認知症の人を介護する中で、介護にとても疲れたと思う瞬間はたくさんありますよね。何度も何度も同じことを繰り返し言われることや、自分の言うことを聞いてくれないで、ストレスが蓄積していき、心の中で殺意まで芽生える程になっていませんでしょうか。
まさか自分がこんなことまで思うなんて。とさらにショックを受けて悩んでしまうのはあなただけではありません。そんな時、私の経験も踏まえて、どのように気持ちを解消し介護疲れの緩和方法を紹介します。
目次
「一生懸命介護してるのに」殺意が芽生える時
あなたは一生懸命に介護をしているのにも関わらず、介護する相手は言うことを聞いてくれないと思うことはありませんか?心を込めて介護している気持ちが相手に伝わらない時に、どのように相手に気持ちを伝えていたか考えてみてください。
殺意の芽生える瞬間
一生懸命に介護をしているのに、まったく無な態度をとらることが何度も繰り返されると、つい怒ってしまいがちです。心のなかで何度も殺意が芽生え、相手を何度心の中で殺してしまった事かわかりません。
それが毎日のように積み重ねっていくと、もう疲れたと感じ声をかけられるだけでも腹立たしくなってしまいがちです。そしてついには、「腹立たしい」と思うことに腹立たしく情けなくも思うようになり、介護に疲れたと気持ちがわいてきます。
頻繁な呼び出し、ストレスが重くのしかかる
私が経験した実際にあった話を紹介します。最初は毎日その認知症の人と顔を合わすだけでも嫌な気分になり、職場に行くことがとっても嫌になり、できるだけAさんと離れるように介護していました。
見下す態度とセクハラばかりの利用者
利用者Aさん男性は、片麻痺だが車椅子でなんとか自走可能です。お茶を多量に飲むので、排泄交換を頻回にしないとパットが間に合わないのですが、なかなか日中に交換をさせてくれません。けれども夜間は出ていないのにも関わらず、頻回にコールをしてパットの交換を求められ用事のないことも多々あります。
介護方法に自分のこだわりがあるためか、介護士に自分の介護方法を押し付けます。さらに、お金を払っているのだから、介護士は何でも言うことを聞くと思われているせいか、偉そうな言葉遣いをされ、女性職員の体を触ることもしょっちゅうあります。
用事もないナースコールに疲れてしまった
何度も何度もナースコールや特に用事のないナースコールラッシュ、他の利用者様の相手中にも途中でいかなければならない。ナースコールや呼ばれるのを無視すればいいのだけれど、もしも何か本当に重大なことが起きているかもしれない。そう思うと何度かに一回は伺うが、結局何も用事なし。
普段からの偉そうな態度や、セクハラそものストレスの蓄積もありもうどうにもできない、疲れたと感じる日々。唯一の対抗がAさんの唯一の弱点、毎週面会にくる奥さんに頼り、厳しくしかってもらうしかない日々でした。
利用者の心の寂しさ。内面を見ていなかった
時がたち認知症のAさんも次第に衰弱し、診断結果がガンと診断され、ターミナル期を迎えました。少しずつ弱っていく姿を介護士はみていました。今までの認知症だからだと決めつけていた行動、言動を考えてみるとあることにたどりつきました。
実は一人ではさみしくて、子供みたいに自分に注意をひきつける為、相手をしてほしいから反抗的な態度をとっていたのでは。と感じられる場面が多くありました。なぜ介護士が疲れるようなことを、何度も繰り返していたのか普段のイライラから認知症のAさんとしっかり向き合っていませんでした。
次第に「ありがとう」と言われるようになった
Aさん弱っているためか、何か介護をすると「ありがとう」と口にするようになりました。ありがとうと言われると、疲れた気持ちも和らぎます。時間の許す時には、介護職員から認知症のAさんの相手をするようになりました。そうすると、問題行動も次第に減っていき、ますます感謝の言葉が増えていきます。
最後は奥さんが部屋に寝泊りするようになり、「いままでこんなに大変な苦労をかけていたんですね。ありがとうございます」と奥さんからもお礼の言葉をたくさんもらいました。
どんな相手でも問題行動に向き合う
Aさんが亡くなり、これまでの行動をもう一度振り返ってみました。認知症のAさんの介護に疲れたと思っていたけれど、原因はしっかり向き合っていなかったために、Aさんの問題行動がひどくなっていた事に気づかされました。手のかかる子ほどかわいいと言いますが、後になってまだできることがあったと後悔ばかりです。
すべて認知症の人が原因ではなく、介護士の気持ちの持ち方のほうができていませんでした。後悔する前に気づくように、あなたもどんなに憎い相手でも少しだけ向き合うことをしてほしいです。同じ後悔をしないことを願っています。