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かつて3K(きつい・きたない・危険)という言葉があり、介護の仕事もこれに該当するといわれてきました。偏見をもつことを止める傾向から、今では面と向かっては言われませんが、未だにイメージをもっている人もいます。

しかも「介護はやろうと思えば誰にでもできる仕事」だといわれることもあります。果たして本当にそうなのでしょうか。

この記事では、

  • 介護の仕事内容とプロ意識
  • 介護が誰にでもできるわけではない理由と介護職の誇り

現役介護士として10年以上働く私が実際の様子をお伝えします。

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介護の仕事は自立支援を心がけている

食事・入浴・排泄ケアをまとめて「3大ケア」といわれることがあります。介護保険制度が始まるまでの介護業界では、この3大ケアをいかにしてこなしていくのかが介護職の腕のみせどころでした。「こなしていく」とは、利用者目線に立ったケアをすることではありません。できるだけ短時間で、できるだけ多くの利用者さんを「処理」していくのです。

しかし今は違います。3大ケアは当たり前に残っていますが「処理」をするのではなく利用者目線に立ったケアへとシフトしているのです。終の棲家と呼ばれる特養(特別養護老人ホーム)であっても、在宅復帰へ向けた自立支援を心がけるように、介護保険法では定められているほどです。

つまり介護の仕事内容を要約すれば「利用者本位の自立支援を行うこと」だといえます。

介護のプロとは一人ひとりと向き合える人

利用者本位の自立支援介護を行うことは、決して素人ではできません。専門的な知識と技術、そして何よりも「チームケア」が必要だからです。在宅での家族介護は、施設のように交代要員がいないため本当に大変ですが、だからこそチームケアはできません。しかも看護職員などの医療職もいません。

介護のプロとは、利用者本位の自立支援を迷いながらも一所懸命に行っている人のことです。介護の方法には「完全なYes」はありません。例え同じ病気で、同じ後遺症が残っていたとしても、一人ひとり性格も、生い立ちも、生活歴も、家族関係も違います。万人に通じるような「この場合ならこのケア方法」はないのです。さらに関わるスタッフの性格や介護観によっても、ケアに違いがうまれます。ですから「完全なYes」はあり得ません。

ということは「利用者本位の自立支援は絶対にこれだ!という答えはない」ということになります。ですから、試行錯誤しながらも途中で投げ出すことなく、チームで利用者さん一人ひとりと向き合っている人のことを「介護のプロ」と呼ぶのです。

なぜ“誰にでもできる”といわれるのか?

「介護なんて誰にでもできる」という言葉の裏には、大きく分けて次の2つの考えが含まれていることが多いものです。

介護の仕事を軽くみている

このような人は、3大ケアを“処理”していた時代の介護職しか知らないのでしょう。自宅で介護している人もいるのだから特別なことではない、というのです。

スタートが重要ではない

介護の仕事を「始める」のは、確かに誰でもできます。重要なのは仕事を続けるうちに介護の奥深さを知り、「介護のプロ」になるために、本当に自分にも続けられるかどうかを吟味していくことです。

介護は誰にでもできる仕事ではない

わたしも、福祉の勉強や経験をしたこともなく介護業界に転職で飛び込んだ身です。何十年とこの世界にいる間に理解したことがあります。それは介護の仕事は「資格」なのではなく、結局のところ「思いやり」だということです。

介護の仕事は、次の過程の繰り返しです。

  1. 目の前の利用者さんが抱えている障害や生活のしづらさをみて、心配する
  2. 解消するため、自分達に何ができるかをチームで真剣に考える
  3. 考えたことを実際の行動に移す
  4. チームで行動を振り返り、直すところは直して次へつなげる

このループを続けるためには、専門的な知識や技術も必要ではありますが、何よりも相手のことを心配する「思いやりの心」が重要なのです。資格を取得すれば知識や技術が得られるので、役には立ちます。しかし、得た知識や技術をどう用いるか、それが一番重要なのです。

介護は一人じゃできない。チームで行う仕事

また介護はチームケアなので、一緒に働くスタッフにも思いやりが必要です。どんなにベテランで資格や知識や技術がある人でも、スタッフを思いやれない人の行動は周りの人を傷つけます。このような人が利用者さんのことを思いやれるはずがありません。

この仕事が「誰にでもできる」なんて、とんでもない話です。介護職にやりがいを感じているなら、自分はこんなにも素晴らしい仕事ができているんだ!と自信をもって良いのです。ただ、自信過剰にならないようにしましょう。

介護職は決して恥ずかしい仕事ではない

介護の仕事は食事・入浴・排泄の3大ケアだけではなく、利用者本位の自立支援を行うことです。これにはチームケアが求められます。さらに介護には「絶対に正しいケア」というものが存在しないため、チームで考え、悩み、自分達の出した答えに責任をもち、最後まで目の前の利用者さんから逃げ出さないこと、これが介護のプロです。

介護の仕事は、利用者さんのことを心配し、解決しようと考えて行動し、振り返り続けていくという繰り返しです。これには思いやりの心が必要です。チームでこの繰り返しを行うには、一緒に働くスタッフへの思いやりも必要です。

誰にでも始められるのが介護かもしれませんが、誰にでも続けられるわけではありません。これが介護職の魅力であり、誇りなのです。

 働きやすい職場環境選びがあなたを輝かせる

あなたはなぜ介護の仕事を続けているのでしょうか?

日頃から考えることが多すぎていつの間にか忘れてしまっている介護の現場で働く理由。母が祖母の介護を大変そうにしているのを見て介護職を志した人や、障害者の方が当たり前の日常を送れない現実を知って、当時の自分では何も力になれないもどかしさから介護の仕事を志した人もいるでしょう。

現在、あなたが介護の仕事を行っているのは、「人の力になりたい!」と強く思ったからではないのでしょうか?

3K(きつい、汚い、危険)と言われていることを知った上で働き続けているあなたは高齢化社会である日本の誇りです。

介護業界の主役は現場で働くあなた自身です。

あなたをキッカケに、「介護の仕事って楽しいんだよ」「介護ってかっこいいんだよ」と思ってもらえる仲間が増えることを祈っています。

まずはあなた自身が輝ける場所に行きましょう。

世の中は、熱い想いを持って介護の仕事に取り組むあなたのような人材を求めています。

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