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認知症の周辺症状の一つである食事拒否。

  • 食べない理由は何なのか原因がわからない
  • 食べて元気になって欲しいのになかなか食べてもらえない
  • 無理に食べさせようとすると怒ったり吐き出したりしてしまう

施設で認知症の人を介護していると、誰もが一度は悩む問題ではないでしょうか。食事を拒否し続けると身体に必要な栄養や水分が補給できないため、介護にも焦りが出てきてしまいますよね。実は認知症の症状や身体の状態、その人をとりまく環境など、食事を拒否する理由は様々あるのです。身体症状やその人を取り巻く環境を確認することで食事を拒否する原因を見つけ、対策を行うことができます。

そこで今回は、認知症の人が食事を拒否する原因と対策についてお伝えします。

 

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認知症の中核症状が原因の場合

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食べ物を食べ物だと理解できない

食べ物自体を食べ物だと理解できない場合があります。食事を出しても箸でつっつくだけで口に入れようとしなかったり、食べ物で遊んだりする事があります。そのような時にはまず「美味しそうですね」「今日は○○さんの好きな魚ですよ」など食事だと理解してもらえるような声かけや介助を行いましょう。また、食事を食べ物だと理解できるまで、最初の数口を口の中に運ぶ介助をおこなうのも効果的です。その際その人の好きなものを最初に食べてもらうのも良いでしょう。食べ物だと理解できたら他の食事も食べ始めるでしょう。

「失行」により食べ方がわからなくなる

重度の認知症の人に見られる症状の一つです。麻痺やケガなどないにもかかわらず、食事をする為の手の動かし方がわからない、口の開け方がわからない、咀嚼の仕方がわからない、などといった「自分の身体の動かし方がわからなくなる」といった症状がおこります。無理に食べさせようとすると更に身体の動かし方がわからなくなります。介助者が目の前で一緒に食べてみせたり、口を開けるタイミングで介助者も一緒に口を開けてみせたりするなど、動作を見せることで食事を促すことが出来ます。

集中力の低下により食事に集中できない

食事をする環境はうるさくないですか?テレビや音楽がうるさく鳴り響いていないですか?目の前をスタッフが行ったり来たりして落ち着きなく動いてはいませんか?認知症の人の場合、集中力が低下しているため、周りに気を取られて食事に集中することが難しくなることがあります。食事中きょろきょろして食事に集中できない場合、静かな落ち着いた環境で食事が行えるよう、席の配置やテレビの音量などもう一度見直してみてください。

うつ症状が原因で食欲がない

認知症の人にうつが見られるケースがあります。食事以外でも気分が落ち込んでいたり、不安を訴えたりする事はないでしょうか?そのような時はうつ症状も疑ってみてください。無理に食事をすすめたり怒ったりせずに、ゆっくりと話を聞き寄り添ってあげましょう。また、気分転換が図れるように散歩に行ったり音楽を聴いたりするのも良いでしょう。

 

身体に原因がある場合

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認知症の場合、体に何か不調があっても上手く訴えることが出来ずにいることが多くあります。食事拒否があった場合身体に原因がないか健康状態のチェックをしてみてください

1.口腔内に原因がある場合

口腔内に口内炎などはできていませんか?

入れ歯のサイズはあっていますか?

ぐらついた歯が口腔内を傷つけてはいませんか?

口腔内のトラブルは食事拒否に直結しやすいです。口腔内にトラブルがあった場合医師や看護師、歯科医師、歯科衛生士等に報告し、薬や治療、入れ歯のチェックを相談してみましょう。そして口内炎があった場合は酸っぱいものは控えた痛みにしみない食事にしたり、食べやすい形の食事にしたりして様子をみましょう。

また、舌に舌苔がたくさん付着していないですか?舌苔の付着は味覚を低下させる原因にもなります。口腔を確認し舌苔が見られた場合は口腔ケアをこまめに行うようにしましょう。

2.口腔以外に原因がある場合

熱や風邪症状はありませんか?

便秘が続いていませんか?

体調不良の時には私達でも食欲がなくなるものですよね。普段はよく食べるのに、急に食事拒否がみられるようになった人など、上記の事を確認してみてください。そして異常がある場合はすぐに医師や看護師に報告しましょう。

 

食事の際の環境や姿勢が原因の場合

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椅子やテーブルはその人にあった高さですか?例えばテーブルが高すぎてお皿の中が確認できない場合、認知症の人はお皿の中の食べ物が見えずに食事ということを理解できない場合があります。その人にあったテーブルや椅子が使われているか確認をしてみてください。

また食事をする姿勢は適切ですか?左右に傾いたり、前に倒れていたり、食べにくい姿勢でいませんか?不適切な姿勢で長時間座るとすぐに疲れてきたり、痛みが生じてきたりして食事に集中できなくなってしまいます。必要であればポジショニング等も行いながら楽な姿勢で食事ができるよう姿勢の確認を行ってみてください。

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食欲低下が原因の場合

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認知症の人は意欲の低下などにより、部屋に引きこもったり、一日中寝て過ごしたりすることがあります。その為食欲がなく食事を拒否することがあります。その人の一日の過ごし方はどうでしょうか?レクリエーションへの参加を促したり、運動や体操を一緒に行ったり、その人の好きな活動を行い、日中の活動量を増やしてみましょう。日中活動をすることで食欲も増え食事拒否も少なくなるでしょう

 

うつ症状が原因で食欲がない

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認知症の人にうつが見られるケースがあります。

食事以外でも気分が落ち込んでいたり、不安を訴えたりする事はないでしょうか?

そのような時はうつ症状も疑ってみてください。無理に食事をすすめたり怒ったりせずに、ゆっくりと話を聞き寄り添ってあげましょう。また、気分転換が図れるように散歩に行ったり音楽を聴いたりするのも良いでしょう。

 

さて、今回は認知症の人の食事拒否についてお伝えしましたがいかがでしょう。一言に食事拒否といっても、症状や環境など食事を拒否する理由は一人ひとり違います。認知症ケアにおいてその人の立場になってケアを考えることはとても大事なことですが、それは食事拒否がみられた場合も同じです。なぜ食事を拒否するのか、その人の立場になって様々な視点から考えていくと、その原因やケアの方法が少しずつ見つかってくるでしょう。認知症の人の症状、好きな食べ物や嫌いな食べ物、食事の姿勢や周りの環境などいつもと違うところはないか、普段からその人を注意して観察しケアを行ってみてください。あなたの「認知症の人に食事を食べて元気になって欲しい」その思いがあれば、きっと原因がみつかるはずです。

 

まとめ

食事拒否の原因をみつけ食事を美味しく食べてもらうために

  • 食事を拒否する原因は症状や環境など様々である
  • 食べ物を理解できないときは、声かけを行い好きな物を口に入れて食事だということを理解してもらう
  • 落ち着いて食事ができるように環境を整える
  • 気分の落ち込みなどうつ症状はないか確認し寄り添ったケアを行う
  • 急に拒否するようになった場合は口腔内や身体に異変はないか確認をする
  • 食事中のテーブルや椅子はその人にあったものを使っているか、姿勢は適切か確認し調整をする

自分の思いを伝えることが難しい認知症。そのため食事拒否の原因を見つけることはとても難しいことですよね。しかしあきらめずに、上記の事を参考に様々な視点から原因を探って対策を見つけてみてください。

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