしていきます。

 

スポンサーリンク

始まった!トイレコールが続く夜

コールが続く夜

介護付き有料老人ホームで働いていた時のことです。一時夜勤帯のナースコールラッシュに頭を抱えていました。利用者のAさんは認知症があり、夜になると何度もトイレに起きる人でした。しかしAさんは足腰が弱く、一人で歩いて何度か転倒したことがあったので介護職員が見守りや手引きで対応していたのです。

日中は落ち着いているのですが、夜間になると「寝る前にトイレに行かないと」という気持ちが強いのか、トイレに行ったことを忘れ何度も「寝る前にトイレに行く」とコールを押して呼ぶのです。行ったばっかりだという話をしても、本人は忘れてしまっているため「念のために行く」と話されるのです。

Aさんのコールだけで夜は何十回とあるため、他者の介助に入っている時にAさんのコールラッシュが始まると焦ってしまいます。「これから伺うので少し待っていて下さいね。」とコールに対して応対するのですが、間髪入れずにコールをし続けてくるのです。最後には一人でトイレに行こうとされるので、慌ててAさんの部屋まで行くような対応が続いていました。

 

あわや事故!対応方法に限界を感じた時

ある夜勤の日、排泄介助の時間のため順番に利用者の部屋を回っていると、Aさんからのコールラッシュが始まりました。他利用者の介助が終わり、急いでAさんの部屋に行きトイレ介助を行いました。

私は「Aさんが今トイレに行ったから、あと30分は他利用者の介護に回れるな」とつぶやき、Aさんの状況を確認して先程介助をしていた利用者の部屋の前を通ると、ベッドから利用者の足が飛び出していて転落しそうになっている所を発見したのです。慌てて部屋に入ってみると、ベッドの端っこで横になり足がベッドに乗っていないため宙に浮いているような状態になっていました。

私はAさんのコールに気がとられてしまい、ベッドの中心で臥床させなかった結果があらわに出てしまっている状況でした。幸い転落はせず事故にはならなかったのですが、とても心臓がバクバクしている自分がいました。「もしこのまま気付かなかったら大変なことになっていたかもしれない」私は今のままの対応ではいずれ事故に繋がると思い、夜勤明けで上司に相談しました。

一人でトイレができる環境を作る

環境を作る

夜勤明けでの申し送り時に昨日の状況について話をし、Aさんのコール対応について改善策を検討しようと持ちかけました。他の介護職員もAさんのコールについては対応がきついと感じていたようで、介護職員での改善検討会を行ったのです。コールを鳴らしてしまう原因は、「寝る前にトイレに行きたい」という内容のみで、トイレについてどうするかを考えた結果、以下のような内容に絞り込まれたのです。

  • トイレに行ったことを理解してもらう
  • トイレに歩いていかないようにする
  • トイレに自分で行ける環境を整える

まずはトイレに行ったという張り紙をコールに書いて張っておくことを検討しましたが、毎回時間を変えて張り替えなければならず、難しいとの判断から却下となりました。歩いていけないようにする環境だと「身体拘束」となってしまうため問題外です。最終的に出た結論は、トイレに自分で行ける環境づくりです。

方法としてはベッドのわきにポータブルトイレを設置して対応してみることに決まりました。検討会を行った日の夜勤帯からベッド脇にポータブルトイレを設置し、「夜はこちらのトイレを使用して下さい」とポータブルトイレに張り紙をして対応しました。最初の数回は介護職員付き添いでAさんの動作確認を行いましたが、上手にベッドの手すりとポータブルトイレの手すりを利用して自分でトイレに座れたので、そのまま対応を決行しました。

時々はトイレに行きたいとコールがありましたが、その都度Aさんにポータブルトイレは自由に利用していいことを伝えると、少しずつコールがなくなっていったのです。対応方法を変更して2週間経った頃には、今までのコールが嘘のように鳴らなくなっていたのです。

 

まとめ

早期対応で精神的にも安定した介護を提供する

頻繁にコールを鳴らしてしまう利用者の訴えは一人一人によって違いますが、大事なのは「何を訴えていて、どうやって解消するか」を考えることです。コールラッシュは入居者の状態や介護職員の対応方法次第で解消されることはあります。ましてや今回のような訴えの理由を把握している場合は、もっと早い段階で対応方法を考えるのが得策だったのでしょう。

コールラッシュは夜勤スタッフにとっても精神的につらい気持になりますし、つい慌てて行動しているため知らず知らずのうちに他利用者に危険を及ぼしているかもしれません。精神的に安定して介護が行えるように、検討策は早めに考えることを心がけましょう。

 

Pocket
LINEで送る