超高齢化社会なのに介護人材不足が大きな問題となっています。介護は、キレイごとで済む仕事ではありません。オムツや排泄物を片付けなければなりませんし、何十キロもある高齢者をお風呂に入れたりしなければなりません。しかも他産業に比べ給料が安いといわれます。
しかし、そんなマイナスイメージを払拭するだけのやりがいが、介護の仕事にはあります。
目次
介護の仕事って誰にでもできるの?
結論から言うと、介護の仕事は誰でも就くことができます。一般的に、介護福祉士や介護職員実務者研修・介護職員初任者研修修了(旧:ヘルパー2級)資格がないと介護の仕事には就けない、と誤解されがちですが、資格がなくても介護の仕事はできるのです。
ポイントは、「介護」自体は誰にでもできるが「介護の仕事」となると【向き不向き】がある、ということです。自宅で家族を介護するには資格は要りません。しかし介護を「仕事」にしようとすると【向き不向き】があるのです。介護の仕事を続けようと思えるか、思えないかというのは、介護の仕事に喜びがもてるか否か、にかかってきます。つまりその人の性格や特質が関係しているのです。
介護の仕事にはどんな人が向いているの?
一言でいうなら「思いやりがある人」です。聡明で、元気がよく、人とのコミュニケーションをとることが得意。これらの特質があれば、介護の仕事には役に立ちます。聡明な人は、言われたことだけを行うのではなく自分で考え、周りに気を配ることができます。これは介護には欠かせない特質です。だからといって、介護の仕事に喜びがもてる訳ではありません。
目の前にいる利用者さんの困りごとを心配し、解決するための方法を考えて行動に移せる人。そして利用者さんの喜びを自分の喜びに換えられる人。このルーティンを苦もなく行えることが喜びにつながります。そうできる人は「思いやりがある人」なのです。そして、喜びをもち続けられることがプロ意識へとつながっていくのです。
介護業界で求められる「プロ意識」とは何か
「プロ」とは、それを生業としている人のことです。介護の仕事で働いている人は、それで賃金をもらっていますから、本当なら全員が「プロ」でなければなりません。しかし現実はそうではありません。だから、介護の仕事をしようと思う人材が少なくなっていくのです。
介護業界で求められるプロ意識とは、利用者さんのことをよく観察し、困りごとに気づき、心配し、考えて行動することができて、決してあきらめないこと。それをチームプレーで行うことを常に意識していることです。
一人だけ、突出した介護技術やコミュニケーション技術をもっていても、介護現場にいる利用者さんの生活レベルは上がりません。そのスタッフが休めば、利用者さんの処遇が落ちてしまうからです。介護の質を一定に保つためには、チームとして取り組む必要があるのです。一人ひとりがチームケアに協力できている事業所は、スタッフのプロ意識が高い施設といえます。
介護のプロになるためにどんな資格が必要か
介護現場で介護を提供するための最上位の資格は、国家資格でもある「介護福祉士」です。介護技術や知識、自立支援など多岐にわたって学んでいます。介護の仕事を行いたいなら、誰もが目指したい資格です。
介護福祉士国家試験は、一定の要件を満たさないと受験することができません。合格者の多くは、実際の介護現場で経験を3年以上積んだ「実務経験3年以上」の要件を満たした人です。ですから、専門学校などで学ばなくても資格取得は可能なのです。
試験を受けるための他の要件は「介護職員実務者研修」を修了している必要があります。この研修には喀痰吸引や経管栄養のケア、救急救命などが含まれています。しかし、多くの実務経験者は、実務者研修を受講する前に「介護職員初任者研修」を受講しています。まずは介護の入門編ともいえる初任者研修の受講をお勧めします。
資格だけ保有していても現場で役に立たない
介護の仕事に就いている多くの人は、介護福祉士の資格取得を目指します。しかし実際の現場では「資格だけ取得しておけばよい」というような風潮が流れ、国家試験には合格して介護福祉士資格を取得したけれど、学んだ内容が現場の実務でまったく活かされていない、という現象が起きてきました。
この状況をなんとか改善しようとうまれた制度、それが「介護プロフェッショナルキャリア制度」です。
介護プロフェッショナルキャリア制度とは
この制度は、実際の介護現場でどんな介護ができるのか、ということをアセッサーと呼ばれる評価者が評価し、証明された内容に応じてレベル認定を受けるものです。
本来、介護福祉士であれば「レベル4」相当の技術や知識(チーム内でリーダーシップが発揮でき、部下に対して指示・指導が行える。地域包括ケアシステムを理解し、自分達が地域でどのようなことを求められているかを踏まえ地域に情報発信ができるレベル)が求められますが、実際に評価してみるとかなり高いハードルです。しかし介護福祉士を取得した者なら学んでいるはずのことなのです。「名前だけ」介護福祉士にならないための、国を挙げての制度なのです。
介護のプロになれる人とはどんな人か
介護自体は誰にでもできることですが、介護を「仕事」にしようとするのであれば、向き不向きがあります。思いやりをもって利用者さんと向き合うことで喜びを感じられる人が向いています。
介護のプロ意識とは、利用者さんの困りごとに気づき、解決のために何ができるのかを真剣に考え、行動に移すことをチームとして取り組む意識をもつことです。そのために介護福祉士資格を取得することは役に立ちますが、まずは初任者研修を受講してみるのがよいでしょう。
介護プロフェッショナルキャリア制度も、自分のスキルアップのために役立ちます。
未経験でも働ける!まだ知らないあなたが輝く職場へ
介護職に興味があって働きたいと思っても、転職活動は慎重になってしまいますよね。
よく見るサイトでは、良い面しか書いておらず、実際の現場が見えてこない不安があります。本当に未経験で介護職を始めた人はどうしているんだろう?そう感じて当然です。生きた情報が少なく、未経験でも人手不足だから始められることはわかっていても、実際に続けられるのか不透明になっているからです。
あなたが介護の仕事に興味を持った理由はさまざまだと思います。「人の力になりたい!」「身内の介護を経験した」「求められている職業だから」など、十人十色の理由があるでしょう。
介護職で働きたいというと、周りに心配されたり、反対されたりと志しを削ぐような反応をされる場合もあるかもしれません。しかし、介護職で働きたいと強く思うあなたは高齢化社会である日本の誇りでもあるのです。
そんなあなたの新しい一歩を応援しています。
あなたをキッカケに、「介護の仕事って楽しいんだよ」「介護ってかっこいいんだよ」と思ってもらえる仲間が増えることを祈っています。
まずはあなた自身が輝ける場所に行きましょう。
世の中は、熱い想いを持って介護の仕事に取り組むあなたのような人材を求めています。