高齢になるにつれて、筋肉の衰えが目立ってきますよね。介護が大変になる理由の一つは、筋肉の衰えがあるからです。歩行が困難になり、行動の自由が制限され、部屋に閉じこもりがちになります。
そうやって歩かなくなると、脳への刺激が減少し、その結果、認知症の症状が加速してしまいます。今回は、高齢者の筋肉が衰えやすい部位や鍛え方をお伝えします。
目次
筋肉は生きている
筋肉は生きているので、鍛えると成長しますが、鍛えなければ衰えていきます。25歳くらいが筋肉のピークとされており、そこから徐々に筋肉は衰えていきます。
筋肉は一気に衰えていく。特に下肢の衰えに注意
引用:若さの目安シミ・シワよりも「大腿四頭筋」|NIKKEI STYLE
グラフを見ると、年齢と比例して筋肉の量が減っていますよね。下肢の中でも、大腿四頭筋が一番先に衰えます。
「大腿四頭筋」とは、太ももの前側周辺の筋肉のことです。太ももの大腿骨につながっており、全身の筋肉の中でも最も大きく強い筋肉で、膝関節などを曲げ伸ばしに使われます。
下肢の筋肉は急降下する!
大腿四頭筋が衰えると、最初に歩行が困難になります。そうなると、生活全般に支障が出てしまい、どこにも行けなくなり、引きこもりがちになってしまいます。さらに運動をしなくなり気分が憂鬱になるという悪循環です。
歩くことで、全身の筋肉の使って自然と運動になります。日常動作での運動が減ってしまうと、さらに筋肉が衰えが進み、ついには動かなくなります。高齢者は特に筋肉の衰えの速度が速く、毎日自然としていた運動がとっても重要なのです。
膝の曲げ伸ばしに苦労する
下肢の筋肉が衰えると、膝の曲げ伸ばしにも影響がでてきます。あなたも椅子に座った状態で、太ももに手を当てて足を上下に動かしてみてください。下腿四頭筋が動くのがわかります。
しかし、高齢者の場合は筋肉の動きがスムーズではないので動きが鈍くなります。個人差はありますが、20歳の頃の半分の筋肉量しかありません。足首などに重りを付けて足を上下したり、膝の両サイドに添木をして包帯で巻いて歩いてみてください。簡単に歩けるだろうと想像しますが、かなり歩きにくいです。市販の高齢者疑似体験セット等もありますので、検索してぜひ体験してみてください。
究極のながらリハビリ方法

高齢者は一度筋肉が衰えると、同じ量の筋肉を取り戻すのに時間がかかります。なので、毎日少しずつ運動を続けていきましょう。高齢者に毎日ハードな筋トレを行ってもらうのではなく、続けやすい軽めの運動がベストです。散歩やラジオ体操がちょうどいい運動として行われています。
そのほかには、筋肉全体を使う運動もあります。背もたれなしで座るのもおすすめです。ただ座るだけですが、座ることで体バランスを取ろうとするので、上肢・体幹・下肢すべての筋肉や脳を刺激できます。
安静にしすぎるとダメ。食事や座ることもできなくなる
高齢者が寝たきりになると、廃用症候群(はいようしょうこうぐん)になる可能性があります。生活不活発病ともいわれ、動くのが大変だからと安静にしすぎていると起こりやすくなります。様々な周辺症状が引き起こされるので避けたい病気です。
特に高齢者は、肺炎や心不全の治療でベッド上の安静が長くなると、心機能や肺機能が低下し、歩けなくなります。病気になる前はできていた食事や座位も、できなくなる危険性が非常に高くなります。
ただ寝ているだけ、ということ自体が病気に大きく影響するということです。病気は治ったのに食べられない、起き上がれないとなると、点滴や経管栄養(胃瘻も含む)が必要となり、いわゆる寝たきり状態となり、元の生活に戻ることが難しくなります。

筋肉は自然のドクターになる
リハビリの為に散歩をすることは、気分転換にもつながります。さらに、目標や目的にもなり、毎日の生活が向上します。
ちょっとしんどいリハビリなどを行うと、脳への刺激や筋肉への刺激になります。若い人と同じように、運動をすると気持ちのリフレッシュになります。おなかもすくのでしっかり食事もできて、ほど良い疲労感で夜間の熟睡にもつながります。筋肉は血液を送る役割もあるので、体の内部にも影響していきます。
活発な生活をおくるために
若い人でも高齢者でも、病気にならず元気に生活したい気持ちは変わりません。しかし、高齢になるにつれて、どうしても体の衰えは避けられません。
筋肉を鍛えると自立できる筋肉が残るので、病気の予防や健康に過ごせるようになります。
筋肉の衰えた高齢者は、若い人と同じような歩行や行動ができないことを念頭に置きましょう。若い人と高齢者の動きも違ってくるので、気持ちを考え寄り添うような、ゆったりとした介護が大切です。