Pocket
LINEで送る

サービス調整の要と言われるケアマネ。やりがいのある仕事ですが辞めたいと思うことだってありますよね。人・モノ・サービスの板挟みになり、精神的に辛いことも多々あるでしょう。

私はケアマネになって13年。辞めたいと思うことは数えきれませんが、現在もケアマネを続けています。本記事では経験をもとにケアマネを辞めたいと思った事例や辞めていった同僚のその後について説明します。

スポンサーリンク






ケアマネの仕事のこんなところがイヤ

1.業務の多さにうんざり

ケアマネ1人に対して担当利用者39人。39人のアセスメント、計画書作成、モニタリング、サービス調整、認定調査、担当者会議、経過記録など業務の多さにへとへとです。

介護保険制度は3年ごとに改正され、そのたびに必要な書類が追加されていると言っても過言ではありません。例えば、利用者や家族の状況を把握するためにアセスメントを行います。実際にアセスメントした内容からどのようなことに困り、どんな助けが必要なのかを考え、サービスにつなげて、計画書を作成します。ケアマネがサービス提供を直接行うわけではないため、希望に沿ったサービス提供ができるかは各事業所との調整が重要です。

計画に沿ってサービス提供が行われます。ケアマネは円滑にサービス利用ができているか、新たな困りごとがないかなど定期的に評価します。評価の結果によって、そのままサービス提供を行っていくのか、または再アセスメントを行い、改善が必要なのか見極めます。

「利用者が困らないように手助けしたい」、「少しでも家族の負担を軽減したい」などいろいろな思いはありますが、日々の業務に飲み込まれてしまいそうな毎日。精神的なストレスは大きいと感じています。

2.利用者・家族の御用聞きではない

介護以外でも何かあるとすぐ連絡してくる家庭があります。携帯電話が普及し、時間もバラバラで常識もありません。確かにケアマネは利用者のケアマネジメントが仕事です。ケアマネとして利用者や家族に困っていることがあれば、介護保険などを含め、助けたいと思って業務に従事しています。

しかし、「おばあちゃん、熱があるけどどうしたらよい?」「おじいちゃんが私たち家族の話を聞いてくれない」など、家庭の困りごとを一番に連絡されてもケアマネとして何もできないのが正直なところです。ケアマネとして利用者の代弁者でありたいと思いますが、利用者そのものにはなれません。毎日顔を合わせている家族しかわからないこともたくさんあります。誰かに相談したい、聞いてほしい気持ちもわかりますが、節度は守ってほしいと思いながら電話や相談を受けるのが現状です。

一方で利用者と家族の仲が悪く、お互いがケアマネに伝言する家庭があります。私たちケアマネがかかわる前からの確執について何も言うつもりはありません。ただお互いに話をすれば済むことをわざわざ私たちケアマネを通して伝えることはやめてほしい限りです。特にケアマネになりたての頃は度を超す家族対応に「こんなことをやるためにケアマネになったわけではない!」と辞めたい気持ちでいっぱいでしたし、実際に辞めていった同僚も多かったです。

3.職場の人間関係に振り回される

面倒な業務を押しつけられる、人によって教え方が違うなど職場の上下関係や人間関係に悩む人は多いです。利用者も人、ケアマネも人です。十人十色と言われるようにいろいろな考え方を持ったケアマネがいます。複数人のケアマネが所属している事業所では、それぞれ個性もあるでしょう。お互いが高め合ってケアマネ業務を行っていけば何も問題はありません。複数のケアマネが所属しているということは、相談できる先輩がいる、勉強会ができる、自分の能力不足のところは他のケアマネの姿から学ぶことができるなど利点がたくさんあります。

しかしそれぞれが自分を1番に考えるようになると人間関係がぎくしゃくするのはあたり前。Aさんは自分の業務のことしか考えていない、Bさんの休みのときはトラブルの電話がかかってくるなど不満を言えばキリがありません。相手の嫌なところばかり見つけている職場は人間関係も悪く、精神的なストレスは大きいです。

辛いケアマネの仕事を続ける?辞める?

精神的なストレスが強く続く場合、ストレスの中でも何かを見出し仕事を続けていくのか、これ以上辛くならないうちに辞めるのかは人それぞれです。一方でケアマネの仕事を続けていくためにはストレスが軽減できるような方法を見つけないとストレスに押しつぶされてしまいます。

また辞める場合は辞めた後、どうなるのかが知りたいところでしょう。ケアマネを続ける場合のモチベーション、またケアマネを辞めたその後について、経験をもとにまとめてみました。

1.仕事の優先度を見極める

どの業務も大切な仕事ですが、仕事を続けていくのであれば優先度を考えることが第1です。介護保険制度改正ごとに業務量が増えていることは事実です。しかし、利用者とまったく関係のないことをやっているわけではありません。また利用者のことを深く理解した上でケアマネジメントしていくためにアセスメントは必要です。

私たちケアマネは利用者の困りごとを解決するためにサービスを調整します。しかしなぜ必要なのかをサービスを提供する側が理解していないと、利用者が本当に求めているサービスを提供することはできません。そのためにモニタリングを行います。サービスが正しく提供されているか評価していかないと困るのは利用者だからです。

事業所間の連絡調整がうまくいかずにバラバラな介護を提供していては利用者や家族は困るため、担当者会議を行い、サービスの統一を図っています。ケアマネは個人的に助けたいと思って動いているのではなく、仕事としてマネジメントを行っているからこそ、記録が必要です。

ケアマネの業務は、毎日必ずやらなければならないことばかりではありません。業務に追われると感じる気持ちは同じケアマネとしてよくわかります。しかし辛くて辞めたい気持ちの中でもどこか踏ん切りがつかないのであれば、ケアマネとしての自分を振り返りましょう。

ケアマネを続けていくなら周りを見渡せる力を身につけることは必要不可欠です。利用者や家族への視点も同じことが言えます。今、目の前だけの困りごとを解決するのがケアマネの仕事ではありません。目の前の困りごとを解決した上で、今後、さらに困ることはないか、また体調の変化によってどのように対応していくとよいのかなど先を見据える力が求められます。

目の前の業務に追われて苦しい現実もあります。しかし苦しいことばかりに目を向けるのではなく、困りごとを解決した先にどのような喜びがあるのかに目が向けられると、辛いケアマネの業務に光が見えるでしょう。私自身、その先の喜びに目を向け、利用者や家族の一番近くで共有できることをケアマネとしての醍醐味と思って仕事を続けています。

2.ケアマネ以外の仕事に就く

ケアマネは介護福祉士、看護師など国家資格を取得し、5年以上の実務経験が受験条件です。介護職のスキルアップとしてケアマネの資格を位置づけている施設もあります。しかし、実際は、想像していた業務内容と異なり、ケアマネを辞めて、再度、介護職などへ戻る人も多いです。

ケアマネは困りごとを直接的な援助で助ける職種ではありません。困りごとと助けられるサービスの橋渡し役であり、安心して生活ができるようにマネジメントする仕事です。介護職へ再度転職した人の多くは、困りごとがあれば直接支援したい、毎日の介護を支えたいとの思いが強いと言えるでしょう。

介護職に戻ることは悪いことではありません。ケアマネとして利用者のマネジメントをしたからこそ、直接支える側になりたいと思う人も多いです。ケアマネとして辛いことも多かったかもしれませんが経験を活かして過去、現在、未来を見据えた介護を支える側として提案できるとよいですね。

3.転職してケアマネを続ける

職場の人間関係の悪化によって辞めた人はケアマネ業務が嫌になって辞めたわけではないため、再度、ケアマネとして転職する人が多いです。ただし新しい職場を探す際は慎重に探しましょう。求人はハローワークや情報誌などいろいろあります。しかし職場の人間関係は数回の訪問ではわからないことも多いです。そのため、実際に職場を辞めた元同僚のケアマネは、転職サイトを利用して新しい職場を探していました。

事業所によっては居宅介護支援事業所と併設するデイサービスの送迎手伝いや訪問介護事業所の手伝いが業務に組み込まれているなど、仕事に就くまで知らなかったということがあります。また入所施設の場合、ケアマネと介護職が兼務だったため、ケアマネとして採用されたはずなのに夜勤も含めた変則勤務で介護職と変わらず、こんなはずではなかったと悩む人もいます。

転職サイトでは自分の希望条件に対して、現在の求人情報が案内されます。また担当コーディネーターが直接職場とのやり取りをしてくれるため、業務内容の他、自分では聞きにくい給与面や職場雰囲気なども知ることができます。

度重なる転職は、仕事に対する姿勢が疑われ、よい印象を与えません。元同僚は、担当コーディネーターに相談しながら自分の働き方に合ったケアマネの仕事を見つけていました。

ケアマネとして辛い時の乗り越え方

利用者や家族との関係、事業所との関係など複雑な人間関係の中、課せられる業務が多く、ケアマネとして精神的なストレスは大きいと言えます。

一方でなぜケアマネになりたいと思ったのでしょうか?

ケアマネを頼りにしてくれる利用者や家族はたくさんいます。またお互いに利用者のことを考え、同じ方向性で生活を支えようとしてくれる事業所もあります。精神的に辛いときこそ、初心にかえり、なぜケアマネの仕事に就こうと思ったのか、ケアマネとしての役割を振り返りましょう。

 働きやすい職場環境選びがあなたを輝かせる

あなたはなぜ介護の仕事を続けているのでしょうか?

日頃から考えることが多すぎていつの間にか忘れてしまっている介護の現場で働く理由。母が祖母の介護を大変そうにしているのを見て介護職を志した人や、障害者の方が当たり前の日常を送れない現実を知って、当時の自分では何も力になれないもどかしさから介護の仕事を志した人もいるでしょう。

現在、あなたが介護の仕事を行っているのは、「人の力になりたい!」と強く思ったからではないのでしょうか?

3K(きつい、汚い、危険)と言われていることを知った上で働き続けているあなたは高齢化社会である日本の誇りです。

介護業界の主役は現場で働くあなた自身です。

あなたをキッカケに、「介護の仕事って楽しいんだよ」「介護ってかっこいいんだよ」と思ってもらえる仲間が増えることを祈っています。

まずはあなた自身が輝ける場所に行きましょう。

世の中は、熱い想いを持って介護の仕事に取り組むあなたのような人材を求めています。

介護求人ナビ口コミ

Pocket
LINEで送る