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認知症のせいで不穏になってしまう利用者は多いですよね。理解できないことに怒ったり落ち込んだりしてしまい、利用者の精神状態は不安定になってしまいます。不穏になってしまう原因は人それぞれで、以前とった対処法が必ずしもうまくいくとは限りません。

利用者の性格や基本情報をしっかり把握しながら、色々な対処法を試してみることが大切です。今回は不穏になり他者に暴言を吐いてしまう利用者の対処法についてお伝えします。

 

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対応不可?誰にでも暴言を吐いてしまう

不安

介護付き有料老人ホームに入居してきたAさん(女性)は、認知症があり不穏になると誰にでも暴言を吐いてしまう人でした。入居時も家族と来苑しましたが、入居に納得してなかったようで「帰る!」「さわるな!」などと暴言が目立ちました。

私達介護士が対応しても機嫌が悪そうな顔つきだったので、「大丈夫かなぁ」と不安な気持になったのを覚えています。食堂や多目的ホールなど案内しても、他の利用者に暴言を吐いてしまうので利用者は委縮してしまい、他者とのコミュニケーションも難しい状態でした。

しかし一人居室で過ごしている時は、暴れたり大声を出したりすることもなく、静かにジッと座っているだけです。私はAさんのなんだか寂しそうな姿を見て、もしかしたら突然入居となってしまい孤独を感じているのではないかと考えたのです。

 

友人との再会!笑顔を取り戻したAさん

笑顔

私はすぐご家族に相談し、Aさんの昔からの友人はいないか尋ねてみました。入居する前に住んでいた自宅には30年間もいたので、家族の人も「何人か知っている」と話してくれました。私はできれば面会に来てもらえないか家族に相談すると、了解をもらうことができたのです。

数日後、家族と一緒にAさんの友人が2名面会に来ました。友人達もAさんが突然自宅からいなくなったことを心配し、会う日を楽しみにしていたようです。私がAさんのお部屋を案内すると、「Aちゃん!!」と友人達が声を掛けながらAさんの元に駆け寄りました。

私はもしかしたらAさんが暴言を吐いてしまうのではないかと慌てて後を追いましたが、Aさんは笑顔で「わざわざ悪いねぇ」と話されるのです。私はAさんの笑顔を始めて見たとき、「きっと寂しかったんだろうな」と強く感じたのです。不穏になる原因はわけもわからず施設に連れて来られ、友人や知り合いもいない孤独感からのものでした。

 

「知った顔」がいると、安心できる環境となる

輝く未来

友人が面会に来るようになってからは、職員とも会話をするようになり他の利用者への暴言もほとんどなくなりました。元々知った顔が遊びに来ることや、少しずつ私達職員のことも「知った顔」になっていき、安心できる環境になったのかもしれません。

不穏で暴言が見られると、「認知症があるから仕方ない」とつい諦めてしまうこともあるでしょう。ただ、しっかり相手の行動や状況を把握して対処すれば、Aさんのように安心した生活を取り戻せると感じた体験です。

 

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