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認知症の種類よって、それぞれの認知症の対応ポイントが違うのはもちろんご存知ですよね?認知症と一口にいっても様々な種類と症状があるのでそれぞれの個別の対応方法を知らないと、いたずらに患者さんの感情を逆なでするだけです。間違った対応方法をしてしまうといきなり怒りだして暴れだしたり、突然に不穏になって徘徊をしたりと職員や家族は対応に非常に困ることがあり、患者さんの不安がますます増大していまいます。認知症でも種類によって症状がまったく違うので押さえるポイントさえ知っておけば、患者さんへ冷静に対処できますし、精神的な安定を患者さんにもたらすことができます。そこで今回は介護職や認知症の家族ならぜひ知っておきたい認知症の種類とそれぞれの対応ポイントについてお伝えします。

本記事は音声でも楽しめます。

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認知症の種類の割合

認知症はいくつかの種類に分けられますが、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症で80%を占めます。その他の種類の認知症が残り20%ということです。60%の人がアルツハイマー型認知症なので認知症を疑ったらアルツハイマーの症状がないかどうか、まずは観察してみることが大切です。

それぞれの認知症の症状と対応ポイント

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型は男性よりも女性の割合が多く、脳にアミロイドβというたんぱく質が蓄積して正常な神経細胞が壊れてしまい脳の萎縮で起こることが原因とされています。

症状

  • 何度も同じことを言ったり十分にある牛乳やパン等の食品をまた買ってきたりてしまう(記憶障害・もの忘れ)
  • 手順が分からなくなってしまって調理や掃除などをすることが困難になる(判断能力の低下)
  • 自宅にいるのに今どこにいるのか分からなくなる(見当識障害)
  • 物を盗られていないのに盗られたと騒ぎ出す(物盗られ妄想)
  • 幻覚が見えたり暴力的になったり目的もなく出歩いてしまう(幻覚・暴力・徘徊)

対応ポイント

アルツハイマー型の認知症の方は自分では「認知症」という認識が薄いので、出来ないことや間違ったことを指摘されると不快感が増幅し不穏な感情になってしまいます。ですので、同じことを話しかけられたり、物盗られ妄想で疑いをかけられたりしても受け流すように対処します。「さっき言ったでしょう!」「何も盗られていませんよ!」とこちらが感情的になってしまってはいけません。話の話題を変えて今話していることから意識をそらすことが大切です。本人の興味のあること(趣味等)を話してもいいですね。それから、ついさっき食事をしたのに「ご飯を食べてない!」などと感情が高ぶっている場合は「今すぐ作りますね」といって安心させる言葉をかけることで落ち着きます。認知症の人への対応は否定ではなく肯定してあげることが重要です。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血など、脳の血管障害によって血管が詰まったり出血したりして起こる認知症です。脳がダメージを受けている部分に個人差があるので症状がそれぞれ異なります。

症状

  • 意欲や自発性の低下が見られ、ボーっとしていたかと思うと意識がはっきりすることもあり、一日の中でも状態が変化します。着替えを朝は出来たのに夜になると出来なくなってしまうという波があります(まだら認知症)
  • 運動麻痺・感覚麻痺・歩行障害・言語障害・嚥下障害・排尿障害・夜間せん妄・不眠・不穏の症状が見られます。(脳血管性障害)
  • 感情のコントロールが出来なくなるため、何かのきっかけですぐに怒ったり泣いたりします(感情失禁)

対応ポイント

一日の中でも感情や行動に波がありますので、その時の状態を見極めて対応するのがコツです。判断力は比較的保たれるので着替えが出来ない時には手伝って、出来る時には見守る等の自尊心のケアをすることが重要です。本人のプライドを大切にしてあげることで精神の安定を図りましょう。また、感情的に爆発しやすいので、感情を傷つけないように心の変化をよく観察することで対応の仕方を工夫します。

若年性認知症

65歳未満の比較的若い年代の人が発症する認知症を「若年性認知症」と呼びます。若年性認知症は、脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症で6割を占めます。

症状

  • 仕事でちょっとしたミスを繰り返すようになったり、大事なアポを忘れてしまったり仕事を円滑にできなくなる(記憶障害・判断力の低下)
  • 今日の日付や自分のいる場所が分からなくなる(見当識障害)
  • 妄想、幻覚、徘徊、不安、焦燥、抑うつ、不潔行為

対応ポイント

若年性認知症の場合はまだ仕事をしている働きざかりの人に発症することが多いので告知には注意が必要です。告知によって精神的ダメージを受けて抑うつ傾向になる可能性が高いので、本人の自尊心に留意しながら話しましょう。また、つい本人の「できなくなったこと」に目を向けていまい気分が落ち込みがちになりますが、「できること」にフォーカスすることが精神を安定させる上で大切です。本人の意見を否定しないように受け止めて下さい。

レビー小体型認知症

男性に発症が多く、脳の中のレビー小体という神経細胞に出来る特殊なたんぱく質の増加が原因の認知症です。

症状

  • 「蛇や昆虫が部屋を這い回っている!」「全然知らない人がそこにいるよ!」など実在しないものが見えてしまう(幻視)
  • とっくに退職しているのに「今はまだ働いている!」と言ったり、「家族が知らない人と入れ替わっている!」と訴えたりします(誤認妄想)
  • 手が震えたり、動きが鈍くなったり、筋肉がこわばったりと身体のバランスを取る事が難しくなります(パーキンソン病に似ている症状)

対応ポイント

幻視の訴えに対しては否定をするとかえって本人が興奮してしまうので、本人の話を受容しつつ別の話題に転換しましょう。「虫はいなくなったよ!」などの安心させる言葉かけや本人の興味のある話をして幻視から意識を離すことが大切です。また、動作が緩慢な時には無理をせずに本人のできることは尊重しつつ、できないところはプライドを傷つけないようにサポートをするのがコツ。

認知症の対応ポイントのまとめ

 本人を否定しない

認知症を発症すると同じことを言ったり、人格がまったく変わったりしてしまって周囲の人はついついそれを否定して正そうとしてしまいます。「さっきご飯食べたでしょ!」「同じものをもう買って来ないでください!」などと本人に怒鳴ったりすることがありますがこれはまったくの逆効果です。本人は間違った行動をしているとは考えていないので、それを注意しても絶対に改善しません。逆に言えば言うほど感情が高ぶって不安や怒りを増幅するだけで症状が悪化します。ですので認知症の人への声掛けの基本は「肯定」です。「そうなの」「そうだね」などと肯定の言葉をかけることで本人の精神は安定します。問題のある行動や発言をしているときは会話で本人の意識を別のことへ向けるような話題に変えましょう。認知症の対応は間違い探しではないので否定の言葉は慎しみましょうね。

病院を必ず受診する

認知症の薬が進化しています。少しでも認知症かな?と気になるようであれば早期受診をおすすめします。早期であればあるほど認知症の進行を抑えることができますから安心ですよね。認知症は神経内科、精神科、心療内科、脳外科などで診てくれますし、最近では「もの忘れ外来」という認知症専門の外来を標榜しているところでもOKです。また、どこで診てもらったらいいのか迷う時は、かかりつけの内科で相談するのもよい方法ですね。それから、市区町村の役所や地域包括支援センターでも相談を受け付けていますので病院を教えてくれます。繰り返しますが何よりも早期受診が一番ですので一日でも早く受診をしましょう。

家族で全て抱え込まない

認知症の家族を持つ人にとってはいくら「本人を肯定しましょう」といってもやはり限度があります。第三者なら我慢できることも家族同士ですと我慢できないことが多々あります。やはり血の繋がった家族同士ですので感情を抑えようとしても感情のぶつかり合いは必ず起こります。そんな時は無理をしないで医者に相談しましょう。薬の調整や入院などの対応をしてくれます。また介護保険制度を利用できるのであれば、ケアマネージャーに相談しましょう。デイサービスやヘルパーやショートステイなどの家族の介護負担を軽減する提案を受けることができます。家族だけで抱え込むと最悪の場合は介護自殺などの悲しい結末を迎える可能性があります。日本では介護と医療の制度が整っていますので積極的に利用することをおすすめします。遠慮せずに利用することが介護負担を減らすコツです。

まとめ

認知症で困ったらこうすればOKです!医療制度と介護保険制度を積極的に利用!

  • 少しでも認知症?と思ったらすぐに病院を受診する
  • 認知症の本人は病気のせいで行動しているのでそれを否定しない
  • 制度を進んで利用して家族だけで何とかしようと思わない

認知症の介護は非常にストレスが大きいです。これは介護をしたことがない人にとってはわからないでしょうが、想像以上に重くつらいものなんですね。介護殺人が起こってしまう気持ちがよく分かります。家族だけで介護を抱え込む時代はもう終わりました。介護に悩んで心と身体がボロボロになる前に病院と介護制度へ助けを求めて下さいね。早期発見で早期治療を開始することができれば認知症の進行を遅らせることが出来る可能性があります。大切な家族としあわせな生活を継続するためにも積極的に治療を受けて下さいね。介護で苦しむのはやめにしましょう!般若の表情で罵り合うのではなくいつも笑顔で会話できる家族でいたいですよね。

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