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体位交換(または体位変換)とは、褥瘡予防にとても大切なケアです。よく知らない人は、単に身体の向きを変えれば良いと思っていますが、決してそんな簡単なケアではありません。

介護施設では多くの利用者さんがいるので、一人ひとりの体位交換に時間をかけることができません。まして、体位変換ぐらいならスタッフ一人で行っていく施設も多数あります。体位交換をスムーズに行えるようになるのは、介護スタッフとしての責務といえるかもしれません。

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体位交換が必要なのはなぜか

私達の体は、身体の細部まで血液が流れることで細胞に酸素がいきわたり、活動が維持できています。血管や皮下組織がむき出しになっていると非常に危ないため、体の表面には皮膚があります。皮膚がその働きを保つためには血流が確保されている必要がありますが、褥瘡とは、圧迫などによって血流が阻害され続け、皮膚が壊死してしまった状態のことです。

身体に障害を持つと、ベッド上などで自分の身体を動かすことができなくなり、同じ場所に自分の体重がかかり続けることにより圧迫され、褥瘡が発生しやすくなります。この体重による圧迫を外からの力で分散させ褥瘡を予防する、それが体位交換の役割です。

介護施設で行っている体位の種類とは

介護施設で一般的に介助されている体位とは、次の2種類です。

  • 仰臥位…仰向けのこと
  • 側臥位…身体全体が右や左を向いている姿勢

うつ伏せのことを「腹臥位」といいますが、窒息のリスクも高いため行いません。

介護施設で行う体位交換の頻度は、どのぐらい?

一般的な体圧を分散させる頻度、つまり体位交換の頻度は2時間~3時間が良いとされています。

日本褥瘡学会褥瘡の予防について

引用:日本褥瘡学会|褥瘡の予防について

日本褥瘡学会によると、圧迫の力が200mmHgの場合、2時間で皮膚が壊死し、500mmHgの場合には20分で壊死すると言われています。皮膚科学を研究している、ある医師によれば、仰臥位の時に仙骨部にかかる圧力は150mmHg、座位時に坐骨結腸部にかかる圧力は500mmHgということです。このことから、仰臥位の時には2時間以内の体位交換が推奨されています。座位時には20分おきですから、車いすで離床している時にもポジショニングに注意する必要があるのです。

エアマットなどを使用している場合には、2時間ごとに限らず3~4時間でもよい、とされています。

体位交換をスムーズに行う3つのコツ

体位交換は、コツをつかみ慣れてくると一人でも行えるようになります。一般的に、全介助の方の仰臥位から側臥位への体位交換を行う手順は、次のとおりです。

  1. 頭を向く方へ向ける
  2. 腕を胸の上で組む
  3. 脚を片足ずつ曲げる
  4. 臀部に踵を近づける
  5. 利用者のおへその横辺りに、自分のおへそが来る位置に立つ
  6. 奥側の膝の裏と、奥の肩甲骨を支える
  7. 膝⇒肩の順でゆっくり移動する
  8. 頭を支え安楽な位置に戻す
  9. 上の足を前に出し姿勢を安定させる
  10. 必要なら、背中や腰、脚など浮いている部分に体交クッション等をはさむ

この手順のうち、特に大切なコツは1、4、7になります。

1、頭を向く方向へ向ける

全介助というからには、自分で身体を動かすことができません。身体の向きを変える際、頭を先に進行方向へ向かせておかないと、頸に力が入らない方などは首が曲がってしまい、最悪の場合骨折することもあります。また、利用者さんの気持ちも「これから右へ向くんだ」と思ってもらえるので、微力ながらでも向くことを協力してもらえることがあります。

4、臀部に踵を近づける

膝を曲げる、というポイントはだいたい教えられますが、一人で介助する時にはそれではスムーズに行えません。ベッド上で身体を動かす場合、身体とベッドの接地面積が小さければ小さいほど、少ない力で動かすことができます。

踵を臀部に近づけると、自然と少しお尻が浮くことになります。そのため接地面積が減るのです。胸の上で腕を組むことも、巻き込みを防止するのと共に接地面積を小さくする意味合いがあります。

7、膝⇒肩の順でゆっくり移動する

人間の身体は、各関節でつながっています。各々が別々の動きをする訳ではありません。そのため、どこかを動かせば連動して別の部位が動くことになります。

膝を動かすことで腰が浮きます。腰が動くと、それにつられて自然と肩も上がってきます。先に肩を動かそうとすると、腰が浮きません。

さらに体位交換を一人でスムーズに行う時には、他にも意識しておきたいポイントがあります。

  • 介助者が、中腰にならない高さにまでベッドを上げる
  • ベッドが上がらないなら、介助者の膝をベッドに上げさせてもらう(了承を得る)
  • 自分の方へ向かせた方が少ない力で済むため、左側臥位をとるのであればベッドの左側に立つ
  • 体交クッションは、本人の身体に適したものを選ぶ

仰臥位から側臥位を全介助で行う方法

仰臥位から側臥位を介助する方法の一例を動画で見てみましょう。

引用:カイゴ大学|仰臥位から側臥位への体位変換(全介助編)

この動画は、全介助の人が対象であり、麻痺や拘縮がない人をモデルにしています。拘縮がある場合には、体交クッションをはさまないと適切なポジショニングがとれない場合があります。

体位交換をスムーズに行うにはコツを押さえること

自力体動がない利用者さんの褥瘡予防には、体位交換がとても重要です。夜勤など、一人で体位交換を行わなければならない場合には、3つのコツを押さえるとスムーズに行えます。

それ以外にもいくつかのポイントがありますので、繰り返し行うようにしましょう。そうすると、意識しなくても流れの中で自然に行えるようになるものです。

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