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1日3回の食事を美味しく食べたいですよね。でも要介護状態になり、固形物がなかなか飲み込めない、よだれも出てむせてしまうなど、美味しく食事をすることが困難になってしまう人もいます。よだれが出すぎてしまって、外出を控えたり、一人で食事をとる機会が多くなる人もいます。人と食事をする機会が減り、外出も控えると自分の部屋にこもるようになり、ADL(日常生活動作)の低下や寝たきりや運動不足にる筋力の低下にもなりかねません。また、人との交流が少ないと認知機能も低下しかねません。よだれに悩まないで、楽しく食事を摂るためにどのような対策をしたらよいかお伝えします。

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普段の様子から原因を探る

よだれが出てしまう原因は、覚醒状態が少なく下を向いていることが多い、認知症などの内服の影響、パーキンソン病の症状、半身麻痺症状で口が思うように閉まらないなどさまざまな原因があります。まずはなぜよだれがでてしまうのか考えましょう。その方の普段の様子をよく観察し、あてはまることはないか見てみましょう。主治医や言語聴覚士やケアマネージャーに相談するのも良いでしょう。原因を理解することも大切な介護のひとつです。

食べたい物を想像する

美味しく食事を摂るためには咀嚼、嚥下がスムーズにできることが必要です。咀嚼、嚥下がスムーズにできないと誤嚥をになり気管に食べ物が入り、炎症を起こし誤嚥性肺炎を誘発してしまいます。肺炎は恐ろしい病気で、死因にも繋がります。誤嚥を起こさないで美味しい食事を摂るということは生きがいにもなります。「今が旬の○○が食べたい」「○○のレストランにお出かけする」それを目標に過ごすこともあります。食べたい物があるのは生きるための糧になり、ひいては、最終的には誤嚥を予防することもできるのです。

口のリハビリという名のおしゃべり

美味しく食事を摂るための想像をしたら口の体操も必要です。要介護状態になりなんだか口の体操なんて恥ずかしいなんておっしゃるかたもいます。そんな方には、まずは口を動かすことから始めましょう。口を動かすのはずばり”会話”です。口のリハビリと聞いたら難しく感じますが、楽しくおしゃべりすればいいのです。おしゃべりすると下を向いていた顔も前を向きます。覚醒しやすくなります。内容はなんでも構いません。その方の好きな話でも、クイズを出しても、笑える話をしても良いでしょう。

例えば、季節に合わせて単語を一つ選びます。春なら「さくら」なんていいですね。では、「さ」の付く言葉なにがありますか。「く」の言葉、「ら」の言葉といった様に回想法も交えながら言葉を発してもらいます。若い世代の人が知らない言葉を教えて下さることもあります。笑える話は難しいかもしれませんが笑うという行為は脳活性にもとてもよいと言われています。笑うことで口を大きく開け頬が動き、覚醒も促せるので口のリハビリにはもってこいです。笑うことでNK細胞が活性化するので免疫力を高め体に良いと言われています。

意識した口の体操

おしゃべりをして口を動かしたら、口の体操を意識してやってみましょう。口の体操ですが口だけではなく、姿勢や周りの環境にも配慮します。姿勢はできれば、背中を背もたれから離し、足は地にしっかりつけます。要介護状態で背もたれから背中を離して座位が不安定になる方はもたれて下さい。できれば、テレビなども消してしっかり口腔体操に集中できる環境にします。
ここからの動きは3回ほどそれぞれすると良いです。
①深呼吸
鼻から吸って口から吐きます。
②肩の運動
肩を上下に上げ下げします。
③首の運動
首を前後左右に倒します。順番は決まりはありませんが首の運動なのでゆっくりすることが大切です。
深呼吸から肩や首の運動をすることによってリラックスします。リラックスした状態から、次は口の運動に入ります。
④頬の運動
ほっぺたを膨らましたり、すぼめたりします。
⑤舌の運動
舌を上下左右に動かします。この時に舌の状態を見ることもできます。舌の色が白っぽくなっていないかなど観察することで健康状態も知ることができます。
⑥口の運動
口の中で舌を1周させます。この動きはよだれがよくでます。でたよだれは飲み込んじゃいましょう。
⑦発声
キーワードは「パ・タ・カ・ラ」です。このパタカラには一つ一つ意識して発声することが大切です。

「パ」の発声は、唇の動きが大切です。唇を閉めたところから「パッ」と唇を開きます。食べ物を口に入れるときに必ず唇を開け閉めします。その動きになります。「タ」の発声は、舌の動きが大切です。発声した時に舌が口の中で上下に動きます。この動きは食べ物を口に入れて喉の奥に運ぶ時の動きになります。「カ」の発声も、舌の動きです。「カ」の時も口の中で舌が前後に動きます。これも、食べ物を喉に運ぶ為に必要な動きです。「ラ」の発声も、舌の動きです。「タ」よりも舌の動きが大きくなります。

「パ・パ・パ」「タ・タ・タ」「カ・カ・カ」「ラ・ラ・ラ」とゆっくり3回ずつ発音するとよいです。発音一つ一つに舌や唇の動きを意識することが大切です。これらのことをできれば説明しながら行うと利用者さんも意識するのでおススメです。

⑧あいうえお体操
「あ」はあっと驚く顔をします。その時に、口を大きく開けます。「い」は口を横に広げることを意識します。「う」は口をすぼめることを意識します。「え」は体を少しのけぞりながら口を広げます。「お」は感心した表情で口をとがらせます。あいうえお体操は表情筋を使い笑いながらできるのでおススメです。

⑨深呼吸
①同様の動きです。
一生懸命口の体操をするのも大切ですが、その場の雰囲気を意識しながら行いましょう。世間話を混ぜたり、利用者さんの動きを褒めたりすることで場が和みます。場が和むと自然と笑顔になり、頬や口角が動きいつの間にか口の体操をしていることにもなります。

ちょっとの意識と笑いとおしゃべり

  • 食べたいものを想像して食べたいものを食べることを目標にする
  • しゃべって笑って頬を動かす
  • 口の体操で舌や唇の動きを意識する
  • 楽しく体操をする

最も大切なのは楽しく笑いながら体操をすることです。笑うという行動はNK細胞を増やす効果もあるので、NK細胞が増え、免疫力も上がれば普段のよだれの量も減ることが期待できます。普段の生活の中でよくおしゃべりをしたり、良く笑うことをしていたら、それだけで十分口の体操にもなります。普段から口を意識して誤嚥せずに食べたいものを食べれる環境になりますように。

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