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外国人技能実習制度に介護職種が追加され、平成29年11月1日からついにスタートしましたね。これにより外国人は早くても来年の春から、実習生として働くことができるようになりました。実は技能実習制度で、対人サービスを行うのは今回が初めてなんです。日本の進んだ技術等を習得してもらおうという人材の育成を理由にする一方、人手不足である日本の介護現場にとても貴重な人材になることが期待されています。

しかし、やはり外国人だからこそ出てくる課題や、受け入れ体制による課題があります。想像できるものだけでも、文化・価値観の違いや日本語のスキル、円滑にコミュニケーションを行えるかなどが考えられるのではないでしょうか。

そこで今回は、外国人が介護現場に出たときに出てくる様々な課題についてお伝えします。

 

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外国人による介護現場で出てくる問題はこれ!

介護現場で出てくる課題を大きく分けて4つ、お伝えします。

①日本語・コミュニケーション

やはりご想像の通り、言葉の壁と外国人ならではの問題であるコミュニケーションの課題が挙げられます。

技能実習制度では日本語習得に向けて、以下の図のように、定められた日本語を習得するための時間数が設けられています。例えば技能実習の時間が1920時間だとすると、その6分の1以上の時間を日本語習得のための講義に当てる義務があります。また、日本に来る前の6か月間以内に160時間以上を1か月以上かけて講習を受けた場合は、予定された技能実習の時間の12分の1が日本語習得の講義の時間となります。

(引用:講習の日本語指導ガイド|公益財団法人 国際研修協力機構

しかし、講習内だけでコミュニケーションを円滑に行うのは難しいのが現状です。介護は対人サービスであるため、コミュニケーションは非常に重要視されます。サービスを利用する者(利用者)とのコミュニケーションに限らず、介護職員や様々な専門職(多職種)との円滑なコミュニケーションも欠かせません。職員間とのコミュニケーションが不十分だと、他の専門職との連携もうまく取れず、利用者の希望に合ったサービスを提供することができなくなってしまいます。

また、介護現場では利用者の体調の急変が起こることは稀ではありません。体調が急変したときに、介護者が利用者の言葉や状態、訴えをしっかり受け取り、そして医療の専門職に正確な情報をもれなく伝えることが非常に重要になってきます。そのため日本語・コミュニケーションが不十分なことは、利用者の命にも関わる重大な課題と考えられます。

日本語のスキルアップのために業務日記を書いてもらい添削する施設もあり、講義だけでは不十分なため、現場に出た後も日本語の勉強が必要となってきます。

 

②日本の生活に合ったサービス提供

国が違うと、同じアジア諸国でも文化が異なります。そのため、利用者とサービス提供者間のトラブルが起こる可能性があります。例えば、食事です。食文化が異なるため、利用者が慣れ親しんでいる日本食・味付けを提供することができないという問題が出てくると推測されます。現場に人手が足りないため「できるだけ早く現場に入ってもらおう」と、そのような点がしっかり教育されずに現場に入ってしまう可能性があり、慣れ親しんだ日本の生活から突然変化が起きてしまうと利用者にとって大きな負担となってしまいます。比較的なおざりにされてしまいがちな点ですが、非常に大切なことになります。

 

③ホスピタリティの問題

サービスの提供に関して次は、ホスピタリティの問題です。ホスピタリティとは最低限のマナーに加え、心が加わると「思いやり」や「おもてなし」となり、相互関係に信頼関係が築かれ、お互いが満足することをいいます。外国人の中でも思いやりの精神を持った人もいますが、全員というわけではありません。利用者が満足するサービス提供ができるか懸念されます。

 

④受け入れ体制によるサービスの質の低下

介護現場に人手が不足している中、どうしても受け入れる外国人を安価な“労働力”として捉えてしまう傾向があります。また賃金も低く設定されることも少なくなく、待遇が悪いと実習生のモチベーションも下がり、サービスの質の低下、最終的には離職にも繋がりかねません。実習生として“育てる”ことで、モチベーションが上がり、私たち日本人は将来的に質の高い介護が受けられるようになります。

 

まとめ

外国人実習生における介護現場での課題

・講義内での日本語の勉強だけでは、現場でのコミュニケーションは困難

・職員間でのコミュニケーションが不足すると、利用者の意向に沿ったサービスを提供できない

・日本語・コミュニケーション不足は、利用者の生命にも関わってくる

・文化の違いにより、日本食の提供など日本の生活に合ったサービス提供が難しい

・介護現場の人手不足により早く現場に入ってもらいたいが故に、日本の生活に合ったサービス提供の教育がおざなりになる可能性がある

・実習生の受け入れ側が労働力と捉えてしまうことで、実習生のモチベーションが下がりサービスの低下に繋がる

・ホスピタリティが低いと、利用者の満足したサービスは提供できない

対人サービスは外国人にとって、対人だからこその課題が多く出てきます。実習生と受け入れ側、そして現場の人たちがどのような課題が考えられるか把握し、積極的に課題を減らしていく取り組みが必要ですね!

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