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介護の現場で働いているとよく、「不穏」と言う言葉を耳にしますよね。特に認知症を患っている人に多く見られ、理解出来なことの不安や妄想等がどんどん膨らんでいってしまう事により、不穏に陥ってしまうのです。一旦不穏になってしまうと、なかなか落ち着いてもらうのには時間が掛かってしまうので、なるべく不穏にならないよう対処しなければなりません。今回は認知症によって引き起る不穏を、服薬で落ち着きを取り戻す事に成功した対処法をお伝えします。

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強い不穏!言葉だけでは安心できない?

Aさん(女性)は夫婦で暮らしていましたが2年前に夫が他界し、自宅で一人生活をしていました。しかし、だんだんと物忘れや被害妄想といった認知症の症状が出始め、最終的には自宅での生活は困難となり、介護付き有料老人ホームの入居が決まったのです。Aさんの認知症の特徴は、とても強い不穏が見られる事でした。「自分がどうしてここにいるのかわからない」「息子がいない」「誰かが私の財布を盗んだ」等といった不安が始まると、昼夜問わず「助けてー!」と叫ぶのです。

入居当時は不穏になる度ナースコールが鳴るので、鳴る度に訪室しては声を掛けて話をしていました。話をしっかり聞く対処法で、ある程度落ち着きを取り戻してくれていたのですが、2,3日は話を聞いても昼夜問わず大声で叫び、不穏状態の時間が長くなっていたのです。私が対応をすると不穏が落ち着く事が多かった為、勤務の時はなるべく対応していたのですが今回は全く持って話が通じず、不穏は大きくなる一方でした。

その後も何度か声掛けによる対処法でトライしてみたのですが、全く持って効果なし。Aさんは「誰か~!!」「助けてー!」と叫び続けているのです。私は叫び続けている声が少し枯れている事や、背中や胸元が発汗している状態に気づきました。「このままじゃAさんの体が持たない」と心配になり、他の職員を集めてAさんの今の状況と、対処法について話をしました。

睡眠不足が原因だった!?不穏を増長させるイライラ

私は対処法がうまくとれず、大声で叫びながらほとんど眠る事もしないAさんがこのままでは衰弱してしまうのではないかと話をしました。食事や水分量も低下していて脱水の心配も見られる中、最終的に出した答えは、「まずはしっかり休んでもらう事を優先する」事でした。

施設としての対処法が決まり、眠剤を服用してもらう事を決めました。私達は睡眠不足でイライラや不安がいつもより強くなり、さらには睡眠不足からくる体力低下が食事を摂れない原因ではないかと判断したのです。看護職員にも状況を伝え、掛かりつけ医に事情を説明した所眠剤が処方となりました。疲れも相当だったのでしょう、服用から約1時間後にようやくAさんは休む事が出来たのです。

生活リズムがカギになる!不穏解消のススメ

眠剤の服用を始めてから2日後には、不穏になっても職員が話をする対処法で落ち着くまでに安定し、食事も摂れるようになっていました。むしろ夜に眠剤を服用するようになり、生活リズムが安定すると不穏になってしまう時間は今までの1/3程度まで減少していたのです!

介護職員として働いていた私は眠剤を使用する事は「無理やり寝てもらう」といった印象が強く、はっきり言って嫌でした。しかし眠剤も正しく使用すれば、認知症の人でも生活リズムを整えて不穏の減少に繋がる対処法となるのだと勉強させてもらえた貴重な体験でした。

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