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ケアマネとして、はじめての業務は覚えることばかりですよね。特にケアプラン作成は人の人生そのものを変えるほど重要な仕事です。しかし、新人の頃は自信がなかったり、ケアプランのたて方がわからなかったりと、常に疑問に思うことばかりですよね。

ここではケアプラン作成について、基本的な考え方となる「ICF(国際生活機能分類)」について事例を交えながら説明していきます!

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ICFをとは?

さまざまな人

ICF の目的を一言でいえば、「“生きることの全体像”を示す“共通言語”」で ある。生きることの全体像を示す「生活機能モデル」を共通の考え方として、さまざまな専門分野や異なった立場の人々の間の共通理解に役立つことを目指している。

「引用:ICF(国際生活機能分類)-「生きることの全体像」についての「共通言語

厚生労働省の資料より抜粋したもので、簡単にいうと、本人の生活上の問題は障害や病気から発生しているのではなく、環境も大きく関係しており広い視野を持ってその人の生きるを全力で支えるという考え方のことです。

脳梗塞後遺症にて軽度の右麻痺があり食事に問題があると仮定します。昔の考えでは「右麻痺がある=スプーンや箸が上手く持てず食事に支障が出る」と病気を原因と捕らえていましたが、ICFでは「右麻痺がある=スプーンや箸の握り手を太くすれば問題は解決する」と環境因子を加えポジティブな考え方をしていきます。

どうしてICFをの考えに国が傾いたかというと、利用者の自立を促す目的で導入されたものです。よくTVや新聞で介護保険料が上がっている、社会保障費は破綻してしまうと聞かれます。事実介護にかかる費用はここ20年で3倍以上に膨らんでおり、今後も増えていき、40歳以上になってから徴収される介護保険料も最初に比べ約2倍の金額となっています。

このままではお金が無くなってしまうので、出来ないところは補助するから自分で極力自分のことは自分でして下さいね、というのが国の考えです。そのため、「きちんとプランニングして」と、ケアマネは国から常にプレッシャーを与えられているといって過言ではありません。

ICFの分類について

カラフルなマカロン

ICFは6つに分類されます。

  1. 健康状態
  2. 心身機能・身体構造
  3. 活動
  4. 参加
  5. 環境因子
  6. 個人因子

それでは事例を出しますので、イメージしながら記載と注意点について説明します。

  • Aさん78歳女性、要介護度2
  • 基礎疾患として高血圧、脳梗塞後遺症で軽度の右半身麻痺にて杖歩行
  • 視力・聴力問題なし
  • 自宅は築40年昔ながらの日本家屋で夫と2人暮らし
  • 子供は3人で同敷地内には長女夫婦が住み、長男・次男は飛行機の距離に住んでおり半年に一度実家に来る程度
  • 性格は社交的明るく趣味はカラオケ。近所付き合いもよいが、退院してからは閉じこもりがち

と、いう事例を元に考えていきましょう。

「健康状態」病気は1つだけとは限らない!

病名や症状、どんな薬を飲んでいるか?他に病気は無かったか?主治医の先生は誰か?病院へは月どのくらい行っているか確認します。

Aさんは高血圧症で脳梗塞後遺症による軽度の右麻痺がありますよね。特に高齢者は、病気が1つとは限らないことがあるので注意しましょう。

「心身機能・身体構造」日常生活の支障はどの程度?

筋力や全身持久力(スタミナ)や精神面、睡眠状態や体重の増減から見る栄養状態、視力や聴力など日常生活にどの程度支障をきたしているか確認します。

事例では視力・聴力は問題ないとなります。ただ、高血圧なので食べている食事ははたして減塩食なのか?コンビニ弁当や出来合いではないか確認します。

「活動」実際に行っている行動をみる

本人さんが実際に行っている行動について評価します。屋外や屋内の移動や入浴の際の動作、金銭管理、料理や掃除、洗濯や服薬管理が当てはまります。

Aさんは杖で歩行していることになっていますね。服薬については飲んだり飲まなかったりと不自然に薬が残っている場合もあり、薬の管理が出来ていないと判断することが出来ます。

「参加」趣味や人との交流はあるか?

趣味活動、友人や親戚との交流、地域での立ち位置、外出先の有無や日中の活動が当てはまります。

Aさんは社交的で趣味はカラオケ、退院してから閉じこもりがちという事が分かります。地域での立ち居地や近所付き合いについて民生員の方から聞くことも出来るのですが、最近個人情報法保護の観点によりなかなか話を聞き出せないことが多く見られますので顔なじみの関係性を作るのが大切です。

「環境因子」家族や友人宅、公共機関へのアクセス

家族構成及び健康状態や家族との交流・関係性、経済状況や住環境、公共機関へのアクセス、医療・福祉・保険サービス、友人までの家の距離などが当てはまります。

Aさんは同敷地内に長女夫婦がいるが息子たちは遠くに住んでいること、近所付き合いがよいことが分かります。金銭関係については聞くのがなかなかに難しいところですが、最初に聞いておかないとサービスを入れたはいいがお金を支払えないのでは意味がありません。

いまどの程度の収入があってどれくらいなら負担できるか必ず知る必要があります。

「個人因子」性格や結婚歴、職業を知る

年齢や生活歴、性格、趣味や価値観が当てはまります。

Aさんは78歳女性、性格は社交的でカラオケが好きである事が分かります。他にはどの宗教を信仰しているか?結婚歴やどのような職業に就いていたか知る必要があります。

いち早く気づけるか?試されるケアマネの力量

捜索隊

さて皆さんはここで疑問に思ったことはないでしょうか?それは圧倒的に情報が足りないことです。

例えば活動のところで歩行は杖でしているとしていますが屋内・屋外どっちで使用しているか?それともどちらともなのか?また杖は1点杖なのか?4点杖なのか?

環境因子では長女夫婦は同敷地内にすんでいるけど仲はどうなのか?閉じこもりがちとはあるが、それは体力が無いからなのか?それとも右麻痺により言語障害が出ているから人前でカラオケをしたくないのか?もし体力低下なら栄養状態はどうなのか?等考え付かないといけません。

このような問題点にいち早く気がつくかどうかでケアマネの力量が試されていきます。

実のあるケアプランを作るために!

私はケアマネを6年続けていますが何度も何度も失敗を繰り返し「本当にこのプランでよかったのかな?」と常に自問自答を続けています。

最初からすべて上手くいくプランはありません。経験を積んで研修会に参加することで自分のスキルはどんどん上がっていきます。最初は不安が沢山あるかと思いますが、ミスを恐れず共にトライしていきましょう。

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マイナビ介護職

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