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被害妄想がある人の対処はとても難しいですよね。認知症の人によく見られる行動はいくつかあります。その中でも、被害妄想があると利用者との信頼関係を築いていくのが難しいのです。ちょっとした内容で「さっき私の財布をずっと見ていた!」「お金が足りない!さっきのヘルパーに盗まれた!」等と騒がれてしまう事があります。

親や祖父母の認知症について理解している家族なら大きな問題にならないのですが、家族が利用者の話を鵜呑みにしてしまうケースは最悪です。「母がヘルパーにお金を盗まれたと話しているのですがどうなっているんですか!」なんて電話が会社に入った日には、会社の信用問題にもなってしまうかもしれません。今回は有料老人ホームに入居している利用者さんの認知症について、被害妄想が強い人の対処の仕方についてお伝えしていきます。

盗まれた!被害妄想に耐えられない家族が施設を選ぶ

被害妄想がひどくなった状態で施設入居に来られた女性の話です。旦那さんを亡くされてから一人で自宅に住んでいたのですが、物を盗られ妄想が強くなっていました。家族は自宅で一人の生活は難しいと判断したのですが、本人は拒否を続けていたので、何とか連れてきた状況でした。

貴重品や高価な物は紛失しては困ると家族が管理する事になっていたので、最低限の荷物だけを持ち入居となりました。認知症がある人は、自分が認知症であると理解できませんし、「自分は大丈夫」と頑なになってしまう傾向があります。しかし家族は負担が大きくなればなるほど精神的に参ってしまうので、どうにか入居してほしいと、追い込まれた状態で相談に来る人も多いのです。

そんなばかな!親身になれば泥棒扱い

入居初日から物がなくなった、無理やり持って行かれたなどの被害妄想は始まってしまいました。もちろん荷物は入居するにあたって最低限の物しか持ってきていませんので、財布や通帳はご家族が管理しています。訴えがある度に担当の介護職員から事情を説明したり、居室内に「貴重品はご家族がしっかり管理されているので安心して下さい。」と張り紙をしたりして対処していました。

他にも担当職員は信頼関係を築く為、

  • 毎日挨拶をする
  • 居室に行ってたわいもない話をする
  • 困っている事がないか相談に乗る
  • 他の利用者もいるので説明は居室で行う

等と対応していました。

しかし被害妄想はエスカレートし、なんと担当していた介護職員の事を「あいつが私の通帳を盗んだ!!」と周りの入居者や職員に対して騒ぐようになってしまいました。他の職員は認知症で被害妄想がある事を理解しているので問題ありません。ただ、他の入居者は鵜呑みにしてしまう人もいるので盗んだと言われている職員に向かって「あんた30万も勝手に部屋から持って行ったんだって?」と、お金を返すように促す利用者も出てきたのです。施設長に「金を盗むような職員は辞めさせるべきだ」と訴える入居者もいて、盗んだと言われた介護職員は精神的に追い込まれてしまいました。

盗んだと言われてしまった職員は可哀そうですよね。一日でも早く慣れてもらうために、一生懸命に接して、少しずつ信頼関係を築いていたつもりだったのですが、最終的には泥棒扱いされてしまったのです。冒頭でもお伝えしたように、被害妄想がある認知症の人との信頼関係を築いていくのは非常に難しいのです。

職員だけじゃない!家族の協力も得て行う3つの対応方法

被害妄想にどのような対処方法をとればよいのでしょうか?私の経験から改めて対応方法をまとめてみました。

特定の職員で対応しない

利用者に対して、担当の職員をつけるのは悪いことではありませんし、多くの入居施設では担当制で割り振りをしています。しかし被害妄想が強い人には返って不信感を募らせることもあるのです。「お金がなくなった時にばかり来る」「家族が管理していると嘘をついている」等と悪いように捉えられてしまう事は普通にあります。できれば数人の職員で関わりながら対処した方が、盗んだ対象者を出さない環境になりやすいでしょう。

入居して間もない頃は、なるべく家族に面会へ来てもらう

家族の人も仕事や子育て等、忙しいとは思うのですが入居間もない時期はなるべく面会に来てもらうようにお願いしてみましょう。認知症患っている入居者の気持ちになれば、全く知らない人ばかりと急に過ごすようになり、色々説得してきたり自分の部屋に来てあれこれ話してきたりするわけです。さらにはお金が無くなっているのですから、不安は募っていくばかりでしょう。

不安をいくら取り除こうと介護職員が頑張っても難しい状況になる一方かもしれません。なるべく家族に面会に来てもらい、来てもらった時に介護職員も同席するようにしましょう。出来れば家族から介護職員が悪い人じゃないような説明をしてもらえるとより助かりますね。

必要最低限でなく、自宅のような環境が大事

なるべく被害妄想が出ないようにする為には、自宅のような環境を作る事が大切です。住む場所が変わってもずっと使っていた自分の物があることで、「今まで通りの生活」を感じられ精神的にも安心する事が出来るのです。

認知症の人は場所や物が変わってしまうと理解できずに不安になってしまう事が多いので、必要最低限の物でなく、なるべく自宅のような雰囲気を作ってあげましょう。昔から使っていた椅子やタンス、棚なんかを持ち込んだり、思い出のアルバムや趣味で使用していたグッズなんか持ち込んだりするといいでしょう。

被害妄想が強い人の対応は難しい事を理解しておく

今回は被害妄想がある認知症の人の対処法等をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。被害妄想が強い人は、どうしても悪い方向に物事をとらえてしまう事が多いで、理解してもらう為には相当な時間が必要となります。一つ対応を間違えれば「悪い奴」と認識されかねないので、注意して対応しなければなりません。

被害妄想が強い人への対処方法としては、

  • なるべく特定の職員で対応しない
  • 家族にも協力してもらう
  • 自宅に似た環境づくり

上記3つが対処する為に必要な内容と言えるでしょう。

さらには自分が認知症だったらどう思うかを考えるのも大事です。何とか落ち着いてもらう為に行った対処法で、もしも自分がされたらどう感じるでしょうか。もしかしたらとてもつらい思いをさせてしまっているかもしれません。被害妄想がある人の対応はとても難しく、一筋縄ではいかない事が多くあります。対処方法に頭を抱える介護職員の人は、是非参考にしてみて下さい。

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