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公的社会保険制度として介護保険がはじまって18年。現在、介護保険では、在宅・施設ともにその人らしさを大切に、地域で自立した生活が送れるように何ができるのかを常に模索しています。

介護保険が始まった平成12年と現在の介護保険制度。ともに利用者を支えることには変わりありませんが、より個別ケアに目が向けられるようになりました。集団ケアから個別ケアへ変化してきた介護。今の介護について、もう一度振り返って考えていきましょう。

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社会保険制度として介護保険が必要になった経緯

介護保険が始まる前から介護の問題は深刻化していました。病院では治療終了後も、自宅へ戻ることのできない高齢者が溢れかえっている状態。俗にいう「社会的入院」の増加です。

特養の入所に関しては、行政措置で行われていました。例えば、特養に入所したい場合は、個別に申込を行うのではなく、住んでいる地区の役所福祉課へ入所申込を行います。順番が来ると役所から入所決定の通知が送られてきます。待っていれば要介護1の人でも要介護5の人も入所できました。

良い点は、申込んだ順番で連絡が来るため、早く頼んだ人から順番に決まっていくので不公平はありません。悪い点は、申込み順のため、急ぎ入りたくても入れない状況や、個別に場所が選べません。自宅の目の前に特養があっても、遠い場所にある特養の入所が決まることもありました。

行政措置から契約へ

介護保険制度が始まり、自分で自分の介護が選べるようになりました。措置から契約へ画期的な一歩です。特養の申込に関しては、行政からの処分ではなく、利用者の意思で入所施設が選べるようになりました。入所希望をする施設を見学し、どこに申し込むのかを選ぶ行為が生まれます。介護を提供する側も選ばれる施設を目指して切磋琢磨するようになったのは事実です。

入所適正委員会などが行政主導ではあるものの立ち上がり、地区ごとに優先入所指針が作成されます。順番の決定方法も優先入所の指針に沿って、施設ごとに入所判定委員会が行われるようになりました。入所者の介護度、認知症の症状、介護者の状況など何に困って入所を待っているのかの状態を把握し、優先入所指針に照らし合わせて入所順番を決定します。

入院からケアへ

介護保険が始まる前は、介護施設も少なく、社会的入院ができるような病院が多かったため、集団でのケアが主流でした。介護保険が始まっても同様です。

特養居室は4人部屋。時間ごとにオムツ交換を行います。食事時間を設定し、間に合うように入居者全員を食堂へ移動します。食事は全員そろって「いただきます」を行い、食事が終われば、住んでいるフロアへ全員が帰ります。入浴は週2回。歩いて入浴ができる一般浴槽、車イスのまま入浴できる機械浴、寝たまま入浴できる寝台浴槽が完備。入所者が100人いれば、100人が大移動です。

集団で生活することは、自由にならないことも多いです。しかし、社会的入院を経験した人の多くは、ベッド上のみの生活でした。起きて何かをするわけでもなく、どこにも行くところはありません。食事もベッド上で食べる病院が多かったです。その中で、ベッドから起きて食事を食べる、歌を歌う、みんなと同じ空間で過ごす、座ってテレビを見るなど当たり前生活や余暇が過ごせることが画期的でした。

集団ケアから個別ケアへ

集団ケアで当たり前の生活が取り戻せるようになり、介護者側もその人らしさを介護の中から考えるようになります。利用者それぞれ顔が違うように性格だって、生い立ちも異なります。もっと個別に目を向ける動きがケアの中で生まれます。100人の集団では見つけられなかったことが、10人の中では見つけられる。もっと良く見よう、知ろうという中から生まれた介護が個別ケアであり、現在の特養の主流であるユニット型特養です。

ユニット型特養は、9~10人程度のグループ(ユニット)の中でその人らしく生活できるように考えられた施設になります。ユニットの中では、その人の趣味や生きがい、できることに目が向けられます。例えば、認知症のおばあちゃんが達人のように洗濯物がきれいにたためることを知り、その人の役割が見つかったなど、今までケアを受けることが当たり前だったことが、自分でやれる喜びを味わう。ユニットならではの生活介護ですよね。

その人らしさを大切に

従来からあった特養を従来型特養。現在の主流となっているユニット型特養。どちらかが良くてどちらかが劣るわけではありません。大切なことは、施設ではなく、どのような介護を目指しているかです。何でも時間通りに行えば、提供する側からすれば楽です。時間に対して必要な人数がいればそれで終わりますから。そのような介護では誰も受けたいと思いませんよね。

介護は受ける側も介護を提供する側も人です。声のかけ方やどちら側から手伝うのか、どの部分を自分でやってもらって、何を手伝うのか。同じ介護であってもその人にとって何が必要かを考えて介護を行うと、同じ介護の人は一人もいませんよね。それこそがその人らしさではないでしょうか。

出会いはさまざまです。自宅で生活をしたい人もいれば、施設で生活をせざるを得ない人もいるでしょう。ここだから自分らしく暮らせて、そこでは自分らしく暮らせないなんてことはありません。自宅でも施設でもその人らしさは見つけられます。介護を提供する側としていつでもどこでもその人が一番輝ける介護を目指していきたいですね。

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