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介護福祉士試験の合格率は前回が73.7%、前々回が70.8%で、数字で見ると難しい印象は受けません。しかし、11科目すべてでの得点が合格基準になっているため、極端な苦手を作らず、まんべんなく勉強しなければならないことが分かります。介護福祉士試験を受験する人の多くが、介護士として働きながらの受験になります。そのため、一発合格を目指すのなら、限られた時間での効率的な勉強が求められます。

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介護福祉士試験は本当に難しいのか

介護福祉士国家試験の直近3年の平均合格率は71.5%でした。介護に関連するほかの資格を見ると、社会福祉士は29.3%、介護支援専門員は18.5%の合格率でしたので、必ずしも介護福祉士が難関であるとはいえません。

参考:厚生労働省|第32回介護福祉士国家試験合格発表

参考:厚生労働省|第32回社会福祉士国家試験合格発表

参考:厚生労働省|第22回介護支援専門員試験合格発表

合格率は要件変更後70%超え

第29回から介護福祉士国家試験の合格率は、60%前後から70%前後に上昇しており、第32回でも69.9%という合格率を維持しています。その理由のひとつは、実務経験者が受験する際、介護職員実務者研修の修了が必須条件になったことです。つまり受験生のすべてが、基礎知識を学んで受験することになりました。その結果、毎年15万人ほどあった受験者数が以降毎年8~9万人台に半減し、現在に至っています。

参考:厚生労働省|第32回介護福祉士国家試験合格発表

全問択一式で記述式はない

試験問題は、全て五肢択一式となっていますので、問題を読んで、正しい、あるいは誤っているものを一つ選ぶマークシート用紙による解答方法となります。健康や医療に関する問題から、介護保険制度まで幅広く出題されますが、問題文はそれほど長文でもなく読みやすいため、一問一問のペース配分をしながら、解く試験となっています。

対策をすれば難しくない

試験対策として、過去問題集を繰り返し解いたり、模擬問題集などの予想問題を繰り返したりすることで基礎学力は身につきます。なぜなら、あらかじめ出題範囲は公開され、科目毎に問題数が設定されていますので、急に傾向が大きく変わるようなことはないからです。

介護福祉士試験の合格率

実施

受験者数

合格者数

合格率

第32回

84,032人

58,745人

69.9%

第31回

94,610人

69,736人

73.7%

第30回

92,654人

65,574人

70.8%

3年間の受験者数と合格者数、合格率を表にしました。受験する人は、およそ8~9万人ほどで、毎年受験生の数も大きく変わりません。

受験要件変更後は70%超え

合格率と受験者数の推移を示した グラフ

合格率と受験者数の推移を示した グラフ

第29回から実務経験3年に加えて、実務者研修の修了が義務づけられ受験要件が変更になりました。合格率は、変更後過去最高の72.1%を記録しました。

受験要件変更で受験者が絞られた

実務者研修の修了が必須になったことで、いままで3年の実務経験があればだれでも受験できた試験に、ある一定の条件が付与されたことで、受験者が絞られました。受験者数は約半数に落ち込みましたが、受験する人のモチベーションは上がり、現在でも毎年7万人前後が合格しています。

介護福祉士試験の合格基準

介護福祉士国家試験には筆記試験と実技試験があります。筆記試験は、午前と午後の総試験時間数は220分で実施され、11科目群の計125問が出題されます。合格するには、あらかじめ次の2つの合格基準が定められています。

総得点の60%程度を基準として難易度補正した点数以上の得点の者

問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点が必要となります。補正される点数は問題によって毎年違いますので、公式発表でも総得点の60%程度、という表記になっています。

試験科目11科目群すべてにおいて得点があった者

総得点の60%以上得点している人のうち、試験科目11科目群すべてにおいて得点が必要となります。ですから、1科目でも0点があれば、合計得点がどれだけあっても不合格となってしまいます。

極端に苦手な科目を作るのではなく、まんべんなく勉強する必要があります。

介護福祉士試験の内容

全科目五肢択一のマークシート方式

第29回

第30回

第31回

第32回

合格点

75点

77点

72点

77点

合格得点を示したグラフ

合格得点を示したグラフ

試験は全科目五肢択一のマークシート方式で解答します。配点は1問1点の125点満点になります。合格基準は総得点の60%なので、75点プラス補正点数が合格ラインとなります。どの科目も正誤選択方式で出題されますので、慌てずに最後まで問題を読みましょう。

人間の尊厳と自立、介護の基本

(出題内容)(●は、出題基準の大項目、○は中項目です。出題基準から一部抜粋して示します。)

  • 人間の尊厳と自立
    • 人間理解と尊厳
  • 介護における尊厳の保持、自立支援
    • 人権と尊厳

利用者の尊厳を守る介護や、提唱されている理念に関する知識が重要になります。認知症や意思表示ができなくなっても、利用者の尊厳をどのように守るのか、という問題が毎年2問出題されています。

人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術

(出題内容)

  • 人間関係の形成
    • 人間関係と心理
  • コミュニケーションの基礎
    • 対人関係とコミュニケーション
    • コミュニケーションを促す環境
    • コミュニケーションの技法
    • 道具を用いた言語的コミュニケーション

人間関係とコミュニケーションの意義や理解、コミュニケーションスキルについての科目です。

尊厳に関する科目と同様、意思表示についての事例問題を含む2問が毎年出題されています。

社会の理解

(出題内容)

  • 生活と福祉
    • 家庭生活の基本機能
    • 家族、地域、社会、組織、ライフスタイルの変化、社会構造の変容
  • 社会保障制度
    • 社会保障の基本的な考え方
    • 日本の社会保障制度の発達
    • 日本の社会保障制度のしくみの基礎的理解
    • 現代社会における社会保障制度
  • 介護保険制度
  • 障害者自立支援制度
  • 介護実践に関連する諸制度

介護保険制度や年金制度、生活保護などの社会保障についての科目です。過去には介護職員が産休を取る際に利用できる制度についての問題がありました。高齢者福祉に限った内容ではなく、障害者や生活困窮者への知識も必要になり、難易度が高い内容で毎年12問が出題されています。

生活支援技術

(出題内容)

  • 生活支援
    • 生活の理解
  • 自立に向けた居住環境の整備
    • 居住環境整備の意義と目的
    • 生活空間と介護
  • 自立に向けた身じたく、移動、食事、入浴、排泄、家事、睡眠の介護
  • 終末期の介護

自立支援や環境整備、利用者が自立した生活をするための支援に関する科目です。自立支援についての基礎知識や、介護用品、介護支援技術などの視点がポイントになります。自立を目標に、疾病に合わせた介護技術が26問出題されています。

介護過程

(出題内容)

  • 介護過程の意義
    • 介護過程の意義と目的
  • 介護過程の展開
    • 情報収集とアセスメント
    • 課題、目標、計画、実施、評価
  • 介護過程の実践的展開
    • 自立に向けた介護過程の展開の実際
    • 利用者の状態・状況に応じた介護過程の展開の実際
  • 介護過程とチームアプローチ
    • 介護過程とチームアプローチ

アセスメントや介護の目的を達成するための過程に関する科目です。利用者の状態把握やチームとして支援する場合の留意点などがポイントになります。長文や短文の事例問題を含む8問が毎年出題されています。

発達と老化の理解

(出題内容)

  • 人間の成長と発達の基礎的理解
    • 人間の成長と発達
  • 老年期の発達と成熟
    • 老年期の定義
    • 老年期の発達課題
  • 老化に伴うこころとからだの変化と日常生活
    • 老化に伴う心身の変化の特徴
    • 老化に伴う心身の機能の変化と日常生活への影響
  • 高齢者と健康
    • 高齢者の疾病と生活上の留意点
    • 高齢者に多い病気とその日常生活上の留意点

人間の発達と老化についての科目です。発達段階や老化に伴う身体的、知能的な低下について理解が必要です。短文事例が2問出題され、計8問で出題されています。

認知症の理解

(出題内容)

  • 認知症を取り巻く状況
    • 認知症ケアの歴史、理念
    • 認知症高齢者の現状と今後
    • 認知症に関する行政の方針と施策
  • 医学的側面から見た認知症の基礎
    • 認知症による障害
    • 若年性認知症
  • 認知症に伴うこころとからだの変化と日常生活
    • 認知症の人の特徴的な心理・行動
    • 認知症に伴う機能の変化と日常生活への影響
  • 連携と協働
  • 家族への支援
    • 家族への支援

認知症についての知識や理解に関する科目です。それぞれの認知症の症状や認知症に伴ってみられる疾患について理解しているかがポイントになります。短文事例が3問出題され、計7問で出題されています。

障害の理解

(出題内容)

  • 障害の基礎的理解
  • 障害の医学的側面の基礎的知識
    • 身体障害
    • 精神障害
    • 知的障害
    • 発達障害
    • 難病
  • 連携と協働
    • 地域におけるサポート体制
    • チームアプローチ
  • 家族への支援
    • 家族への支援

障害の知識に関する科目です。障害の特性や支援方法についての内容、地域や共生がポイントになります。毎年10問出題されています。

ちなみに、ここまでが午前中の科目になります。

こころとからだのしくみ

(出題内容)

  • こころのしくみの理解
    • 人間の欲求の基本的理解
    • 自己概念と尊厳
    • こころのしくみの基礎
  • からだのしくみの理解
    • からだのしくみの基礎
  • 身じたく、移動、食事、入浴、排泄、睡眠に関連したこころとからだのしくみ
  • 死にゆく人のこころとからだのしくみ
    • 「死」の捉え方
    • 終末期から危篤、死亡時のからだの理解
    • 「死」に対するこころの理解
  • 医療職との連携

身体と心の機能や仕組みについての科目です。解剖学の基礎や心理学の基礎などに関する知識が必要です。身体機能や健康に関する制度について、毎年短文事例1問を含む12問が出題されています。

医療的ケア

(出題内容)

  • 医療的ケア実施の基礎
    • 人間と社会
    • 保健医療制度とチーム医療
    • 安全な療養生活
    • 清潔保持と感染予防
    • 健康状態の把握
  • 喀痰吸引(基礎的知識・実施手順)
    • 高齢者及び障害児・者の喀痰吸引の基礎的知識
    • 高齢者及び障害児・者の喀痰吸引の実施手順
  • 経管栄養(基礎的知識・実施手順)
    • 高齢者及び障害児・者の経管栄養の基礎的知識
    • 高齢者及び障害児・者の経管栄養の実施手順

介護職員がおこなう医療的ケアについての科目です。喀痰吸引や測定などの問題が出題されます。短文事例を含んだ5問が毎年出題されています。

第29回から追加された科目のため、過去問が少ない

医療的ケアという科目は、第29回から追加された科目になりますので、過去問が4回分しかありません。出題テーマをよく読んで、テキストや模擬問題集で知識を深める事がポイントです。

総合問題

介護福祉士に必要な知識全てを扱う科目です。

利用者の個別性を尊重して、状態にあった支援方法を実践するのか、という視点で出題されます。4問ありますが、すべて事例形式であり、4領域(人間と社会、介護、こころとからだのしくみ、医療的ケア)の知識・技術を横断的、総合的に問う科目となっています。実務を振り返りながら解くことが重要です。

前回(第32回)の介護福祉士試験

第32回介護福祉士国家試験は、令和2年1月26日におこなわれました。

  • 受験者数は84,032人(昨年より10,578人減少)
  • 合格者 58,745人(昨年より10,991人減少)
  • 合格率 69.9%(昨年は73.7%で低下)
  • 合格基準点 77点(得点率で61.6%。昨年は72点が基準点)

という結果になっています。

合格基準点は75点前後

第32回の合格基準点は77点であり、例年どおり75点前後を推移しています。介護福祉士試験は満点が125点で、合格ラインが総得点の60%ですから、75点をボーダーラインとし、その後難易度や不適切問題などを考慮して合格基準点が補正されます。

受験者数、合格者数、基準点を比較すると、ある年度が特別難しいという事はありません。

また、回によっては解釈が異なったり、答えが複数存在したりする不適切問題により、満点が下がることがありますが、32回においては不適切問題はありませんでした。

働きながら介護福祉士試験に合格するには

働きながらも介護福祉国家試験合格に向けて勉強する図

働きながらも介護福祉国家試験合格に向けて勉強する図

働きながらでも介護福祉士国家試験に合格するには、空いた時間をうまく活用する、自分に合った学習スタイルを見つける、などいくつかポイントがあります。

スキマ時間を活用する

仕事や家事などで、なかなか勉強する時間が取れない時は、通勤時間や休憩時間、就寝前など空いた時間に集中して学習する工夫が大切です。暗記カードを持ち歩いたり、家の中で目につくところに表を貼ったりして、いつでも勉強できる環境にすることが、スキマ時間を活用する秘訣です。

過去問で出題傾向を把握する

過去問をみると、出題傾向を把握することができます。繰り返し解くことで、求められる知識の範囲や自分の苦手科目が分かるようになり、効果的に学習することができます。

過去問題のデータは社会福祉振興・試験センターのホームページで公開されていますが、解説を読んで理解したい人は、過去問題集を購入しましょう。

また、過去問題は過去3年前までを目安に取組みましょう。なぜなら、法律や制度が新しくなっており、過去問題の情報がすでに古いことがあるからです。

自分に合うテキストを使う

図表が多いもの、カラーで印刷されているもの、問題数が多いもの、医療的ケアの解説が手厚いものなど、テキストには多くの種類があります。自分に合っているテキストで勉強すると理解が進みやすくなります。どれが自分に合っているのか悩む場合は、薄いテキストを1冊えらんで、最後までやりきってみると、自分に合うテキストをみつける判断材料になります。

介護福祉士試験は十分に対策すれば難しくない

介護福祉士試験は十分に対策をとることで、合格することは可能になります。

合格者は毎年受験者の6~7割の数になりますが、その中に働きながら受験する人は少なくありません。

仕事や家事の隙間を見つけて、勉強時間を確保する事は大変ですが、問題の傾向を掴み、スキマ時間を使って、自分に合ったテキストで学習する、といった対策をとれば、合格することは可能です。

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