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「介護士の給料は低い」という話を耳にしたことがあるかもしれません。介護士への転職を考える時、特に介護の仕事が未経験で転職を考えている場合「本当に給料が低いのか」「働き続ければ上がっていくのか」「何か給料を上げる方法はあるのか」など、心配になるものです。

この記事では、

  • 他産業と比べ介護士の給料の実際
  • 介護サービス別に見た給料の違い
  • 給料が安いデイサービスが選ばれる理由と給料をあげる方法

をお伝えします。デイサービスで働くための参考にしてみてください。

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介護士の給料って他の仕事と比べて本当に低いの?手取りは?

産業別に給料を比べる際、厚生労働省が行っている「賃金構造基本統計調査」の統計を調べることができます。

平成29年の調査概況における産業別の統計表は、次のとおりとなっています。

全産業との平均賃金比較

引用:平成29年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

この表だけをみると製造業とほとんど変わりませんし、運輸業・郵便業よりも高く、またサービス業よりも数万円高いため、介護士の給料が本当に低いかどうか不明です。このカラクリは「医療・福祉」が合算されていることにあります。医療現場の看護師やPT、OT、STといった専門職の給料が高いのは、周知の事実です。

厚生労働省の報告には、調査したすべての数字や内容が含まれていますので、専門家がきちんと分析しなければ内容がつかめません。この記事内でそれはできないため、責任ある報道機関が分析した記事を参照してみましょう。毎日新聞に掲載された次の記事では、月額で10万円以上低いと報じられています。

平均と10万円差 国の改善策追いつかず

記者 厚生労働省の統計によると、2015年の月給(税引き前)で比べると、全産業の平均が33万3300円なのに対し、福祉施設(ふくししせつ)で働く介護職員は22万3500円、訪問介護などのヘルパーは22万5100円でいずれも10万円以上低くなっています。

引用:介護職給与、安すぎない?|毎日新聞「質問あるほドリ」

この記事の数字を借りて、訪問介護員の税引き前の給料が22万5100円だとします。社会保険料や所得税など控除された後の手取りは18~19万円程度になるでしょう。この数字をみると「やはり介護士の給料は低い」という結論に達します。

しかも訪問介護員が22万円も給料をもらえるのは、筆者の経験からして都市部のみです。地方になると、常勤であっても20万円を超える人は少なくなります。

都道府県別賃金

平成29年賃金構造基本統計調査

上のグラウはすべての産業の賃金なのであくまでも参考程度ですが、上記にあるとおり、全国平均より高いのは6都府県のみで、他は平均より下回っているのです。

例えば埼玉県の平均は29万6千円ですが、10万円低くなるのだとしたら19万円になります。ここから税金が引かれるのですから、手取りは16万円程度です。

介護の仕事で給料が高い「特養」その理由とは?

「他産業よりも介護士の給料が低い」という現実から目をそらすことはできませんし、介護サービスの種類別でも給料に違いがある、ということにはもっと注意しなければなりません。

全国で、事業所数が多いTOP6の介護サービス種類別の統計をみてみましょう。

介護サービス別

引用:平成29年度介護労働実態調査|介護労働安定センター

居宅介護支援は、介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を所有していないと働くことができないため、介護未経験の方の転職の際に参考にすることができないので、はずしましょう。

どのサービスでも、15~18万台と20~23万円台が多くなっています。しかし注目できるのは、23万円以上となるとグループホームや特養など入居系サービスの割合が多くなることです。これは「夜勤」が大きくかかわっているといえます。

デイサービス(通所介護・地域密着型通所介護)は、基本的に夜勤の仕事はありません。その日の朝に自宅へ迎えに行き、入浴やリハビリ・昼食・レクリエーションなどを行って夕方には自宅へお送りする「日帰りサービス」だからです。訪問介護の場合、24時間対応の定期巡回サービス事業所もあるため、夜間の訪問や待機といった夜の仕事も入ってきます。

夜勤をすると、深夜割増手当に相当する「夜勤手当」が支給されます。事業所によってバラバラですが、1回の夜勤で3,000円~10,000円を超える手当となりますので、これが基本給に上乗せされると給料も上がります。

夜勤がないデイサービスの給料は安い

結論からいうと「給料が安い介護士の仕事の中でも、夜勤がないデイサービス介護士の給料はさらに低い」ということになるのです。

しかも介護業界は、何かの売り上げを伸ばして利益を莫大に上げるということができない職種です。勤続年数が増えると自動的に給料が上がり、何十年も勤めれば他産業に追いつくというような給料体系は組めません。結婚し、子どももいて一家の大黒柱として家族を養う必要がある人にとっては、なかなか転職しづらいのも事実です。

それでもデイサービスで働くメリットとは?

給料が低いとしても、デイサービスで働くことには多くのメリットがあります。特に、入居系のサービスと比較してのメリットを考えましょう。

7つのデイサービスで働くメリット

  • 夜勤の仕事がないため生活リズムが崩れない
  • 日曜日(中には土曜日も)が休みの事業所が多い
  • 年末年始は営業しない事業所があるので休める
  • 元気があってコミュニケーションがとれる利用者さんが多い
  • 書かなければならない介護記録が、そんなに複雑ではない
  • 利用者さんが在宅生活を続けるために自分達が役立っている、という喜びを感じやすい
  • 入浴介助専門の午前中だけのパートなど、家事や子育てと両立しやすい

これらのメリットを魅力的だと感じるのであれば、給料のことに多少は目を潰ることを覚悟の上でデイサービスに転職してみるのも良いでしょう。

デイサービスで給料を上げる3つの方法

メリットが多いとしても、給料が低いのが解っていて転職するのには、覚悟や生活の調整が必要です。できればデイサービスで働きながら少しでも給料を上げたいものです。そのために役立つ3つのポイントをお伝えします。

ポイント①「資格取得で役職に就く」

未経験で転職するのですから、最初は資格がありません。ですから介護士として働きながら「介護職員初任者研修」「介護職員実務者研修」などを経て、実務経験で「介護福祉士」国家資格の取得を目指しましょう。

介護福祉士になれれば、デイサービスの「生活相談員」になれます。介護士と兼務する事業所がほとんどですが、中には「管理者」を兼務することができる事業所もあります。役職に就けば、介護士の時よりも給料は上がることが多いものです。

ポイント②「大規模の法人に移る」

介護士の給料の基となる事業所の収入は、利用者さんからもらう「利用料」と、介護保険被保険者が納めている介護保険料などの税金で賄われている「介護報酬」です。当然ながら特養・GH・訪問・居宅介護などいくつもの事業所を運営している法人や、病院に併設していて定員100名を超える老健を運営しているような大規模法人のデイサービスの方が、入ってくる収入が多いので職員の待遇も良くなります。

ある程度デイサービスでの経験を積んで、大規模法人のデイサービスでも即戦力として働けるようになったら転職する、というのも給料を上げる一つの手段です。

ポイント③「人気のあるデイに移る」

デイサービスの運営を成功させる、つまり収入を上げるには、なんといっても利用者数を増やして稼働率を上げることです。利用者数が多い背景には、リハビリやレクリエーションなど何かしら特徴がある、というのもあるのですが、働いているスタッフが元気よく、気持ちよく利用者さんと接しているかどうかというのも大事なポイントです。

人気のあるデイサービスは、管理者や経営者がスタッフのことをきちんと考え、給料・福利厚生など待遇面でも、働くスタッフが納得していることが多いものです。大規模法人には勝てないかもしれませんが、会社や経営者が余計な利益を得るのではなく、スタッフに還元しています。

給料が多いにはこしたことがありませんが、統計調査などをみると介護士が働くうえで一番大切にしているのは「働きやすいかどうか」です。納得がいく給料がもらえるかどうか、というのも大事なポイントなのです。

デイサービスで働きやすい人とは?

それぞれの介護事業所には特性があるので、働きやすい人とそうではない人がいます。デイサービスで働きやすい人の例は次のとおりです。

  • 元気がある人
  • 声が大きい人
  • レクリエーションのアイデアを出すのが得意で、進行が上手にできる人
  • 車の運転が得意な人
  • 書くことがあまり得意ではない人
  • 夜が弱い人

逆に、デイサービス以外で働いた方が良いのは、例えば次のような人です。

  • 受け持ちの利用者さんと濃厚なコミュニケーションをとりたい人
  • 元気があるというよりも、優しい温和な態度で定評がある人
  • 夜勤をしても良いから、とにかく給料が多く欲しい人
  • 日中の支援だけではなく、その人の人生そのものを支えてみたい人
  • 看護師など他の職種のスタッフから沢山教えてもらって、早くスキルアップを図りたい人
  • 多職種協働の「チームケア」を実現してみたい人

このような人は、一つの事業所の中に他の職種のスタッフが沢山いる特養や老健などがお勧めです。また認知症の方に寄り添ってケアしたいという方はGHもお勧めです。

デイサービスの介護士になるなら理解の上で

介護士の給料は、他産業に比べて低いのが現実です。特にデイサービスは、夜勤の仕事がないため介護業界でも低い方に位置しています。資格を取得することや別法人に転職することなどで給料を上げることもできますが、大事なことは「自分が介護という仕事に何を求めているか」です。

給料が一番なのであれば、少しでも多くもらえるように夜勤がある事業所(特養や老健、グループホームなど)の方が良いですが、働きやすいかどうかというのも大事なポイントです。

またデイサービスで働きたいのであれば、自分がどんな性格なのかもよく考慮しておくべきでしょう。「勤めてはみたけれど、こんなはずじゃなかった」ということを減らすためには、転職する前に自分に相応しい介護サービス事業所を選択することが重要です。

 働きやすい職場環境選びがあなたを輝かせる

あなたはなぜ介護の仕事を続けているのでしょうか?

日頃から考えることが多すぎていつの間にか忘れてしまっている介護の現場で働く理由。母が祖母の介護を大変そうにしているのを見て介護職を志した人や、障害者の方が当たり前の日常を送れない現実を知って、当時の自分では何も力になれないもどかしさから介護の仕事を志した人もいるでしょう。

現在、あなたが介護の仕事を行っているのは、「人の力になりたい!」と強く思ったからではないのでしょうか?

3K(きつい、汚い、危険)と言われていることを知った上で働き続けているあなたは高齢化社会である日本の誇りです。

介護業界の主役は現場で働くあなた自身です。

あなたをキッカケに、「介護の仕事って楽しいんだよ」「介護ってかっこいいんだよ」と思ってもらえる仲間が増えることを祈っています。

まずはあなた自身が輝ける場所に行きましょう。

世の中は、熱い想いを持って介護の仕事に取り組むあなたのような人材を求めています。

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