介護の仕事をしていれば、オムツ交換は必須の業務です。しかも、一人の利用者さんだけを介護しているのではないので、正確に、且つスピーディに、そして安楽にオムツ交換をしていかなければなりません。
またオムツ交換の時間はオムツ交換だけ、というわけにはいきません。他利用者さんから呼ばれたり、ナースコール対応をしなければならないなど「多重労働」の中でオムツ交換を行わなければならないのです。
目次
「習うより慣れろ!」がオムツ交換には通用するのか
なにごとも、数をこなせば上達しやすいものです。しかし、オムツ交換は人間相手に行うものです。数をこなそうとするスピードが重視され、雑になりやすく、利用者さんに不快を与えてしまいます。各関節が拘縮していれば、骨折のリスクすらあるのです。
また排尿・排便は健康のバロメーターです。いつもと違う形状、色、においだとしたら、何かしらの病気を疑う必要がありますが、数をこなそうとだけしていると発見が遅れやすくなりますので、注意が必要です。
とはいえ、他の仕事もたくさんありますから、適切な方法でスムーズにオムツ交換を行うのは重要なことなのです。
オムツ交換をスムーズに行う3つのコツとは
オムツ交換をスムーズに行うコツとともに、理由と方法についてお伝えします。
1、準備が大事
一人ひとり、違う時間にオムツ交換をしていないのなら、必要な物品をカートなどで運んでいるはずです。特に、便が出ているとシャワーボトルで洗浄するなどの行程が増えるため、時間がかかることになります。
排便は、下剤が入ったタイミングや下衣を下ろす前に匂いなど、実際にオムツを開く前にある程度予測することが可能です。ですから「もしかしたら…」という場合には、あらかじめ必要物品を手元に準備しておくとよいでしょう。ただし物品を置く場所は、利用者さんの人権を害さないように工夫します。
2、身体とベッドの接地面を少なくする
例えば下衣を下げる際、お尻を上げてもらうとスムーズに下げることができます。これは、身体とベッドの接地面が少なくなることにより、衣類と寝具の摩擦が減るためです。自分でお尻を上げられない場合も、スタッフがお尻を少し浮かしながら下衣を下げることができます。
紙オムツなどを外し、新しいものをあてがう際にも、やはり接地面を少なくすることでスムーズにあてがうことができます。
一つ一つの介助動作において、少しずつでもよいので時間を短縮していけば、全体的なスピードがアップします。
3、ボディメカニクスを利用する
オムツ交換をする際、利用者さんに横を向いてもらったりお尻を上げてもらう場面が出てきます。介助動作で一番時間がかかるのは、スタッフのペースで行えない介助です。つまり、相手の身体の動きが必要となる場面、ということになります。
例えば横を向いてもらう時、体重のある方や麻痺や拘縮のある方の場合、時間がかかることがあります。この時に利用できるのがボディメカニクスで、身体の造りや関節を利用して、少ない動作で効率的な動きを介助する訳です。
例えば左を向く場合、頭と右膝を上げてもらい(または上げるのを介助し)、右肩と右腸骨辺りを下から持ち上げるようにすると、ベッドとの接地面を少なくし、身体の支点を利用することで簡単に左を向いてもらえます。
完全麻痺があって右脚を上げておくことができない場合には、自分の手を、利用者さんの右膝の下から通して左膝をつかみます。左手で左肩を上げると共に、自分の右前腕部で右膝を押し上げるようにすれば、スムーズに横を向いてもらうことができます。
全般的に、自分がベッドサイドに立つのと反対側を向かせるよりも、自分の側に向いてもらった方がスムーズにできますので、立ち位置も工夫することができるでしょう。
オムツ交換後の事故を防ぐためには
ベッド上でオムツ交換をする場合、サイドレールを外したり下げたりして行いますが、交換後、戻しておかないとベッドから転落してしまう危険があります。この事故を防ぐためには、指差し・声出し確認が重要です。戻した後、必ず指を差しながら声を出して「サイドレールOK」と確認する習慣をつけましょう。
利用者さんに「サイドレールを戻しておきました」と声を掛けることも事故防止につながります。つまり、指差し・声出し確認と利用者さんへの声掛けを自分が行っていない場合には、サイドレールが確実に戻っていないかもしれない、ということです。
「オムツ交換は回数ではなくコツを意識する」
オムツ交換は、スタッフのペースで行えないので時間がかかりやすくなりますが、いくつかのコツを重ねることでスムーズに行うことができます。
また、もしも下衣を下げていたりオムツを開けたりしていたら、例えナースコールが鳴ったとしても優先すべきはオムツ交換です。確かに、すぐに駆け付けなければならないナースコールもありますが、オムツ交換をされている利用者さんの羞恥心を考慮するのであれば、まずは手掛けたオムツ交換を終わりにさせて駆け付けるべきです。
時間帯によって、ナースコールで呼ばれそうな人にはあらかじめ訪室して対応しておくことができます。また呼ばれそうな人には「これからオムツ交換に回るので、すぐに駆け付けられないかもしれない」と一言お伝えしておくこともできるでしょう。
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