認知症介護をしている中で、突然、物や行動に執着するようになると戸惑いも大きいですよね。認知症は風邪などのように薬を飲めば治る病気ではありません。新たな問題行動に家族としての何をして良いかと悩みも尽きないことでしょう。今まで自分でできたことが介護が必要になることも多いです。
この記事では、認知症による執着行為について説明します。記事を通じて認知症の家族との上手なつき合い方を考えましょう。
目次
執着が起きる原因は何?
認知症はさまざまな症状があります。具体的には、記憶障害や見当識障害、妄想などが初期段階から症状がみられます。執着行為も同様に認知症状の特徴の一つです。
執着行為は、人によって物や行動など対象となる事柄が異なります。例えば、お金や衣類などは生活に密着しているため、執着する人が多いです。「お金を盗られた」「財布がなくなった」などはお金に執着する結果、もの盗られ妄想や被害妄想を引き起こしています。(参考:もの盗られ妄想の原因と対処法!症状を知ることが大切)
その他、身の回りの物であれば、トイレットペーパーやティッシュの紙類は介護者にとってはこんな物と感じるかもしれませんが、認知症の家族にしてみれば、大切な物になることがあります。ポケットに大事に入れる、タンスに片づける、寝床に並べるなど執着行為が見られることが多いです。
執着が行動に現れることもあります。認知症の重なる症状によって外出すると自宅へ戻れない人がいます。徘徊と言われ、問題行動の一つとされています。しかし、定年まで40年真面目に勤めた人が時間になると出かけようとする執着行為は、身体が覚えている生活習慣からくる場合も多いです。認知症状の記憶力低下によって「定年」という事実が記憶に残っていないために起こる行動と言えるでしょう。
執着が起きた時の対応策
介護者が認知症の家族に24時間付き添っていることは、現実的に困難です。では、執着行為が起きた場合、何に気をつけると良いのでしょうか。
1.行動を受け止める
執着を受け止める、受容することは基本です。執着する行為が正しいか否かは重要ではありません。まずは、行動を受容し、訴えを聞きましょう。
2.時間的な解決を図る
認知症では、記憶力低下が初期段階から見られ、記憶を持続することができないことが多いです。そのため、執着行為は見られますが、執着自体が何時間も続くわけではありません。また訴えが強いときは誰の話も耳に入らないため、何かを伝えようとしても伝わらないです。
反対に、介護者を攻撃対象とする場合があります。記憶力が低下しているため、少し時間を置くと執着していたこと自体を忘れてしまいます。執着が強いときは落ち着くまで待ち、時間的な解決を図りましょう。
3.別のことで気を紛らわせる
「お金がない」「服がない」など執着している物に対して訴えが続く場合、人によって異なるので何分で忘れると言うことはできませんが、訴え続けていても、場面が変わるとその前のことを忘れるのはよくある話です。
こだわっている話題から別の話題に話を変えるのは有効です。また食事やお茶にするなど全く異なる行動をすることで気が紛れ、執着が落ち着くことが多いと言えます。
4.執着行為の原因を探る
執着行為は人によって異なるため、認知症の家族がなぜその行動に執着しているのかの原因を探しましょう。こだわる行動は長年の経験が引き起こしている場合があります。例えば、執着する物がお金の場合、若い頃、お金に苦労をしたことがきっかけになっているかもしれません。
執着している本人は真剣です。そのため、自分の行動が否定されると、否定されたことだけが頭に残り、さらなる執着につながる恐れがあります。執着行為と今まで生きてきた経験と重なるものがないかなど観察が大切です。
認知症の執着とのつき合い方
執着対象はお金や物だけに限らず、行動などさまざまです。執着行為と上手につき合っていくためには以下のことの注意が必要です。
- 否定せず、受容する
- 落ち着くまで待つ
- 執着する話題やこだわりから場面を変える
- 執着する理由を考える
認知症の家族は、自分が受け入れられているのか敏感です。執着行為に対して、「否定」「怒り」は混乱や強い執着行為を招く恐れがあります。介護の基本は、「受容」と「傾聴」です。一方で介護者自身、いつも落ち着いた気持ちで接するのは大変なことです。介護は毎日続きます。介護保険サービスを利用する、担当のケアマネジャーへ相談する、他の家族に助けてもらうなど、休息を図りながら認知症の執着と上手につき合いましょう。
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