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車椅子移乗では要介護者の状態に合わせて移乗方法が異なります。ボディメカニクスは、どのような移乗方法にも活用され要介護者と介護者の双方に安全で安心した援助を行うことができます。

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車椅子移乗を安全に行うボディメカニクスの活用方法

介護施設では一日に何度も車椅子利用者の移乗を行なう必要があります。特に体の大きい利用者や立位の不安定な利用者を介助する際、入職間もない新人職員が腰を痛めることはよくあります。利用者を下から上に持ち上げる動作は余計な力を必要とするだけでなく、身体への負担も大きくなってしまいます。体を水平に動かすことにより、重力の影響を受けにくくなります。

ボディメカニクスを上手に活用することによって利用者に安心と安全を与えるだけでなく、介護者の負担軽減やケガの防止に繋がります。

ボディメカニクスの基本原理

ボディメカニクスを効果的に活用するため、以下のことに注意します。

  • 支持基底面を広くとる
  • 重心を低くする
  • 対象物と自分の重心を近づける
  • 対象物を小さくまとめる
  • 自然な身体の動きを援助する
  • テコの原理を活用する
  • 力のモーメントを活用する
  • 大きな筋群を使う

(参照:「ボディメカニクス」の習得状況からみた腰痛予防教育の現状と課題|目白大学リポジトリ

車椅子へ一部介助で移乗、ボディメカニクスと残存機能を活用

片麻痺や下肢筋力低下などの理由で一人で車椅子へ移ることができない利用者に対して、介助者はボディメカニクスの基本原理にしたがって一部介助にて移乗を行ないます。健側の下肢や上肢が使える場合は、利用者に動かしてもらうように声掛けを行ないます。

◆手順解説

手順解説

  1. 1利用者の状態を確認し(顔色が悪くないか?発熱していないか?覚醒しているか?)、車椅子の点検(ブレーキが壊れていないか?タイヤの空気が抜けていないか?)を行なった後、利用者に車椅子へ移る旨を伝えて了承を得ます。
  2. 利用者に端坐位をとってもらい、足が床に着くようにベッドの高さを調整します。
  3. 同時に利用者が患側に倒れないように健側の手でベッド柵を握ってもらいます。
  4. 健側に車椅子を近付け、ベッドに対して30度の位置に合わせます(車椅子のブレーキをあらかじめ掛けておきます)
  5. 健側の足を使って臀部を前にずらしてもらいます。
  6. 介護者は足を利用者に近付けて支持基底面を広く取ります(移乗する際に自身の体を安定させるのと同時に利用者がバランスを崩した場合にしっかり支えるため)
  7. 健側の手で自分から遠い方のアームレストを握ってもらいます。
  8. 介護者は患側の大腿部と上半身を支えて利用者の重心が足部に移動するように立ち上がり動作を介助します(この時に利用者の支持基底面が小さくなるため、転倒やふらつきが起こりやすいので注意が必要です)
  9. 立ち上がったら健側の足を軸に体を回転させます。
  10. 利用者自身で健側の足の向きを変えてもらい、患側の足は介護者がサポートして向きを変えます。
  11. 足の向きの方向転換が終わったら静かに車椅子に掛けてもらいます(利用者の残存機能を活用するために過介助にならないようにするのがポイントです

車椅子へ半介助で移乗、ボディメカニクスと安全の確保

半介助の利用者は一部介助の利用者と比較して残存機能が少ないことを頭に入れておく必要があります。半介助で移乗を行なう場合のポイントは利用者が立位をとった後、すぐに座れる位置に車椅子をセットしておくことです。半介助で利用者をベッドから車椅子へ移乗する介助手順を解説します。

◆手順解説

手順解説2

  1. 健側にベッドに対して30度に車椅子を近付け、ブレーキを掛けます。
  2. 用者の臀部を手前に引いて前方にずらします。
  3. 利用者の両下肢の間に足を一歩入れ、利用者の脇の下から手を入れて背中を支えます。
  4. 健側の下肢を車椅子のフットレストの半歩前に配置します。
  5. 後方に体重移動させることで利用者の体幹を前かがみにさせ、立ち上がりを介助します。
  6. 健側の足を軸に利用者と一緒に腰を回転させ、利用者の臀部を車椅子の座面に近付けてゆっくり座ってもらいます。
  7. 後ろに回って脇の下から手を入れて利用者の組んだ前腕を握って臀部を持ち上げ、座る位置を調整します。

半介助の場合は立位時にバランスを崩して転倒するリスクが高いため、一部介助の場合よりも体を密着させて介助者の重心移動によって利用者の移乗を行ないます。残存機能が少ないからといって全介助するのではなく、できることは利用者自身でしてもらうことを心掛けてください。

二人介助で車椅子移乗、ボディメカニクスと声掛け

体が大きい人や下肢筋力の低下が著しいために立位保持が困難な人を移乗する場合、二人で介助することがあります。そこで二人介助で利用者をベッドから車椅子へ移乗する介助手順を解説します。

◆手順解説

手順解説3

  1. これから車椅子へ移乗する旨を利用者に伝えます。
  2. 二手に分かれて一人の介助者が利用者の前に座り、もう一人は後方に回ります
  3. 利用者に腕を組んでもらい、後方の介助者が脇の下から手を入れて腕を握ります。
  4. 後方の介助者が上体を持ち上げると同時に前方の介助者は利用者の膝を抱えて一旦ベッドの端に寄せます。
  5. 後方の介助者は両手を利用者の腰に持ち替え、前方の介助者と息を合わせて利用者を抱え、車椅子の座面上へ移動させて静かに座ってもらいます。

二人介助を行なう際の注意点

一人介助の場合と違って利用者から後方にいる介助者の姿は見えません。後ろから急に無言で身体を動かされたら、私たちでもビックリしますし怖いです。二人介助を行なう場合、介助者同志で息を合わせるのはもちろんのこと、動作ごとに利用者に対して声掛けを行なうのを忘れないで下さい。

介護の仕事において大切なこと

介護の仕事は一日中体を使います。私自身、過去に身体を痛めて離職する職員を何人も見てきました。利用者を安全に介助することは大前提であると同時に自分の身を守ることも仕事を続けていく上で重要になります。

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