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施設で介護の仕事を初めて、比較的最初に教わることになるのが体位変換です。この体位変換を「なんとなく」でやってしまっていませんか?実は、体位変換を安易に考えていると利用者だけでなくあなたにとっても大変な負担になってしまいます。

この記事では

  • 体位変換とは
  • 体位変換の効果
  • 体位変換の方法

明日から使える技術と知識を、わたしの経験を交えつつご紹介します。

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そもそも体位変換ってなに?

寝転ぶ赤ちゃん

だれでも、寝ているときは寝返りをうっていますが、体が動かせない人は当然寝返りができません。そういった人に時間を決めて寝返りをうつ介助をすることが体位変換です。

他にも、同じ方向ばかり向いて寝てしまう人や、拘縮のせいで体がねじれたり突っ張ってしまっている人にも体位変換が必要です。さらに、おむつ交換や起き上がる介助をするときにも、体位変換の介助方法を応用して使うことができます。

何十キロもある人の体を、何人も何十回も動かさなくてはいけないのが介護の仕事です。そのため、できるだけ利用者にも介護者にも負担の少ない介助ができるほうが良いです。

褥瘡や拘縮の予防になる!実はすごい体位変換の効果!

早番で出勤して「今日は体が曲がっているな」と感じる人を見ることがあります。体調が悪い?体が痛い?理由はいろいろありますが、わたしは「体位変換」がちゃんとできていたか?を疑います。

「体位変換をするということはどういうことなのか?」「しないとどうなるのか?」体位変換が重要である理由を知ってください。

拘縮の悪化防止

拘縮の原因に多いものとして筋緊張があります。人は寝ている時、ベッドに接している部分に圧力がかかり筋肉が緊張します。その状態が長く続くと筋肉が固くなり拘縮が強くなります。

これは健常者にも見られることで、朝起きて背中や腰が硬いと感じることや、長時間車や電車にのっていたせいで体が固まった…そんな経験がありませんか?

寝返りがうてない人は、夜中だけでも10時間以上その状態が続きます。同じ姿勢でいることで体が固くなる、これを防ぐために定時で体位変換をする必要があります。

褥瘡の予防

褥瘡の原因は圧迫・摩擦・ズレによる血行不良や皮膚のトラブルによるものがあります。長く同じ姿勢でいることで、圧迫やズレは解消されず血の巡りが悪くなるだけでなく、尿便での汚染で皮膚がよわくなった部分に摩擦が生じて、褥瘡ができる可能性が高くなります。

やはり、拘縮同様に定時で体位変換をすることで血流の改善や、合わせておむつ交換をするなどスキンケアを行うことで、褥瘡の予防と改善につなげることができます。

排痰を助ける

医療補助行為として喀痰吸引が実務者研修や介護福祉士でもできるようになってきましたが、まだまだ資格を持っていない職員が多いのが現状です。しかし、利用者のADL低下はまってはくれず、飲み込みや痰を出すことが難しくなる人がいます。

気管支に付着した痰は重力で下に落ちて溜まっていきます。同じ体勢のままでいると痰が集まって肺に酸素が取り込みにくくなってしまいます。体位変換や軽くタッピング(背中から軽く叩く)をすることで痰を動かし排出を助けることにもなります。

話せない人、自分で動かない人、痰を自力で出すことが難しい人など、介護職でもできる体位変換が痰の排出を助けて誤嚥性肺炎や窒息の予防ができるようになるのです。

腰痛予防になる!体位変換の方法を教えます

介護職は腰痛になるリスクが高く職業病とも言われています。わたしは「腰痛予防にいい方法はありませんか?」と相談されることが多くあります。その時、腰痛持ちである自分自身に一番効果のあったものを教えています。それが体位変換の介助方法を変えることです。

人の体は、上半身と下半身がねじれたとき真っ直ぐになろうとする習性があります。この習性を利用した方法が半回旋の立ち直り反応というものです。

やってはいけないこと

全身を一度に動かそうとすると体重全部を一度に動かさなくてはいけません。そのため、体位変換を行うときは「上半身」と「下半身」を別々に動かします。

また、膝だけを押したり引いたりしている人は要注意です!わたしも経験したことがありますが、骨粗鬆症の人は、大腿部や大腿部頸部がパキっと簡単に折れる場合があります。

方法1…上半身→下半身の順に向く

体位変換をする時は腕や腹や太ももなどの肉ではなく、肩・肩甲骨・骨盤・大転子部などの骨に手を当てて動かします。

  1. 向く側と反対の膝を立てる
  2. 肩・大転子部に手を当てる
  3. 肩を先に動かし腰が若干動いたら大転子部を動かす
  4. 腰と膝に手を当てかえて下半身を向ける

方法2…下半身→上半身の順に向く

体が大きく下半身が重い人や、弛緩麻痺や拘縮麻痺で膝が立てられない人の場合、下半身から動かしたほうが楽な場合もあります。

  1. 膝を立てる、もしくは足をできるだけ揃える(経を小さくするため)
  2. 膝と大転子部に手を当てる
  3. 膝と大転子部を同時に向ける(下半身だけ横を向く)
  4. 大転子部と肩に手を当てかえて上半身を向ける

動画で見るとわかりやすい

介護技術は文字や言葉だけでは理解しにくい部分があります。そのため動画でも説明をしています。

引用:簡単、便利!寝返り介助|youtube

あなたと利用者の体を守ること!体位変換は介護技術の基礎!

体位変換をすることで拘縮の予防・褥瘡の予防・排痰の助けになり、それらが介護職員がメインでできるケアになります。逆に、そのケアをおろそかにすると拘縮の悪化・褥瘡の発生と悪化・痰による窒息など生命に対するリスクが高まります。

たかが体位変換と思わず、2時間に1回体の向きを変えることがどれだけ重要であるかということをこの記事で知ってもらえると幸いです。

わたしが、まだ知識も技術も未熟な頃「拘縮は治らない仕方ないもの」「褥瘡はできたら看護師さんに任せる」そうやって逃げることしかできませんでした。しかし、介護業界も進歩しています。今まで培ってきた経験を生かして、誰でもできる効果的な介助方法を開発し、ADLの向上と維持ができる技術を、あなたが身にけてほしいと考えています。

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あなたはなぜ介護の仕事を続けているのでしょうか?

日頃から考えることが多すぎていつの間にか忘れてしまっている介護の現場で働く理由。母が祖母の介護を大変そうにしているのを見て介護職を志した人や、障害者の方が当たり前の日常を送れない現実を知って、当時の自分では何も力になれないもどかしさから介護の仕事を志した人もいるでしょう。

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