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老人ホームに入居したり、介護が必要になっても「夢」はありますよね。入居者80人のため、自分の好き勝手な生活はできない現状があります。私たちの老人ホームでは1年に1回だけですが、「夢」を叶える『夢実現プロジェクト』を行っています。

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第1段階は「夢」の聞き取り

「夢」の聞き取りは担当介護職員の役目です。自分の思いを言うことができない人は家族など昔のことを知っている周りの人から聞き取りを行い、本人が喜ぶようなことを考えます。

介護職員は1人で5人程度の担当を受け持っているため、順番に行います。なるべく誕生日付近でプレゼント代わりに行いますが季節に左右されるものは時期をずらして行っています。

一人ひとりの「夢」の実現に向けて

「夢」実現シートをそれぞれ持ち寄り、実現にむけて具体的なことを話し合います。毎月定例会議となっているため、翌月行う予定の6~7人の「夢」の実現が議題です。事前の準備、当日の職員、家族への相談などが主な内容です。

行き当たりばったりで事故につながらないように計画を複数職員で立てています。

家族とともに5年ぶりに「夢」を実現!

Aさん(70歳男性)です。妻、長男夫婦、孫2人と暮らしていましたが5年前に脳梗塞で倒れました。寝たきりの生活になり、老人ホームへ入居しています。お孫さんもおじいちゃんが大好きで毎週日曜日になると会いに来てくれます。上のお姉ちゃんは12歳の小学校6年生です。Aさんが倒れたときは1年生でした。

寝たきりのAさんを、お孫さんの運動会に連れて行きたい!

倒れる前のAさんは写真が趣味でお孫さんたちの幼稚園や小学校の行事に一緒に行って、たくさんの写真を撮ってくれたそうです。「夢」の聞き取りにあたってAさんは残念ながら失語症のため、自分の思いを口に出して言うことはできませんが、うなずきなどで意思表示はできます。

奥様に「夢」について相談しました。奥様は写真を撮る事が好きだったご主人をお孫さんの運動会に連れて行ってやりたいと言われました。その話を聞いたお孫さんたちも大喜び。ご本人に奥様から運動会を見に行こうという話が出たことを伝えます。

しかし家族想いAさんはこんな身体になってしまった自分が運動会に行くなんて迷惑をかけるだけだと思ったのか、最初は首を振っていました。お孫さんから「小学校最後の運動会だから1番早く走る私を見に来てほしい」との言葉にやっとうなずいてくれました。

「夢」実現にむけて家族の協力の他、息子さんと私たち職員で小学校にお願いに行きました。校長先生からも了解をもらい、いざ運動会当日です。小学校の配慮もあり、来賓用のテントで見ることができ、お孫さんの走る姿を見てAさんは涙していました。

今を大切にありのままを受け止める

奥様は1年生の運動会を最後に倒れた夫に大きくなった孫を見せることができて良かったと涙ながら話してくれました。

病気になった現実を変えることはできません。認知症になっても同じです。老人ホームで治すことはできません。

ただ私たちの老人ホームでは今を大切に今できることを考えています。1年に1回しかまだまだ実現できませんが、介護が必要になっても「夢」を忘れずにいてほしいという思いから『夢実現プロジェクト』を行っています。

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