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認知症の利用者さんと関わる中で、どう対応すればいいか悩むことがありますよね。認知症はそれ自体は病気ではなくあくまでも「症状」です。頭痛や神経痛などと同じで何かしらの原因疾患によって認知症状が現れるのですが、一口に認知症と言ってもいろんな種類や特徴があります。その特徴を知っておくことでその人に合った対応ができるかもしれません。利用者と介護者がwin-winの関係になれるよう4択クイズで知識の確認をしていきましょう。15問中いくつ分かるでしょうか?
答えが1つとは限りませんよ〜。

1、認知症にはいろいろな種類があるけど全部覚えるのは大変。その中でも1番割合が多い認知症は?

①アルツハイマー型認知症
②レビー小体型認知症
③前頭側頭型認知症
④脳血管性認知症

答、①

アルツハイマー型認知症(全体の60%)、脳血管性認知症(全体の20%)、レビー小体型認知症(全体の10%)、前頭側頭型認知症(全体の数%)の、この4つで認知症全体の90%以上を占めていて、半数以上がアルツハイマー型認知症と言われています。この他にもいろんな原因で認知症状が現れることがありますが、介護をする上で最低限知っておきたい4つです。(文献によってはレビー小体型認知症と脳血管性認知症の順番が逆の場合があります)

2、若年性アルツハイマー型認知症と診断される上限は何歳未満?

①40歳
②45歳
③55歳
④65歳

答、④

65歳未満で発症すると若年性アルツハイマー型認知症と診断されます。女性に多く40代からの発症も少なくありません。若くして発症すると子育てや仕事ができなくなり、社会生活への影響が大きいです。最近はアルツハイマー病への理解が進んできていて、周りがうまくサポートしながら仕事を続けられるように取り組んでいる会社も増えてきています。

3、次のうち治すことができる認知症は?

①レビー小体型認知症
②前頭側頭型認知症
③正常圧水頭症
④進行性核上性麻痺

答、③

正常圧水頭症は頭部外傷や髄膜炎を起こした後に脳や脊髄の周りを流れている髄液が増えすぎて、脳を圧迫することで認知症状が現れます。余分な髄液を腹腔などに流すシャント手術を行うことにより症状が無くなります。この他にも慢性硬膜下血腫や甲状腺機能低下症なども認知症状が現れますが、原因となる疾患を治療することで症状を改善できます。「認知症は治らないもの」と諦めずに、きちんと原因を調べてもらうことが大切ですね。④は進行性なので今のところ治すことはできません。

4、認知症の周辺症状はどれ?

①記憶障害
②見当識障害
③幻覚
④不安・抑うつ

答、③④

①②は中核症状です。
周辺症状はBPSD(行動・心理症状)とも呼ばれ、本人の性格や環境などいろいろな要素が影響するので個人差があります。認知症の種類によっては特徴的な周辺症状が現れるので、診断のヒントになります。周辺症状はこの他にも徘徊・失禁・暴力・睡眠障害・異食などいろいろな症状があります。中核症状と周辺症状の区別は基本ですよ!

5、中核症状の中の実行機能障害について当てはまるのは?

①時間や場所が分からなくなる
②夕飯を食べたことを忘れる
③ズボンを頭からかぶる
④味噌汁とおかずを同時に作れない

答、④

①は見当識障害、②は記憶障害、③は失行で歯ブラシの使い方やお茶の入れ方など適切な使い方が分からなくなります。④の実行機能障害は、料理の一連の流れが分からなくなったり同時に複数の作業を順序立ててできなくなったります。予想外の出来事に対応できなくなることも特徴です。

6、事例問題!夕方になると家に帰るため出口を探し回ったり荷物をまとめ始めたりする利用者さん。この時の対応で1番良くないのは?(施設介護の場合)

①一緒に出口を探しながら趣味の話をしてみる
②施設に入っていることや家に帰れないことをしっかりと伝えてみる
③お茶やお菓子を出して空腹感を和らげてみる
④「今夕飯を作ってるから、せっかくなんで食べて行って下さい」と伝えてみる

答、②

夕方になると帰宅願望が強くなるのは夕暮れ症候群と言われ、利用者さんは「今」ではなく「昔」の記憶の中にいます。主婦として一生懸命働いてきた時代や楽しかった子供時代に戻っていることがあります。正論で施設にいることを伝えても理解できずに余計混乱させてしまうことになりますよね。気持ちに寄り添いながら話題を変えてみたり、一緒に解決方法を探してみたりすることで落ち着くこともありますよ。
ちなみに私はリハビリ職なので、帰宅願望があった時には一緒に出口を探しながら昔の話をして歩いています。毎回うまくいくとは限りませんが、歩行練習にもなりますししばらくすると落ち着かれることが多いです。

7、アルツハイマー型認知症に当てはまらないのは?

①徘徊
②物とられ妄想
③ドーパミンの不足
④症状が出てなくても脳での異変は何年も前から始まっている

答、③

ドーパミンの不足が原因で発症するのはパーキンソン病です。神経伝達物質のドーパミンが減少すると、脳からの指令が筋肉にうまく伝わらなくなって体の動きに障害が出てきます。アルツハイマー型認知症は発症の何年も前から異常なたんぱく質が脳(特に海馬)に溜まり、神経細胞を萎縮させてしまうことにより障害が出てきます。

8、レビー小体型認知症の特徴的な症状は?

①幻視
②パーキンソン症状
③徘徊
④異食

答、①②

レビー小体型認知症には3徴と呼ばれる特徴的な症状があります。「幻視」は夜間に多く人や動物が見えたりします。「パーキンソン症状」は体が動かしにくくなるなどパーキンソン病と同じような症状が現れます。パーキンソン病と謝って診断されてしまうこともあります。「認知機能の変動」は良い時と悪い時の差が大きく、時間や場所・会話などの理解力が違ってきます。

9、レビー小体型認知症で現れるパーキンソン症状に当てはまらないのは?

①無表情
②転倒しやすい
③嚥下障害
④片側の麻痺

答、④

パーキンソン症状は「筋固縮」「安静時振戦」「無動」「姿勢反射障害」の四大徴候が現れます。片側の麻痺は脳血管障害の症状ですね。

10、前頭側頭型認知症に当てはまるのは?

①体が固くなり動かしにくくなる
②徘徊
③性格変化・行動異常
④ピック病とも呼ばれる

答、③④

前頭側頭型認知症(FTD)はピック病とも呼ばれ、前頭葉と側頭葉の萎縮によって症状が引き起こされます。性格がきつくなることが多く、場の空気が読めずわがままにみえたり交通違反や万引きなど反社会的な行動がみられたりすることもあります。精神疾患と間違えられて診断されることもあるので、注意が必要です。

11、画像診断で脳の病変が分かりにくい認知症は?

①アルツハイマー型認知症
②レビー小体型認知症
③脳血管性認知症
④前頭側頭型認知症

答、②

レビー小体型認知症ははっきりとした脳の萎縮や病変がみられないことが多いです。①は海馬の萎縮、③は梗塞や出血部分の壊死、④は前頭葉や側頭葉の萎縮が比較的はっきりとみられます。画像診断と症状を合わせることによって、診断の精度が上がります。

12、脳血管性認知症に当てはまらないのは?

①女性に多い
②脂質異常症の人が多い
③嚥下障害が出やすい
④できることとできないことがはっきりしている

答、①

脳血管性認知症は男性に多く脳梗塞や脳出血を起こした部位によって症状の出方が変わります。そのため同じ脳血管性認知症でも人によって症状は様々です。高次脳機能障害も同じような症状が出るので明確に区別するのは難しい様ですが、進行していくのが認知症で回復の見込みがあるのが高次脳機能障害と言われています。特に頭部外傷などが原因の場合は高次脳機能障害だけの可能性があります。ちょっとややこしいですが大事なポイントですね。

13、高次脳機能障害に当てはまらないのは?

①新しいことが覚えられない
②人に依存しやすくなった
③歯磨きの仕方が分からない
④自覚している

答、④

高次脳機能障害は頭部の外傷や脳卒中で脳に損傷を受けたことが原因で現れる脳の高度な機能の障害です。記憶力や集中力の低下、思考や空間認知能力の低下、言葉がうまく理解できない話せない、キレ易いなど行動の抑制ができないといった症状が損傷した部位に応じて現れます。本人はもちろん周りの人も障害として気づきにくいことが多く、認知症や精神疾患と誤解されることも少なくありません。周りの十分な理解や本人の考えや役割を尊重することが大切です。

14、65歳以上の軽度認知障害(MCI)の割合は何人に1人?

①2人に1人
②3人に1人
③4人に1人
④5人に1人

答、③

軽度認知障害(MCI)は正常な老化と認知症の中間に位置する状態です。日本の65歳以上の認知症予備軍は4人に1人と言われています。数にすると800万人以上です!何もしなければ、この内の10%前後が毎年認知症に進行していくと考えられています。各自治体ではこの軽度認知障害者を認知症に進めないための方策が課題となっています。

15、軽度認知障害者の認知症状の進行を抑えるために効果的でないのは?

①バランスのとれた食事
②刺激の少ない静かな生活
③頭の体操と体の体操を組み合わせた運動
④趣味や社会活動への参加

答、②

刺激が少ないことは平穏で悪い面ばかりではありませんが、代わり映えのない毎日では脳への刺激が減ってしまいます。積極的に外へ出て体を動かしたり趣味活動に取り組んだりすることが、脳への刺激を増やし認知症の予防につながります。また魚や大豆製品など日本食中心の生活が効果的といわれています。

認知症は奥が深くてまだ解明されていないことが多い!

いかがでしたか?少し難しい問題があったかも知れませんが、知っておくことで介護のヒントになりますよね。まだまだ解明されていないことがありますが、普段良かれと思って接していることが実は認知症の種類によっては逆効果になってしまうことがあります。それぞれの症状をその人の個性ととらえて、ひとりひとりに合った接し方で笑顔を引き出していくことが楽しい介護につながるのではないでしょうか。

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