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認知症利用者の行動に悪戦苦闘することはよくありますよね。突然洋服を脱ぎだしてしまったり、消毒液を飲もうとしたりと通常では理解できない行動をするので、介護職員も事故が無いよう対応しなければなりません。

もちろん利用者も介護職員を困らせようとしているわけではなく、認知症という病気のせいで理解できない状態になっています。一番つらいのは利用者本人ですので、介護職員は認知症を理解することがとても大切なのです。

認知症の利用者に見られる行動の一つに徘徊があります。徘徊は様々な原因で起こるのですが、対処法はあるのでしょうか?今回はストレスが原因で徘徊してしまう利用者の対処法についてお伝えします。

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何故ここに?理解できないストレスからの不穏

リラックス

Cさん(男性)は自宅で一人過ごしていましたが、認知症を発症し日にちや時間を把握できません。深夜に外へ出てしまい徘徊することもあったため、家族が心配して施設入所となったのです。

施設に来てからも徘徊はひどく、特に夜間帯の徘徊が多い人でした。職員が声を掛けると「今日は何日だ?」「今日は何曜日だ?」「なんでここに私はいるんだ?」と、状況が全く分からないことから聞いてわかる人を探すため、廊下を徘徊してしまうのです。

Cさんを見かけた職員が「もう時間も遅いしお部屋で休んでください」と声をかけるのですが、1時間もしないうちに再度廊下に出てきてしまいます。何度も部屋に戻るように言われるCさんも、だんだんストレスになってくるのでしょう、「なんで部屋にいないといけないんだ!」と不穏になってしまい対処できない状態になってしまうのです。

私達はCさんが落ち着いた生活が送れるよう、対処法について検討会を開くことにしました。

忘れられない環境づくりを!

ノート

Cさんは自分の置かれている状況がわかりません。わからないので職員に質問をするのですが、質問した内容も忘れてしまうことが徘徊に繋がっている状態でした。さらに職員からは「さっきも言ったじゃないですか」なんてことを言われると、Cさんのストレスは大きくなり、怒ったり不穏になったりするのです。

私達職員は忘れても目で情報を確認できるように工夫をしたらどうかと話し合い、Cさん用の「質問ノート」を作ることにしました。Cさんが職員に質問した内容を必ずノートに書いてお渡しすれば、居室に戻っても確認できるので徘徊防止になると考えたのです。

また、お部屋のカレンダーを日めくりタイプにして、日にちと曜日が確認できるようにしました。

自分で確認し、理解することが徘徊防止に繋がる

カレンダー

対処方法を決定してからCさんの徘徊は極端に減りました。始めの数日は色々と質問をしてきたのですが、きっと本人が不安や疑問に思うことが解消されたため、わざわざ廊下に出てくることも減ったのだと思います。

日にちや曜日についても職員が朝Cさんの部屋に行ったときに、一緒に日めくりを行うようにしたので今日が何日なのか把握できるようになり、安心したのでしょう。

認知症の人でも目で情報確認できる人は大勢います。不安を目で見て確認できれば、不安は解消されて徘徊の予防に繋がることを知った体験でした。

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