介護職に疲れて辞めた人もたくさんいます。私自身も結婚がきっかけで、体力の限界を感じ、最初の職場を辞めました。
「好きこそものの上手なれ」と言いますが、それでも限界はあります。どんなに自分が頑張ってもどうしようもならないことがあるのも事実です。
介護労働実態調査の介護職を辞めた理由をもとに、退職に至るまでの理由、悩みの解決方法、自分に合った新しい職場探しについて説明していきましょう。
目次
前職の介護職を辞めるに至った理由
第1位 職場の人間関係に問題があったため
職場の人間関係は、介護職に限らず永遠の悩みと言えます。介護職の場合、大勢の利用者を1人で支えることはできないため、チームケアが求められます。また施設には介護職以外に看護職員、リハビリ職員、栄養士、事務職員などさまざまな職種の職員が働いています。
大勢の職員が働いていると、気の合う人もいれば気が合わない人もいるでしょう。仕事と割り切って働ける人であれば、仕事を続けていけますが、仕事とは言え、苦手な人と何かを一緒に行っていくことは苦痛が伴います。
人間関係に悩み始めると、明るく元気に働こうと思っても士気があがらず、最悪の場合、心が病んでしまいます。人間関係がギクシャクしている中、仕事を続けていくことが困難となり、退職する人が一番多いです。
第2位 結婚・出産・妊娠・育児のため
入所施設の場合、24時間365日介護が必要な利用者の生活を支えることになります。当然、支える側の職員は、夜勤も含めた不規則な勤務で日々の介護にあたります。自分1人で生活している間は、勤務に合わせて働くことは可能でしょう。
しかし女性の場合、結婚・出産・妊娠・育児など人生の節目になると、自分だけで決められないことも多くなります。特に妊娠に関しては、自分の体調によって続けたくても続けることが困難な場合もあります。
また初期の妊娠では過度な動きや重い荷物を持つと骨盤に負担がかかり、流産の危険も言われています。介護職は立ち仕事で利用者を支えることも多いため、危険とされている行為も業務の中にはあります。
妊娠中は周りの協力を得て続けられることができても、出産・育児となると自分1人ではなくなります。変則勤務にすべて対応できる保育園はなかなかありません。すべての女性が介護職を続けられないわけではないですが、現実問題として、解決できないことも多く、退職をする人が多いのが現状です。
第3位 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため
考え方の相違は難しいところがあります。雇用されている以上、施設の方針に従うのは当たり前です。施設では、さまざま職種と大勢の職員が働いているため、個人の主観で仕事をしては秩序が乱れてしまいます。
施設の運営のあり方については、事業所の長によって決まるところもあります。経営ばかりを重視し、十分な人員配置がなく、それぞれの職員に身体的な負担が多い会社や勤務時間内に終わらないような業務ばかりでサービス残業が常用化している運営方針などは、働く側として不満が強く、退職の原因になりやすいところです。
陰口「一緒のシフトは嫌」私を救ったのは尊敬できる先輩だった
大学を卒業して働きたいと思って就いた介護職。社会福祉士の私は介護の経験もなく、1人で介護ができるようになるまで周りに迷惑をかけ、足を引っ張ることも多かったです。陰口の中で一緒のシフトは嫌だと心無いことを言われたこともありました。そのような中でも介護職を続けられたのは、介護の大切さを教えてくれた先輩のおかげでした。
結婚を機に退職
1年、2年と働くうちに責任のある仕事を任されるようになり、右も左もわからなかった私が指導係にまで成長できました。介護職として育ててくれた先輩、責任ある仕事に生きがいを持っていましたが、一度目の退職理由は結婚でした。
早出、遅出、日勤、夜勤の変則勤務。土日祝日も必ず休みとは限らない中で夫とすれ違い生活が続くことが目に見えていたため、退職に至りました。同じ職場で働き続けたいと思う気持ちもありましたが、時間や体力的に続けることが難しかったのが正直なところです。
やっぱり介護がしたい!デイサービスに再挑戦
結婚のために前職は退職しましたが、自分を成長させてくれた介護職を諦めることができず、夜勤のない通所介護事業所(通称デイサービス)の介護職へ転職をしました。入所施設と異なり、自宅での生活を支えるためにあるデイサービスに戸惑う部分もありました。
自宅では自分で行っていることを一時的なデイサービスで介助をしてしまっては、自宅でできなくなってしまう恐れもあります。入所施設のように24時間の生活を支えることができないため、自宅での生活につなげるための介護について考えるきっかけになり、入所施設とは違ったやりがいを見つけることができ、良い経験になりました。
退職するか、続けるかの揺れ動く気持ちの切り替え方
介護職の仕事は続けたいけれども、職場の人間関係に頭を抱えることはよくある話です。退職を考えながらも、もう少し頑張れそうと揺れる気持ちの中での切り替え方について説明していきましょう。
介護職は誰のために働いているのか
介護職は、利用者へ必要な介護を提供していくことが大きな仕事です。利用者への介護の仕方の悩むのではなく、働く職員同士の人間関係に悩むのは、職場の質に関わります。
ロボット同士が仕事をしているわけではないため、他人の仕事のやり方に不満を持つこともあるかもしれません。ただ働く職員同士の好き嫌いは、利用者の介護には関係のない話です。○○さんとは仕事がしやすい、△△さんとは仕事がやりにくいと言う前に、誰のために介護職として働いているのかを考えましょう。
自分の中での気分転換の方法
介護職として責任を持つことは大切ですが、何でも仕事一番では疲れてしまいます。自分の趣味の時間は持てていますか?介護職は、変則勤務のため、友だちと時間が合わないことも多いことは事実です。外で気分転換をすることがすべてではないですが、自分の趣味を楽しみ、気分転換を図りましょう。
理想の人間関係とは
介護の仕事にチームワークは欠かせません。利用者が何を求めているのかをチームで考え、介護を行っていく必要があります。チームワークを乱さないためにはどのような働き方が求められるでしょうか?
その場が終わればよい、自分のことだけ考えているような介護ではよい人間関係とは言えませんよね。利用者を支えるために先を見据えた介護を一緒に考えていくことがチームの輪をより良いものにできるでしょう。
人間関係の嫌な部分を探すのではなく、どのような人間関係なら仕事がしやすいと思えるのかを考え、理想の人間関係が築いていけるように努力することが大切です。
働きやすい職場の見つけ方
前職の介護職を退職して次の職場を見つけるにあたって転職に後悔しないためには、以下のような施設は避けましょう。
施設見学を拒否する
次の職場を見つけるために、自分が想像している職場なのか、施設を知る上で見学することは大切です。パンフレットや求人広告以外の自分の眼で見ることも情報収集としては必要不可欠です。
依頼をしても忙しいや担当者の時間が合わないなど理由をつけて施設見学を断られるような施設は人を大切にする施設とは言い難いです。「百聞は一見に如かず」ということわざがあるように、自分の眼で見て確かめられないような施設は辞めたほうがよいでしょう。
時間にルーズな施設
大人として時間を守ることは最低限のマナーです。約束時間の30分前から準備をする必要はありませんが、5~10分前に行動することは基本でしょう。施設の担当者が時間を忘れる、時間にいないなどは論外です。
早めの行動ができない施設は、現場の介護でも同じようにルーズな傾向だったり、時間に追われるような介護になりかねません。早めに行動することは、気持ちにも余裕が生まれます。時間にルーズな施設は、避けたほうがよいでしょう。
言葉遣いについて
電話の対応、施設見学をした際、介護職の話し方、利用者への声かけなどさまざまな場面で言葉遣いに触れる機会があります。特に施設見学時の現場での言葉遣いには気をつけましょう。
職員同士まで敬語を使う必要はないですが、仕事は遊びではありません。馴れ合いで声をかけるような職場は良い施設とは言えません。
また利用者への声のかけ方にも気をつけましょう。子ども扱いや指示的な声かけからは利用者を敬う気持ちを感じることができません。言葉遣いに気をつけられない施設は避けたほうがよいでしょう。
介護職を長く続けていくためにできること
人間関係に悩み、介護職に疲れてしまう人が多いのは現実です。今回の退職を次へ活かすためにできることがあります。
- つらかった経験をもとに、どのような人間関係なら悩みなく、介護の仕事が続けられるのかを考え て行動する。
- 介護職の場合、体力仕事。悩み過ぎないように自分なりの気分転換の方法を見つける。
- 施設探しは、自分の眼で見て確かめてみましょう。よい施設は誰に対しても親切です。
介護職として人間関係に悩むことはつらいことですが、つらい経験から得るものもあります。悩んだことを糧にして、自分に合った新しい職場を見つけてくださいね。
働きやすい職場環境選びがあなたを輝かせる
あなたはなぜ介護の仕事を続けているのでしょうか?
日頃から考えることが多すぎていつの間にか忘れてしまっている介護の現場で働く理由。母が祖母の介護を大変そうにしているのを見て介護職を志した人や、障害者の方が当たり前の日常を送れない現実を知って、当時の自分では何も力になれないもどかしさから介護の仕事を志した人もいるでしょう。
現在、あなたが介護の仕事を行っているのは、「人の力になりたい!」と強く思ったからではないのでしょうか?
3K(きつい、汚い、危険)と言われていることを知った上で働き続けているあなたは高齢化社会である日本の誇りです。
介護業界の主役は現場で働くあなた自身です。
あなたをキッカケに、「介護の仕事って楽しいんだよ」「介護ってかっこいいんだよ」と思ってもらえる仲間が増えることを祈っています。
まずはあなた自身が輝ける場所に行きましょう。
世の中は、熱い想いを持って介護の仕事に取り組むあなたのような人材を求めています。