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高齢者虐待が年々増えています。施設に親を預けている家族にとっては心配ですよね。

もしかしたら自分の親が今頃殴られたり蹴られたりしているのではないかと不安に感じてしまうでしょう。

しかし、実際は暴力を振るって虐待をしている側だった、なんて状況を知ったら家族もビックリするでしょう。意外にも高齢者に「暴力を振るわれた」という介護職員は多く、日常的に繰り返されているのが介護施設での現実なのです。今回は帰宅願望が強い利用者を必死で引き止めたときに受けた、つらい仕打ちの実話です。

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突然のスイッチ、帰宅願望で玄関の前から離れない

玄関に注目

Aさん(女性)は介護施設に入居して3年になるのですが、重度の認知症で会話を理解できない状態でした。それ以外の身体介助はほとんど必要ありません。ただ一つのことに集中してしまい手がつけられなくなることがありました。

中でも一番大変だったのは帰宅願望が強くなり、施設の玄関に張り付いた状態になることでした。自動で開かないようになっているのですが、お客様や入居者の家族が来たときはドアを開けるので、開いたタイミングで外へ出ていこうとしてしまうのです。帰宅願望スイッチが入り、外に出ようとするので私が対応します。

興味を引きつけて、部屋に戻ってもらう工夫

あの手この手とAさんに部屋に戻る気になってもらえるように声掛けをしていきました。

大好きな紅茶作戦

甘い紅茶が好きだったので、「紅茶を一緒に飲みに行きましょうよ」と話しましたが、まさかの無視!いつもなら笑顔で「飲みたいわ!」と話されるのですが、スイッチが入ったときのAさんには全く効果なしだったのです。

忘れ物作戦

帰宅願望が強い人に、「部屋に財布忘れてますよ」と声を掛けると部屋まで戻る利用者は多いです。「自宅に帰らなければ」という思いから「財布を忘れたら大変だ」という気持ちになるからです。そして、部屋に戻って一緒に探している間に、他に意識をそらせるような会話をするのです。

そうしていくと「家に帰ること」を忘れ、落ち着いていきます。Aさんにも同じように伝えてみたものの、紅茶作戦と同じように無視をされてしまいました。

「今日のAさんは手ごわいなぁ」そう感じて困り果てていたときです。

「ピンポーン」とインターホンが鳴ってしまったのです!

他の利用者の家族が面会に来たのですが、今の状態で開けてしまえば出ていってしまいます。事務所のスタッフが「どうしましょう?」と私に聞いてきたので、「後ろから止めるから大丈夫です!開けて下さい!」と伝えました。

まさかの力でビックリ!痛みが悲しみに変わるとき

哀愁漂う男性

玄関の扉が開いた瞬間Aさんは外へ出ようと早足で歩きだしました。私は後ろからお腹に手を回し、抱き着くような格好で「Aさん!!外はだめです!」と言ったのですが、出ようとするのを止めません。

私は事務職員に応援を呼ぶよう伝え、なんとか玄関前で出ていこうとするのを防いでいたのですがAさんが私の腕を掴み、思いっきりつねってきたのです!

つねる力は想像以上で、「こんなに強いの?」とビックリするくらいの力でした。

ようやく応援にきた職員と一緒になって、外へ行くのを防ぐことができました。つねられた腕は赤く腫れて腕がジンジンと痛みを感じるようになったのです。日に日に腕は内出血を伴い青アザとなってしまいました。私は「なんで暴力を振るわてまで介護をしているのだろう?」と悩み、悲しい気持ちになりました。

反省と今後の課題

対応方法にも問題があったかもしれません。開けば出ていってしまうとわかっていながらの行動でしたので、反省しなければならない点もあります。しかし、利用者から暴力を受けても、介護職員はやられるがままというのは非常につらいです。認知症だから仕方ないと思われるかもしれませんが、暴力を振るわれながら仕事をする介護士も同じ人間です。

今後、高齢者からの虐待はますます増えていく可能性があるので、しっかりと対策を国全体で考えていかなければならない問題だと感じています。

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