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認知症の徘徊を抑止する対策としては、徘徊の理由を聞いたり、介護者を拘束せずに自由な時間を楽しんでもらい徘徊への危険を回避したりする方法があります。
徘徊の特徴は主に認知症の種類によって特徴がわかれ、人それぞれ徘徊に対する目的が違い、介護者に対する声かけや接し方を工夫することで、徘徊を防ぐ効果が期待できるのです。
理由や背景を介護従事者が把握することによって徘徊を抑止し、予防対策をすることができます。

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認知症の徘徊対策で効果的な方法

認知症の徘徊対策には、正しい対応を身につけることが大切です。
介護者は必死に徘徊を止めようとしてしまいがちですが、かえって逆効果になることもあるため、 安全を確保した上で、なぜ徘徊が起こるのかを理解しましょう。 徘徊は転倒や脱水症状や熱中症、冬場では低体温症など、認知症高齢者本人の体調に影響を与えてしまうことや、場合によっては命を落としてしまうことがあり、家族以外に近隣住民や地域など多くの人を巻き込んでしまうことも多く、早期の対応が必要です。

介護者に徘徊する理由を尋ねてみる

徘徊する理由を尋ね、徘徊の原因や目的とする背景を探ります。
徘徊の背景には、実際に道に迷ってしまい自宅に帰ることが出来なくなっている場合や、記憶力の低下や物忘れにより、現状が理解できず困惑している場合があります。
また、視空間認知障害によっては、距離や位置が把握できず居場所がわからなくことや、特定のコースを毎日散歩するなど、同じ行動を繰り返す周徊をすることがあります。
徘徊の理由を確認することで、徘徊する抑止法が見いだせる場合があるため、その人の情報や材料をしっかりと把握することが重要です。

他の事に気をそらしてみる

お茶やおやつの声かけをしたり、好きな音楽をかけたりするなど、他のことに気をそらすことも重要です。
自宅にいるのに「家に帰る」といったり、会社を退職しているのにも関わらず出社しようとしたり、自分の状況がわからなくなっている場合があります。徘徊に対する意識をそらし、優しく対応することが求められます。

声かけで誘導する

声かけで誘導し、気を紛らわせる方法がおすすめです。
排泄や食事などの声掛けで場所を変えたり、一緒にお茶を飲んだりし、視覚情報をかえたりすることで徘徊に注視させず、別のことをやってもらう方法を講じます

趣味・仕事を提供する

見当識障害や、不安やストレスなど環境的要因から起こる徘徊には、趣味や簡単な仕事をしてもらって不安要素を取り除く方法が効果的です。
役割がなく居場所がないと感じたり、周囲の雰囲気に馴染めず居心地が悪くなったりして徘徊につながる場合があります。趣味活動や調理の手伝いなどを提供することで、 楽しみや役割を感じ徘徊が減少することがあるため、要介護者の基本情報から、どのようなものが興味を示すのかをリサーチするのが良い でしょう。

自由に歩いてもらう

徘徊には理由があり、行動を抑制することで徘徊がエスカレートする可能性があります。状況に応じて要介護者を制限せず、自由に歩いてもらうことも大切です。
理由も聞かず徘徊を制止すると、否定されていると感じ興奮してしまいます。要介護者は自由に歩けることで気持ちが落ち着く事もあります。ただし、疲弊状態でも歩き続けてしまうことで転倒やエスケープをしていしまう危険を伴う場合もあり、必ず付き添いが必要です。

適度な運動をする時間をもうける

夜中に徘徊行動がある場合、昼間リハビリやレクリエーション活動に参加し体を動かすなど、日中に適度な運動をすることで就寝後の安眠につながり、夜間徘徊を減少させることができます。また目的をもった活動を継続的に行うことで達成感が得られ、徘徊といった認知症の行動症状が緩和することもあります。

エスケープ対策をする

徘徊症状がみられる場合、エスケープが事故に発展してしまい、施設や家族が責任を問われることがあるので、事前に対策をすることが求められます。
忙しく人手も足りないことで対策に苦慮する反面で、安易な監視や施錠は身体拘束に該当する場合や人権や尊厳に反することがあります。

エスケープ対策

  • 鍵を取り換える
  • 玄関へセンサーを取り付ける
  • GPSを携帯させる
  • 迷子防止アラームをつける

他にもネットワークカメラのソフトウエアによる画像管理や出入り口で対象者を顔認識システムなどがあり、検知アラートやスマホのアプリで通知されるシステムもあります。徘徊は予期しない事が多く各種グッズだけではなく、防止対策のシステムを導入することで予防することができる場合があります。

GPSの利用

GPSの利用をすることで、万が一徘徊が起きたとしても場所をすぐに特定しやすいです。
GPSは携帯発信機を常備する必要があり、衣類に縫い付けたり、いつも持ち歩くかばんに入れたりします。最近では靴型や腕時計型などもあり、持ち歩くことを忘れたり持ち歩くことを拒否したりする人にも対応できます。

施錠する鍵を工夫する

施設を離れてしまうようなエスケープを防ぐために、ドアのカギが届かない場所に設置しておくなど、外に出られないような対策を講じておきます。
施錠タイプが変わる事で認知症の人は容易に鍵を開けることが出来なくなるため、鍵自体を取り換えることでエスケープの予防が図れる場合があります。他にも鍵をダイヤル式に変更することや、鍵穴とキーの組み合わせや携帯やスマートフォンで鍵を開けるデジタル式の鍵もあります。
ただし、自分の意思で開けることのできない居室に隔離することは身体拘束に該当したり、手順を経ていない身体拘束は虐待にあたったりする可能性もあるので注意する必要があります。

認知症の徘徊対策をしないことで生じる危険

認知症の徘徊対策をせずにいると、住民への迷惑や行方不明、さらには交通事故など生命の危機に遭うリスクを伴う可能性があります。
 行方不明になった認知症高齢者が事故や事件に巻き込まれてしまうことで損害賠償につながる場合があり、本人だけでなく家族が責任を負うこともあります 。また事故後の後遺症による治療や介護により更に費用や労力を費やすことになる場合もあるため、徘徊対策をする必要があります。

訴訟問題に発展する事故

在宅にいた認知症の人が、家を出て徘徊をし、列車事故に巻き込まれるという事故が発生しています。
在宅で認知症の人を介護することはとても大変ですが、徘徊によりさまざまな危険や問題が生じることを考慮しなければなりません。
参考認知症で徘徊事故訴訟、3月に判決 賠償責任、初判断へ:朝日新聞デジタル

夜間に徘徊する危険

▲夜間に徘徊する危険

▲夜間に徘徊する危険

夜間に認知症の要介護者が徘徊をすることで事故に巻き込まれてしまう可能性があります。
昼夜逆転している場合、介護者が就寝してしまっているうちに徘徊してしまうことがあり、事故に巻き込まれる危険が高い場合があります。
特に夜間は人目に付きにくく発見が遅れ、離れた場所で保護される場合があります。何も持たずに外に出てしまい、保護されても身元がわからない場合があるため、迷子になった場合に備えておくことが大切です。
徘徊対策グッズの中には、杖に貼られたQRシールを読み取ることで現在の状況や発見場所などを家族に伝えることができる製品があります。

▲おかえりQRサービスの特長

▲おかえりQRサービスの特長

参考平成電子の杖製品と「おかえりQR」がコラボ

施設のエスケープによる事故

福祉サービスを受けている要介護者も、安全とは言えません。
サービス利用中にエスケープをしてしまい事故を起こした場合、施設側はサービス利用時での管理責任を問われ、損害賠償を請求される事例があります。
参考認知症 徘徊し女性死亡 通所先施設に賠償命令 福岡地裁|毎日新聞

認知症の種類からわかる徘徊の原因

認知症には種類があり、症状によって効果が期待できる対策を講じれます。

認知症の種類

認知症の種類によって、徘徊する原因や起因性が絞られます。
認知症の種類は大きく3つに分類され、症状発症割合は次のようになります。

認知症の種類

  • アルツハイマー型認知症
  • 脳血管性認知症
  • レビー小体型認知症

アルツハイマー型

初期症状は物忘れかから気づきやすい症例です。
海馬のあたりを中心に脳全体が委縮し、緩やかに症状が進行します。記憶力や判断力が低下しやすい反面で身体面は比較的長期に保たれます。
参考アルツハイマー型認知症とは(1)|相談e-65.net」

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症です。
脳梗塞や脳出血後、身体的に手足の麻痺症状と併せ急激に発症し、再梗塞や再出血などにより症状が段階的に悪化する傾向があります。障害される能力がある反面で判断力や記憶力は比較的保たれており、感情の起伏が激しくなる、昼夜逆転などの症状があります。
参考血管性認知症とは(1) | 認知症のいろは | 相談e-65.net

レビー小体型認知症

幻聴が見えたり、眠っている間に怒鳴ったり奇声を上げることが特徴の症例です。
レビー小体という異常なタンパク質の塊が大脳の広範囲に現れることで、認知症上を発症します。身体面はパーキンソン症状のような小刻み歩行がみられることがあり、幻視や異常言動などのBPSDや抑うつ状態になることが多くみられます。はっきりとした脳委縮は見られず時間帯や日によって認知機能は変動があり、次第に認知機能は低下していきます。
参考レビー小体型認知症とは(1) | 認知症のいろは | 相談e-65.net

認知症介護者が徘徊する理由

認知症介護者が徘徊をするメカニズムや徘徊をする理由から、対策を講じられる場合があります。
徘徊の背景を知り、徘徊についての動機から抑止する方法や予防対策を知ることができます。
平成30年時点で、行方不明者は87,962人となっており、男性が56,379人と女性より男性の方が多い傾向があります。そのうち、認知症が原因で行方不明となっている人は16,927人となっています。
統計開始の24年以降、年々行方不明者は増加しており、認知症を有する人の行方不明者の割合は24年では9,607人であったのに対し、16,927人と増加しています。
参照平成30年における行方不明者の状況について

▲行方不明者数の推移

▲行方不明者数の推移

外出したい

徘徊をする理由の一つは外出をしたいという希望から行動に出る人がいます。
本人が習慣的に訪ねていた場所や馴染みの場所に出かけようとするなど、過去の記憶をたどるように目的を要している場合があり、周囲にあえて気付かれないよう出かけようとする傾向があります。

▲外出したい

▲外出したい

家に帰りたい

帰宅願望が強く、家に帰るために徘徊をしようとする人がいます。
「夕暮れ症候群」とも呼ばれており、女性であれば既に子育ても終わっているにもかかわらず「子供が帰ってくる時間だから」「夕飯の準備をしなければいけないので」などの帰宅願望を訴えることがあります。また、本人は空腹感により気持ちが落ち着かなくなることや 介護者も忙しい時間帯のため、本人とゆっくり向き合えないことにより、落ち着きをなくしている 場合があります。

居場所がない・居づらい

その場にいることがとても苦痛で、居場所がない、居づらいと感じる時に徘徊をしてしまいます。
居場所がないと思う背景に環境に不安やストレスを感じることに我慢できず、状況を理解した行動が出来ないことで徘徊をしている場合があります。特に馴染みのない環境や居心地の悪い環境では自分の居場所を求め徘徊につながることがあり、他者との馴染みの関係や居場所を作ることで落ちつきを取り戻す場合があります。

不安感・焦燥感

認知症が進行することで急な不安感や焦燥感に襲われ、その場から出て行こうとする症状があります。
物事を思い出せないことで、自分が何をしていたかわからず混乱してしまうため、 順を追って話を聞き、 要介護者を落ち着かせるようにしましょう。

認知症介護者の徘徊を防ぎ未然にリスクを解消する

徘徊によって生じるリスクは要介護者本人だけではなく、時に家族である保護者やサービスを提供している介護従事者にも影響が生じることがあります。
認知症高齢者の心理や認知症の種類によって徘徊の要因や対応は大きく異なる場合がありますが、その理由を考え対策を講じることで、危険を未然に防ぐことができ介護従事者だけではなく介護者も安心した生活を送ることができます。
徘徊という行動が問題行動として捉えられるのではなく、病状や今までの暮し方や環境などを正確に理解し、社会全体で見守り徘徊を未然に防止することが大切です。

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