ケアマネージャーが作成するケアプランは、利用者さんが要介護状態になったとしてもできる限り自分らしく、自立した生活がおくれるように、各サービス関係者が同じ目的をもって支援していくための計画です。
大切なのは「目標設定」をしっかり行うことで、ここがぶれてしまうと事業者や職種ごとでサービスに統一性が保たれなくなってしまいます。
目標設定には、最終的なゴールとなる「長期目標」と、長期目標を叶えるための一つずつのステップとしての「短期目標」があります。
この記事では、サービス計画書第2表に掲げる長期目標例について、次のようなカテゴリ別にお伝えします。
- 家族
- 社会活動
- 健康維持
長期目標の捉え方
ケアマネージャーの資格を取得している方には今更いうまでのないことですが、長期目標とは「利用者さんが介護サービスなどを利用することで最終的に到達できるゴールの姿」のことです。ですから、ゴールとした姿まで到達できたなら、別の長期目標を立てることになります。
一般的にゴールとなりやすいのは「穏やかな生活がおくれること」など無難な文言です。この文言は大雑把でもあるので、多くの人に流用できるという特徴があります。もちろん間違ってはいませんが、利用者さんが具体的にやりたいことを聞き出して個別性をもたせた目標を掲げるのも、ケアマネとしての腕のみせどころです。
この記事の中では、極力具体的な目標に言及していきます。
カテゴリ1:家族
ご家族を大切にしてこられた利用者さんなら、家族との関係は生きていく糧になります。介護保険制度の神髄は「要介護状態になる前の生活を取り戻すために自立支援を促すこと」です。単に「リハビリしましょう」では、目的が薄くなってしまいます。自分から「リハビリしたい」という強い動機付けをつくれるような長期目標がベストです。
【記載する文例】
- 自宅で、妻と仲良く暮らし続けることができる
- 介護者である妻の介護負担を軽減することができ、末永く暮らせる
- 同居の子供世帯と共に、楽しく週末を過ごすことができる
- 日課の、愛犬の散歩を続けながら健康を維持することができる
- 年に一度の家族旅行に出かけることができる
カテゴリ2:社会活動
人は、一人では生きていけません。必ず何かしらのつながりがあります。特に地方都市では、地域住民との関係性などが重要になってきます。都心部であっても、孤独死をなくすための取組が始まっている地域もたくさんあります。その場合、自分が社会の一員として機能していることを実感できる社会活動に関する長期目標は、非常に重要です。
【記載する文例】
- 地域の夏祭りに毎年参加することができる
- 隣組の忘年会など、今まで参加していた社会活動を続けられる
- クラブ(サークル)活動の旅行に参加することができる
- 地域の中での自分の居場所を確保することができる
- 今までの地域活動を活かし相談役として活動し続けることができる
社会活動を主にした長期目標を叶えるための短期目標の一例としては「隣組の家まで回覧板を届けることができる」というように具体的な目標を掲げることができるでしょう。
カテゴリ3:健康維持
全ての人が「健康でありたい」と思うもので、要介護状態になればなおさらのことです。健康を維持するための目的は、少しでも充実した生活をおくることだといえます。ただ、長期目標を「充実した生活」としてしまうと、あまりにも大雑把過ぎて全てのことが含まれてしまいます。
【記載する文例】
- 病気の再発を防ぎ家族への心配事を減らすことができる
- 年に数回、遊びに来るお孫さんと楽しく過ごすことができる
- 毎晩の晩酌を続けることができ、生きる喜びを感じることができる
- 日課の「散歩」を続けることができる
- 大好きなもの(刺身・焼肉などなんでも)を食べる楽しみを続けることができる
この長期目標を叶えるため、例えば、各項目について次のような短期目標が立てられます。
【記載する文例】
- バランス良い食事やリズム良い生活習慣を身に着ける
- 定期受診を欠かさず、服薬がきちんとできる
- 適度な運動やバランス良い食事を続けることができる
- 歩く力を維持・向上させることができる
- 血圧や血糖など、体調管理に努めることができる
長期目標の大事なポイント
ケアプランを作成する際の長期目標設定の良い方法は、利用者さんの言葉をそのまま原案で示してみることです。そうすれば利用者さんに「この人は本当に自分のことを考えてくれているんだ。」と感じてもらうことができます。
もちろん、利用者さんの希望が自分の状態、身体状況を踏まえていないことがあります。その際には、一度原案として目標を提示してみて、そのためにはどんな課題をクリアしていかなければならないのかを説明しながら「今の自分には、これは無理かもしれない…。」と感じてもらうことが必要です。
ただし、そのままだと消極的になってしまうので、利用者さんの現状と希望を踏まえながらプラス思考で妥協点を探し、それを長期目標に設定すると良いでしょう。その際に、この記事に挙げたことを参考にしてみてください。
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