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不穏が強い利用者の介護は難しいですよね。暴れてしまったり突然施設から出ていこうとしたりする利用者の対応に、介護職員は頭を抱えてしまいます。また、不穏には暴言や暴力、帰宅願望の他に物盗られ妄想などで混乱してしまうこともあります。一度混乱してしまうとナースコールを何度も押してしまう行動に出る人や、夜も眠らず一つのことに執着してしまう人もいるのです。

例えば薬を服用したくて仕方ない利用者などは、薬を管理されている状況に不満を持って何度も職員に訴え、不穏になってしまうこともあります。健康管理のために薬は職員側で管理していることが多いのですが、良い対処法はあるのでしょうか。今回は薬に執着してしまい不穏になる利用者への対処法をお伝えします。

 

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飲んだっけ?認知症が始まった時の対応方法

忘れる

Bさん(女性)は、サービス付き高齢者向け住宅に入居していました。入居当時はほとんど自立していたので、介助や管理をすることはありませんでした。しかし入居から1年を過ぎた頃から、食事を食べたことを忘れてしまったり、何度も同じ話をしたりと認知症の症状が見られるようになったのです。

最終的に管理が必要と判断したのは、薬を飲んだことを忘れてしまい必要以上に薬を飲もうとしていた時です。このままではBさんの体調が悪くなる可能性があるため、薬の管理だけは職員対応にしようと話し合いました。Bさん本人にも話をして了承を頂いたのですが、薬を管理をするようになってからコールラッシュが始まってしまったのです。

 

不穏が悪化!偽薬という名の薬の効果は?

秘密

「薬がない」「今服用したい」「なんで薬を取り上げるの!」など、Bさんが不穏になっていくのです。元々穏やかなBさんの表情が険しくなっていき、会話もまともにしなくなってしまいました。夜も薬のことばかり気にしていて、ほとんど眠らず薬の訴えばかりする日も増えたのです。私達介護職員は今のまま管理をしていると、Bさんの精神状態はおかしくなってしまうと心配になり、対応方法の変更について話し合いを行いました。

ただ、昔のようにBさんに薬の管理を任せるのはとても難しい状態だったので、本人管理は不可となりました。職員が管理しながら落ち着いてもらうための方法について考えたのですが、「偽薬」を利用して対応してみてはどうか?と言う意見が出たのです。偽薬とは薬の成分が入っていない乳糖などを服用して、「薬を飲んだ」と安心してもらうためのものです。私達は「とりあえず試してみよう」と結論を出し、看護師や掛かりつけ医に相談することになりました。

 

利用者の落ち着いて過ごせる環境を考える

リラックス

定期薬は職員管理で服用時にお渡しし、Bさんから「薬がない」等の訴えがあった時は都度偽薬をお渡しするようになりました。偽薬をお渡しするようになると少しずつ穏やかなBさんに戻っていき、1週間程度で落ち着きを完全に取り戻していたのです。偽薬の服用も確認をしていたのですが、1日2回くらいの服用程度でした。

飲みたいときに自分の判断で薬の服用ができる環境がBさんにとって落ち着いて過ごせる環境だったのです。認知症があれば職員で管理をしなければならないことは増えてしまいます。しかし本人の意思を尊重し、相手の気持ちに立って対応しなければ認知症の悪化に繋がってしまうことを学んだ体験です。

 

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